シューゲさんのまったり音楽日記

洋楽中心に1記事につき3〜5分程度で読める内容にしているので、気になったミュージシャンがいれば添付してある音源をご視聴頂けたら幸いです。

MY BLOODY VALENTINE / LOVELESS

今回はMY BLOODY VALENTINE(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、以下マイブラ)が1991年に発表したシューゲイザーの金字塔と言われるアルバム“Loveless(ラヴレス)”について書きます。

f:id:shoegazer1990:20180723013316j:plain


僕がマイブラの存在を知ったのは某音楽誌の特集で“90年代の歴史的名盤”の1枚にこのアルバムが入っていたのを見て、バンド名の響きがカッコ良かったのと、最初に日本盤が出た時の邦題が『愛なき世界』(←現在は『ラヴレス』に変更されています)となっていたのがやたら心に引っ掛かったからだ。


あと、バンドメンバーの白黒写真が1枚だけ載っていて、それまで聴いてきた他のロックバンドとはまた全然違う雰囲気を放っていたのも印象に残った。

f:id:shoegazer1990:20180723014207j:plain

……なんというか、“幸薄そう”というか(苦笑)。



『ラヴレス』を今回書こうと決めたのは、先週の夕方に歩いて本屋へ行ってた時にiPodで『何聴こうかな~』と検索してたら ふとこのアルバムが目に止まって『久しぶりに聴いてみるか』ぐらいの軽い気持ちで再生したんだけど、1曲目“Only Shallow”のイントロを聴いた瞬間から“雷が落ちたような衝撃”を受けてしまったからだ。

大袈裟でなく本当に“雷が落ちた”という表現がピッタリで、いくら日が沈みかけてたからといって この真夏のくそ暑い時期にも関わらず、何度も鳥肌が立ってしまった。

今まで何回聴いたか分からないアルバムのはずなのに……。



このアルバムはホント特殊な作品だと思っていて、僕自身、シューゲイザーというジャンルは大好きだし、それは過去のブログを読まれた人達なら分かって頂けるだろう。

そんな僕でも、この『ラヴレス』は特に敷居が高いアルバムだ。

ボーカルもギターも霧がかったように歪みまくっているので、ほとんど輪郭の無い音は 普段から日本のヒット曲やカラオケ受けするような歌しか聴いてない人達にとっては余計に理解不能な世界だと思う。

正直言って、僕もこのアルバムを聴いていても理解できない時が多い。



だけど、このアルバムとマイブラというバンドはその後の音楽シーンに無限大の可能性を広げたのも事実だ。

今現在、世界中のインディーロックをはじめ、メジャーなバンドでもこの作品から影響を受けている人達が沢山いるのは音を聴いていて分かるし、一時期は死語と化していた“シューゲイザー”という言葉も2007年にマイブラが再結成したのを機に 一気に一般のロックファンに認知されていったと感じている。



ただ、僕もたまにこのアルバムを聴き返すけれど、そのほとんどは『何だかよく分からない』というまま聴き終えてしまう。

それでも、今回のように何度か“雷が落ちたような衝撃”をこのアルバムから受けたことがあって、過去にはレコード屋の高級スピーカーから大音量でいきなり流れ出した瞬間にも“ガツーーーーーンッ!!”とヤラレてしまった。



ボーカルもボソボソと囁いていて不明瞭な歌詞は何を歌っているのかなんて分からない。

アートワークも楽曲同様に輪郭がボヤけまくっている。



『それでもこのアルバムを聴き続けているのは何故なんだろう?』と何度も自問自答したことがあった。


そして、最近になって気付いたのは、人間って“未知のものに対して不安や恐怖を感じて抵抗したくなる気持ち”と“未だ見ぬものに惹かれる気持ち”が共存しているからなんだと感じた。

不安や恐怖を感じても、覗き込んで理解したくなる思いが混在していて、そんな“人間にしか無い感情”を刺激してくれる存在なんだと思う。




それと、僕はこのアルバムをずっと聴いていると 音の向こう側に“愛”を感じる時があるんよね。

それが異性愛なのか人間愛なのか、バンドの中心人物であるケヴィン・シールズの“音楽への異常なまでの執着心”なのかは僕には分からない。




92年にバンドが初来日した際、雑誌のインタビューでケヴィンが面白い一言を言ってたのが印象に残っている。



「本当はアルバムタイトルを“LOVE(愛)”にしようと思ってたんだけど、直前になって“LOVELESS(愛が無い)”に変更したんだ」



それを読んだ時、



『やっぱりこのアルバムには“愛”があるんだ!!』



なんて思ってしまった。




あと、2008年頃にバンドの音源をまとめたCDボックスセットの発売が予定されていて、“初めて歌詞カードと対訳が付く”と書かれていたんだけど、何故か直前で発売中止になってしまったことがある。


歌詞と対訳が付くと知った時は『やっとこの人達が何を歌ってるのかが分かる!!』なんて楽しみに待ってたけど(笑)、今思えば、やっぱり知らないままの方が良かった気がする。分からない方が聴いていて創造力を膨らませてくれるしね。


アートってのは理解されにくいものなんだし、それが魅力なんだよ、多分。




Sometimes
https://youtu.be/1c8Selr9Aec


To Here Knows When(LIVE)
https://youtu.be/3DEnwUAzPG4


Soon
https://youtu.be/ft56il9bGMk


f:id:shoegazer1990:20180723024552j:plain