シューゲさんのまったり音楽日記

洋楽中心に1記事につき3〜5分程度で読める内容にしているので、気になったミュージシャンがいれば添付してある音源をご視聴頂けたら幸いです。

PINK FLOYD (ピンク・フロイド) Part2

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最近、またピンク・フロイド(PINK FLOYD)をよく聴いている。

というのも、先日、夕日を眺めながら彼らの代表曲“Wish You Were Here”を聴いていたら、感極まり、自然と涙が流れていたからだ。

これまでに何度も聴いたはずなのに、胸に染み込んできたというか、心に響いてきたのだ。

沈んでいく夕日を見ながら『なんでこんなに素晴らしいんだろう?』なんてことをひとり思っていた。

アルバム1枚ずつについて感じたことを書きたいが、なかなか難しいため、最近聴き返して感じたことを少しだけまとめようと思う。


73年のアルバム『狂気』から79年発表のダブルアルバム『ザ・ウォール』までの4枚を今回聴いていたが、やはりこの頃がキャリアのピークだったのだろう。

何万人もの観客を収容できるスタジアムで演奏できる、偉大な作品ばかりだ。

人生についてや、社会に生きる人々をテーマとしたコンセプトアルバムというだけでなく、楽曲そのものが壮大さに充ちている。



僕自身、雑食系でロックを中心にどんな音楽でも聴いているし、当ブログをご覧になられた方はお分かりの通り、ライドやマイブラといったシューゲイザーという音楽に衝撃を受けた一人だ。

しかし、「無人島に持っていきたいアルバムを1枚選べ」と質問されると、考えた末に浮かぶのがピンク・フロイドの『狂気』だったりする。

そして、「好きな曲を1曲だけ選べ」と言われると、これも彼らの楽曲“Wish You Were Here”と答える気がする。


ピンク・フロイドは大好きなバンドのひとつではあるが、熱狂的なファンというわけではない。

そんな僕でも彼らのアルバムや楽曲には普遍的な魅力を放ち続けていると感じている。



10分を超える長尺曲が多く、一聴しただけではとっつきにくい印象があるかもしれないが、一度ツボにハマれば、何故、彼らがこれほど支持され続けているのかが分かるはずだ。



そして、良さに気付けば、きっと僕と同じように感じるだろう。


『何でこんなに素晴らしいんだろう?』と。












Wish You Were Here
https://youtu.be/hjpF8ukSrvk


The Great Gig In The Sky
https://youtu.be/cVBCE3gaNxc


Us And Them
https://youtu.be/I3OdanjBYoM


Comfortably Numb
https://youtu.be/x-xTttimcNk


Shine On You Crazy Diamond (Pts.6-9)
https://youtu.be/wE2GZ2Vpqjo


LIVE 8 (2005)
https://youtu.be/2K7TU1Hh_3U


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LOVE

LUSH / TOPOLINO (1996)

今回はラッシュ(イギリスの“LUSH”の方ね)が1996年に発表した来日記念盤“TOPOLINO(トポリーノ)”について書き綴る。


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リアルタイムでは聴いてはいなかったし、そもそも彼女達の存在すら知らなかったが、それでも僕にとってラッシュというバンドは思い出深く、一番大切なバンドのひとつだ。

そんな中でもこの日本のみで発売された特別編集盤はジャケットのアートワークも大のお気に入りで、シングル“500(Shake Baby Shake)”を中心に3rdアルバム“LOVELIFE(ラブライフ)”未収録曲で構成されている。

そして、これがなかなかお洒落な楽曲が多く、実験的な曲もあったりと、ぶっちゃけて言うと散漫な印象のある『ラブライフ』よりも全然良い出来栄えだ。



ラッシュの音楽を初めて聴いたのはもう随分前だが、その頃はシューゲイザーという音楽を聴くと完全に現実逃避してしまうようになっていたため(重病やな……)、長いあいだ聴かなくなっていた。

それが、You Tubeという媒体を通してPVやライヴ映像で彼女達の歌っている姿を観て、久々に楽曲を聴いているうちに『こんなに良い音楽だったんだ!』と思わされ、それから現在に至っている。


