John Russell + Stale Liavik Solberg & .es LIVE at Gallery Nomart
2018年9月21日(金)、大阪市内のギャラリーノマル(Gallery Nomart)にてジョン・ラッセル+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグと .es(ドットエス)のライブに行ってきた。
ジョン・ラッセルさんは“英国アンダーグラウンド界のレジェンド”と言われている方で、僕は今回のライブ告知で初めて知った。
1960年代から活躍されているとのことで、その頃といえばイギリスでは空前のブルースブームだったはずだ。そんな大昔から前衛音楽をやっているミュージシャンがいたというのに驚き、今回のライブを楽しみに待っていた。
会場に着くと、入り口前の椅子に腰掛けていたのはジョン氏と共に来日したノルウェーの打楽器奏者ストーレさんが。
お茶目だぜっ!!(笑)
場内に入るとドットエスの橋本孝之さんとジョン氏が話していたので挨拶し、一緒にパシャリッ♪
……てゆーか、俺の髪の毛モワモワじゃねぇか!!(笑)
ボチボチ切らなきゃな……。
ジョン氏にいくつか質問をすると、どこの国か分からない発音の言葉で返事をされていた。
この後、ライブ中のMCでも独特な発音で話されていて全く聞き取れなかったけど、イギリス生まれだから喋っていたのはやはり英語だったとのこと。
ものすごく訛りが強いのかな……?
開演時間が近づくにつれどんどん人が入ってきて、ギャラリー内はあっという間に満席になってしまった。
定刻の8時を少し過ぎ、ライブスタート。
ノマル専属アーティストのドットエスが登場。
今回は稲垣元則氏の映像とコラボして、いくつもの静止画と動画が激しく入れ替わる中を演奏していった。
ドットエスのお二人、橋本孝之さん(ハーモニカ&サックス)とsaraさん(ピアノ)の演奏も完全即興でリハーサル無しの本番一発勝負。
そして、このテの音楽には理論も何も存在しない。
その場の流れでやるため演奏がバラバラに聴こえそうだけど、これが“バラバラになりそうでならない”という絶妙な感覚が面白い。
しかし、そんな中でも“カチッとハマる瞬間”が何度もあり、そこにたどり着くまでの緊張感が魅力で、たどり着いた時の高揚感は“演奏している本人達にも予測不可能な世界”というのが既存の音楽では絶対に味わえないものなんだと感じた。
ドットエスのお二人の演奏とスクリーンに映し出される稲垣氏の映像が全てハマった時なんかは、その場に居る人にしか分からない感覚なのかもしれない。
ドットエスの演奏が終わり、次はジョン・ラッセルとストーレ・リアヴィーク・ソルベルグの演奏がスタート。
僕自身は楽器を演奏する人といえばギタリストが特に好きでギターの音自体ももちろん大好きなんだけど、このジョン氏のギタープレイはジャズやブルースのようなコードもコード進行も何も無い。
とにかく、爪弾く、掻きむしる。
ギターのボディが掻きむしりすぎてここまで剥がれているのを見たのも初めてだった。
ストーレ氏もドラムスティックを立てて引っ掻いたりとやりたい放題なはずなのに、そこには“音楽”が存在しているという。
音楽というより、“音の集合体”に近い感じかもしれない。
この日の夜はかなり涼しくなっていたのに、それでもドットエスの演奏が始まってからジョン氏達を含めてライブが終わるまで“静かな熱気”が会場を支配していて、異様に熱かった。
ライブ中は演奏している音しか聴こえず、誰も物音を立てず、騒がしい音楽のはずなのに静かで、ひんやりしているはずなのに熱い。
ジョン氏とストーレ氏の演奏が終わり、ドットエスのお二人が呼ばれ、最後にセッションが始まった。
以前にsaraさんが「即興の世界でも“あ・うんの呼吸”が合う人と合わない人がいてるので、合う人となら一緒にやりたいと思います」と言われていた通り、ジョン氏のギターとストーレ氏の打楽器ともギリギリのところで繋がっているような感覚があった。
4つの音がハマる瞬間がある。
そして、またバラバラになる。
崩れていきそうで、持ちこたえて、再生する。
理論や理屈なんかじゃとても説明が出来ない音だけど、言葉にすると、そんな感じ。
なかなか世間一般には理解されないし理解できない音楽だけど、ここに集まった人達を見渡すと本当にいろんな方がいる。
皆、普段の日常では体験できないものを求めてやってきている。
僕自身、昔から周囲の人達に「変わってるよな」とよく言われてきて、それは良い意味でも悪い意味でも言われ続けてきた。
だけど、ここに集まった人達を見渡すと本当に様々で、『なんだ……人ってみんな変わってるんだよ、やっぱ』という安心感があって、変わってるからこそ面白い出会いがたくさんあるんだろう。
ドットエスのお二人も、ジョン・ラッセルもストーレも、ギャラリーノマルも、この日集まった人達も、皆変わってる。それって最高じゃないか!