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メインボーカル&リズムギターを務めるミキ・ベレーニとバッキングボーカル&リードギターのエマ・アンダーソンという2人の女性を軸として、リズム隊はドラムのクリス・アクランドとベースのフィリップ・キング(デビュー時はスティーヴ・リッポンが担当)という男性2人の、男女混合バンド。

ミキちゃんのお母さんが日本人ということもあり、初めて写真を見た時も、僕らにも親しみやすさがあるように感じた。

ミキちゃん、エマちゃんの2人ともルックスが良くて男性陣が陰に隠れがちだが、クリスもフィルも丹精な顔立ちをした男前だと思うんだけどなぁ……。


話がズレたが、You Tubeで久々にラッシュの初期楽曲をいくつか聴いた後に“500(Shake Baby Shake)”のPVを初めて観た時、あまりにシンプルすぎるギターソロに笑ってしまったのだが、その音数の少ないアルペジオから紡ぎ出されるメロディーを聴いているうちに、気が付くと自然と涙が溢れていた。

ギターソロといえばギタリストの技量をここぞとばかりに惜しげもなく披露できる絶好の機会のため、上手い人は弾きまくっていたりするが、エマちゃんの場合は、もうこれ以上無いというほどに音数を減らしている。
しかし、彼女の生み出す音は贅肉を削ぎ落とし、極限まで無駄を省いているというか。


そして、ミキちゃんのボーカルはというと、デビュー当時の幽玄で神々しい歌い方は影を潜め、替わりによりロック色とポップ色を強めている。

ラッシュの楽曲を聴いていると、ミキちゃんの声が本当に素晴らしく、僕は彼女の歌声を“虹色の声の持ち主”だと思っている。

キュートに歌い上げたかと思えば、天使か女神が乗り移ったかのような歌声を披露し、そして、いかついロックな歌い方もできる。

お世辞抜きで彼女が一番好きなボーカリストなのだ。



21世紀になって星の数ほど出現した“ドリームポップ”と呼ばれる音楽をやっているミュージシャンやバンド勢へ確実に影響を与えているはずだし、実際、僕のお気に入りのビーバドゥービー(Beabadoobee)もミキちゃんやラッシュからの影響を公言している。



この来日記念盤を引っさげて日本公演を敢行した後、ドラマーのクリスが自殺してしまったため、解散することとなったラッシュ。

残されたメンバーは打ちのめされただろうし、クリスと学生の頃からの付き合いだったという彼女達の心が欠けてしまったんじゃないかと感じている。

もし彼が生きていたら、あの後も地道に活動を続け、もっと沢山の素晴らしい音楽を残してくれていたと思う。



このアルバムを聴きながら、当時の彼女達に想いを馳せると同時に、涙を流し聴いていた僕自身を思い出す。











I Have The Moon
https://youtu.be/aBqaKea_Pek


500 (Shake Baby Shake)
https://youtu.be/ODdZ4QhnXJI


I Wanna Be Your Girlfriend
https://youtu.be/wxkElQsm_Ag


500 (Shake Baby Shake)(LIVE1)
https://youtu.be/ha__1-fDcCI


500 (Shake Baby Shake)(LIVE2)
https://youtu.be/4pJoW39PIwE


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THE DOORS (ザ・ドアーズ)

昨夜、映画『ザ・ドアーズ』を観賞した。ということで、今回はザ・ドアーズ(THE DOORS)について。


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ドアーズの映画は昔から知ってはいたが『観よう、観よう』と思いながらかなりの年月が経ってしまっていた……。

ドアーズのアルバムは高校生の頃から聴いていたが、このバンドに特別な思い入れは無いし、60年代のアメリカを代表するサイケデリックバンドのひとつとして挙げられる彼らではあるが、彼らのやっているサイケデリックというのは呪術的で、僕が好むサイケとはまた違うタイプなんだな。


ボーカルのジム・モリソンの歌詞が詩的ではあるものの、ライヴ中に自分の局部をさらけ出すなど、その奇人変人ぶりに付いていけないところがあった。

まあ、ロックやっている連中なんてどこか変態じみているし、真面目すぎてまともな奴らだと刺激が無くて退屈するのだが、それでもやはり好みがあって、ジム・モリソン系の変態ぶりは苦手なんだな。


それでも、僕自身が人生経験を重ねたためか、こういうタイプのロックスターに対しても昔ほど敬遠することが無くなり、今は“表現のひとつ”として考えるようにしている。

ちなみに昔から好きだったはずのストーンズのミックやキースに対しても破天荒過ぎるロックンロールライフに嫌悪感を抱いたりして、『彼らの音楽は好きだけど、ハチャメチャすぎる生き方は苦手だ』と思っていた時期もかなり長い間あった(特に初期リーダーであるブライアン・ジョーンズなんかは本物の悪魔だと思っていたほどだ)。


ただ、十代の頃は受け入れられなかったドアーズのような“陰鬱な世界観”も今では抵抗なく聴けるようになったし、それも音楽に限らず“アート”というものに対して自分の許容範囲が広くなったためだと感じている。


綺麗で美しいものだけを受け入れるのではなく、その反対側にあるもの、醜悪や憎悪といったマイナスでネガティブな表現があってこその芸術なんだろうし、それをエンターテイメントとしてやっていたのがドアーズ(=ジム・モリソン)なんだろう。










Light My Fire
https://youtu.be/mbj1RFaoyLk


Touch Me (LIVE)
https://youtu.be/U6bRukfcUf0


The End (LIVE1968)
https://youtu.be/6FMGYycBAMU


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Good Night.

Billy Idol / The Very Best Of Billy Idol : Idolize Yourself (2008)

今回は、先月後半によく聴いていたビリー・アイドル(Billy Idol)のベストアルバムについて書き綴る。


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(このファッキューでサノバビッチな佇まい……イカシてるぜ!)


初めて僕がビリー・アイドルを知ったのはキアヌ・リーブス主演の映画『スピード』だった。

エンディングで流れた彼の楽曲“Speed”を聴いた時、『カッコイイ曲だな』と思ったのを覚えている。

ただ、その頃はまだ本格的に洋楽を聴く前の話で、映画に使用された楽曲名と、歌っているのが“ビリー・アイドル”という名前なんだ、と思った程度だった。

『自分の名前に“アイドル”と付けるなんて、変な感じだな』と思ったものだ。


そして、洋楽を聴き初めてから高校の図書室に置いてあった森脇美貴夫さんの著書『イギリスのパンク/ニューウェイヴ史』を喰い入るように熟読し、そこでビリー・アイドルが“ジェネレーションX”というバンドでデビューしたことを知った。
(余談だが、よくこんなマニアックな本が学校の図書室に置いてあったものだ…笑)



それからの僕はビリー・アイドルにどハマリした……わけでは全くない。

寧ろ、当時はセックス・ピストルズ以外のロンドンパンクを殆ど敬遠していたため、ビリー・アイドルはおろかジェネレーションXも聴いていなかった。

その後、だいぶ年月が過ぎてから彼のソロアルバム『サイバーパンク』とバンド時代のベスト盤だけは購入したのだが、『とりあえず聴いとくか』程度でサラッと流した感じで終わったのだ。



ジェネレーションXにもビリー・アイドルにも特別な思い入れがなかったのだが、つい最近になり、ふと思い出したことがあった。


それは、大好きな漫画『ろくでなしBLUES』で、主人公の前田太尊のライバルである原田成吉の入場曲が『モニー・モニー』という曲で、『あれって誰の曲だったんだろう?』と気になって調べてみたら、ビリー・アイドルだったというわけだ。
(注:『モニー・モニー』はカバー曲とのこと)


……で、『ああ、ビリー・アイドルだったのか!そういやこの人、確か“スピード”の主題歌も歌ってたよな。ちゃんと聴いてみるか』となり、Spotifyで彼のベストアルバムを聴いてみると、気付いたらいつの間にかヘヴィロテしてしまっていたのである(笑)。


昔から写真を見ては『ルックスの良い人だな』と思ってはいたが、この人の立ち位置というか、ロックの世界においてどういうポジションにいるのかがよく分からない人という印象があったため、何となくちゃんと聴くキッカケを掴めなかったのかもしれない。

名前の通り、ロックミュージシャンの中でアイドル的な存在として世間に知られている程度にしか思っていなかったのだと思う。
(注:思い切り勝手な偏見です)


そんな風に彼のことを思っていた僕だが、声は良いし、どの楽曲も既存のパンクロックと比べるとまたひと味違う良さがあると感じた。

個人的には“近未来パンク”という表現の方がしっくりくる気がする。

といっても、彼が大ヒットを飛ばしていたのは80~90年代のようだが、当時の人達が想像していた近未来的な存在にも見える。



“近未来パンク”であり、アルバムタイトルにもなった“サイバーパンク”という表現がピッタリな、独自のポジションにいる人。


僕がビリー・アイドルを見て、彼の楽曲を聴いて感じるのは、そんなSF的な、不思議な感覚だ。











Mony Mony (LIVE)
https://youtu.be/sYYAv-QW38Q


Shock To The System
https://youtu.be/lx2fZU5USus


Eyes Without A Face
https://youtu.be/9OFpfTd0EIs


Speed
https://youtu.be/rd-0LtV5Axo


Rebel Yell
https://youtu.be/VdphvuyaV_I


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Don't Go.

REVOLVER / Cold Water Flat (1993)

今回はリヴォルヴァー(REVOLVER)が1993年に発表した唯一のフルアルバム“Cold Water Flat”について書き綴る。


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シューゲイザーという音楽が好きな人、または「シューゲイザーって何?けど、かっこいい音楽ないかな」と探している人、そういう人達は一度このアルバムを聴くべし。

今回ご紹介するリヴォルヴァーのアルバム“Cold Water Flat”は、間違いなく隠れた名盤だ。



ギター&ボーカルのマット・フリントを中心に結成したリヴォルヴァー

……だが、当時はブリットポップ前夜だったというのもあり、この手の音楽は注目されなかったのか?

ヴァーヴと同じHutレーベルからデビューしたにも関わらず、自然消滅したのはあまりにも勿体ない。



先日、久々にこのアルバムを聴き返してからずっとリピートしっぱなしなのである。

このアルバムのような疾走感は一番好きなタイプの音楽だ。

とにかく、聴いていて飽きない。

飽きないどころか、聴き終えたらまた最初から聴いて、無限ループできてしまう。

永遠に聴き続けられる1枚だ。



個人的に、次に挙げる4枚のアルバムには共通点があると思っている。

・RIDE “Nowhere”

・REVOLVER “Cold Water Flat

・MY VITRIOL “Finelines”

・AMUSEMENT PARKS ON FIRE “Out Of The Angels”


この4枚に共通するのは“疾走感”や“蒼さ”といったもので、一時期、こういうタイプの音楽を他に探していたが、ありそうで、実は殆ど無いというのが分かった。


ライドの1st“Nowhere”はある意味、僕の音楽的価値観を決定付けた作品で、ロックを中心にいろんなジャンルの音楽を聴くようになった今でも、やはりこの手のサウンドに心惹かれてしまう。

攻撃的で激しいドラムとベースに、浮遊感のあるリヴァーヴがかったディストーションギターが乗っかりながら、美声と美メロが牽引(けんいん)する。

それらが一体となり絶妙なバランスを保ちながら醸し出すグルーヴ感は、“蒼き衝動”という表現がピッタリ当て嵌まる。

リヴォルヴァーの“Cold Water Flat”にも若さ特有の“蒼さ”や“勢い”、そして“透明感”があるから、このアルバムを聴く度に僕は十代のようなフレッシュな気持ちでいられるんだと思う。


このアルバムの特徴は、上記に挙げた他3枚のアルバムより若干ブルースや民族音楽っぽいエッセンスが時折入っているところで、ストラトキャスターのシャリシャリとしたシャープな音作りにもその音楽性が合っている。



たった数枚のシングル盤と1枚のオリジナルアルバムだけを残して解散したのはあまりにも勿体なさすぎるバンドだ。


“好きなアルバムベスト10”を選ぶとするなら、その時々によって変わるだろうが、お世辞抜きでこの“Cold Water Flat”は入ってしまう。


今回、このアルバムを聴き返してみて、『プロなら、売れなきゃ話にならない。だけど、本当に素晴らしい作品を残した人達が時代の闇に葬り去られるなんて、あまりにも惜しい』と感じていた。

そんな素晴らしい作品を残してくれたこのリヴォルヴァーのためにも、僕のブログが微力ながらも役立てられたらと思っている。













Bottled Out
https://youtu.be/BKvEbwa0Ask


Coming Back
https://youtu.be/4NM1hf3QwXo


Cool Blue
https://youtu.be/HT5jLQ3-yHw


I Wear You Chain
https://youtu.be/Y7zsu53lYdI


Shakesdown
https://youtu.be/Q3CJeQ69_wA


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LOVE.

GUIDED BY VOICES (ガイデッド・バイ・ヴォイシズ)

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ガイデッド・バイ・ヴォイシズ(GUIDED BY VOICES )を初めて知ったのは、確か2004年頃に発行されたクロスビート誌のインタビュー記事だった。

中心人物のロバート・ポラードという人が教師(高校で数学を教えていたと記憶しているが、記憶違いかも…)をしながらロックバンドをやり、レコードを作ってツアーにも出ていると書かれていたのが印象に残っていたのだ。

しかも、それはバンドが解散する時のインタビューでたった1ページだけの記事だったが、ロバートさんの発言は清々しくて知的さに溢れていたため、余計にインパクトがあったのだと思う。
(その後、再結成と解散を何度か繰り返しているようだ)


ガイデッド・バイ・ヴォイシズというバンド名を知ってからずっと聴く機会がなく(というか、聴きたいものが多過ぎたため)、最近になってやっとSpotifyで聴いた次第だ。

聴こうと思った直接のきっかけとなったのは、シューゲイザーバンドのマイ・ヴィトリオールが彼らの曲“Game Of Pricks”をカバーしていたからで、それが彼らの楽曲だと知ったのがつい最近のことだった。

マイ・ヴィトリオールのカバーを聴いていた時から『カッコイイ曲だな』と思っていたし、ガイデッド・バイ・ヴォイシズのオリジナルバージョンや他の楽曲を聴いてみると、非常に多作ではあるがポップ色のある耳馴染みの良いロックソングばかりだったため、一気に好きになっていった。

ザ・フービートルズなど60年代英国ロックを彷彿させる楽曲も多く、彼らなりにアメリカナイズした懐かしさを感じさせてくれる音楽性は、普段からUKロックを好んで聴いているリスナーも気に入るのではないかと思う。

殆どの曲が1〜3分で構成されており、1分以内の楽曲もかなりあるため、サクッと聴けるのも良い。……と思う反面、『良いメロディーなんだから、もうちょい引き延ばしても良いのでは?!』と感じたりもする。


ガイデッド・バイ・ヴォイシズを聴いていると、きっとロバート・ポラードという人は生粋のメロディーメイカーで、グッドメロディーがどんどん溢れ出すタイプなんだろう。

1曲1曲を短くシンプルにまとめ上げ、アルバムに詰め込めるだけ詰め込んでいたんじゃないのかな。












Game Of Pricks
https://youtu.be/HLINRoC4f1k


Glad Girls
https://youtu.be/XZsi9uEOJLg


The Best Of Jill Hives
https://youtu.be/pQwhSi-44gg


Twilight Campfighter
https://youtu.be/tOmSG0L3kbA


Back To The Lake
https://youtu.be/p0fbR-7Y6Xo


Drinker's Peace
https://youtu.be/tUtNneCzx14


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MY BLOODY VALENTINE / tremolo e.p. (1991)

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今回はマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(MY BLOODY VALENTINE)が1991年に発表した4曲入りep“tremolo e.p.”について書き綴る。



当ブログ内で以前書いた通り、このバンドが90年代初頭に活躍していた頃の僕はまだガキんちょだった。

そのため、当然のことながらこのレコードの存在なんて知る由もなく、実際に手にしたのは18歳頃だったと記憶している。

先にフルアルバムの“LOVELESS”を聴いてはいたが、アルバム未収録曲が3曲入っていたのと、あとジャケットが印象的だったため購入に踏み切ったのだ。

ピンクの炎(?)に包まれ、恍惚とした表情を浮かべるアートワーク。“普通じゃない雰囲気”に満ちていたし、ホント、そそられたな。


初めて“LOVELESS”を聴いた時は『よく分からない』と思いながらも、それまで聴いたことのない音楽性に惹かれ、気がつくと何度も何度もリピートしていた。

薄ぼやけた先に“別の何か”があるような気がして、そんな非現実的な空間へと連れて行ってくれる作品に、新たな芸術を発見した喜びを感じたものだ。


そんな、“シューゲイザーの金字塔”と謂われる“LOVELESS”でもお気に入りの1曲“To Here Knows When”が、フルアルバムと違う状態で収録されていたらどう感じるか?それも含めてこのepに興味があった。


ドリーミーなM1“To Here Knows When”後半に流れるインタールード(曲間)から“LOVELESS”とは別の方向へと向かい、M2“Swallow”では儚げで、尊く、エスニックな香りに包まれていく。

M3“Honey Power”ではポップ色全開で、アルバムには無い一面を魅せてくれる。

そして、ラストのM4“Moon Song”なんて、アニメ『ルパン三世 part2』のエンディングテーマのような哀愁を感じたものだ。
(……って、マイブラ聴いてこんな感想を抱くヤツは他におらんかもしれんが、事実そう感じていた)



正直に言うと、当時はアルバム“LOVELESS”よりも、この“tremolo e.p.”の方がよく聴いていた。

それは、アルバム“LOVELESS”と比べても“ポップさ”や“取っ付き易さ”があったからではないかと思う。




今では2枚組編集盤“ep's”でまとめて聴けるが、僕にとってこの“tremolo e.p.”は、ヘッドフォンを耳に当てトリップしていたあの頃の自分を思い出させてくれる、特別な1枚であり続けているのだ。












tremolo e.p.
(To Here Knows When 〜 Swallow 〜Honey Power 〜 Moon Song)
https://youtu.be/w7-llAFh7h0


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I LOVE YOU.

THE VERVE / A STORM IN HEAVEN (1993)

年末年始からずっとサイケデリックロックを中心に聴いているので、今回はその中のひとつ、ヴァーヴ(THE VERVE)のデビューアルバム“A STORM IN HEAVEN”について書いていこうと思う。


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当ブログ内で何度かヴァーヴについて書いているため、『またヴァーヴかよ!』と思われた方もいるかもしれないが、……そうです、またです。またヴァーヴやっちゃいます。

いや、昨年末のザ・ポリスの記事にも書いたかもしれんが、昔そこそこ好きだったバンドだったり、めっちゃ好きなバンドだったりしていたものが、今聴き返すともっともっと好きになってしまっているのだよ、うむ。

2020年の大晦日は執筆しながらひたすらグレイトフル・デッドとドアーズをBGMにしていたせいか、その流れで2021年初頭はヴァーヴやらマーキュリー・レヴやらアシッド・マザーズ・テンプルやらを聴きまくっているのである。

まあ、元々がサイケデリック大好き野郎なので、お許しを。



前置きが長くなったが、今回紹介するヴァーヴの1stフルアルバム、もしまだ聴いたことが無いなら是非ともご一聴願いたい。


ヴァーヴといえば97年発表の3rdフルアルバム“URBAN HYMNS”でやっと世界的大ヒットを記録して日の目を見たバンドだが、個人的には断然この1stアルバムをお勧めする。

もしも“サイケデリック診断テスト”なるものがあるとすれば、間違いなくこのアルバムは100点満点だろう。

CDを再生して、1曲目“Star Sail”の最初の1音が鳴り始めた瞬間から別世界へと引きずり込まれる。

妖艶で、神秘的で、官能的なメロディーラインと楽曲群。フリージャズの要素もあったりと、奔放にやっているようで、実は計算され尽くしているという。

楽曲そのものが良いのは勿論だが、アルバム用にホーンセクションを起用したりと、プロデューサーを務めたジョン・レッキーをはじめとする裏方の手腕も発揮されており、曲とバンドの魅力を100%以上に引き出している。


余談だが、僕がこのアルバムを初めて聴いた時はローリング・ストーンズが1969年に発表したアルバム“LET IT BLEED”と途中でシンクロした瞬間があったのを覚えている。

楽曲がどうとかそんなんじゃなく、このアルバム全体に漂うダークな雰囲気や匂いに似通ったものがあると感じたのだ。

初めてこの1stを聴いた時はヴァーヴが何者かなんて全く知らなかったが、そんな自分でも60年代後期の血生臭い魅力を放っていたストーンズの影響が伺えたし、実際、当時のリチャード・アシュクロフト(ボーカル)は“ミック・ジャガーの唇を持つ男”と呼ばれていたのを後で知ることになり、『なるほどな』と思ったものだ。


メンバー全員のポテンシャルも物凄く高く、ギタリストのニック・マッケイブのリバーブがかった独創的なソロをはじめ(こんな演奏、他で聴いたことがない)、ベーシストのサイモン・ジョーンズはリズムを刻みながらももう一つのメロディーラインを奏で、ピーター・サルスベリーのドラムは複雑怪奇なサウンドを支えている。

そして、大ヒットした3rdやソロアルバムでは聴けないリチャードのやり過ぎなほどの狂ったボーカルは、地の底から這い上がろうともがいているようにも聴こえ、時には天から光が射し込む優しさに包まれる。



大衆受けはしないが、間違いなく完璧なデビューアルバム。


サイケデリックが好きな僕が言うのだから、興味を持った人はできればアルバムを購入して、1曲目から再生して聴いてみてほしい。


きっと、全く別の世界を魅せてくれるはずだから。











Butterfly
https://youtu.be/VwyncyoeWSQ


The Sun, The Sea
https://youtu.be/xLqh7RJIKmE


Blue
https://youtu.be/NiMbqZqjZFI


Slide Away
https://youtu.be/X45hWP_QKt0


LIVE 1993
https://youtu.be/B6pWjQB3Zas


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“コロナ収束後に観たいバンド&ミュージシャンTOP10”の巻

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皆さん、あけましておめでとうございます。


2020年内にやるべきことを何とか無事終わらせてホッとしているシューゲさんです。


……というわけで、新年一発目は“コロナ収束後に観たいバンド&ミュージシャンTOP10”を書いていこうと思う。


現在は解散しているバンドでも、主要メンバーが生存している場合は期待も込めてランキングに入れているので、そこんとこヨロシク。


では、ランキングスタート!












10位 NEW ORDER

2020年3月に予定されていた来日公演は2年後に延期となってしまったニュー・オーダー。既に購入していたチケットは返金してしまったが、開催されたら是非とも行きたいと思っている。前身バンドのジョイ・ディヴィジョン時代からの楽曲も演奏するライヴを楽しみにしている。


Crystal
https://youtu.be/KVMyXDsadLQ











9位 ACID MOTHERS TEMPLE

日本が世界に誇る最強のサイケデリックバンド。何度かライヴを観たが、そんじょそこらの海外バンドよりもこのバンドを観るのをお勧めする。サイケデリックというのがどんなのかがきっと分かるはず!


Disco Pink Lade Lemonade (LIVE)
https://youtu.be/xQDqmdCssyY












8位 Snail Mail

2010年以降にデビューしたミュージシャンもチェックしたいので、彼女もまた日本に来てほしい。デビューアルバムはここ数年で聴いた新人の中でも群を抜いている。


Pristine
https://youtu.be/s7tnTucP1UM












7位 Beabadoobee

こちらもスネイル・メイルと同じく“Z世代”と呼ばれる中で、お気に入りの女性シンガーソングライター。ラッシュ(LUSH)っぽさもあり、ドリームポップや90年代オルタナティブからの流れを汲んだ哀愁漂う楽曲と歌声をもつ彼女を応援したい。


Horen Sarrison
https://youtu.be/p9somzQe4ik














6位 SONIC YOUTH

サーストン・ムーアとキム・ゴードンという元夫婦が中心のため、再結成は厳しいだろうな……。とは思いながらも、あの前衛ポップミュージック(注:全然ポップではない)は一度ハマるとクセになるので、また活動してほしい!


Schizophrenia
https://youtu.be/fWzFkVy3s14












5位 Bruce Springsteen

85年の来日以来、一度もバンドで日本に来ていないというブルース・スプリングスティーン。歳はとってもこれだけの大物は死ぬまでに観ておかなければと思っている。


Born To Run
https://youtu.be/IxuThNgl3YA












4位 MERCURY REV

ある意味、ドリームポップの究極系だと思っているバンド。生で観た人に聞いたら「良くなかった」と言われたのだが、ライヴ音源を聴くとどれも素晴らしいので、自分の目で、自分の耳で聴いて確認したい。


Holes
https://youtu.be/Y_2c_E_c-U0











3位 MY BLOODY VALENTINE

シューゲイザーを代表するバンドなのに僕は一度も観ていない。次こそは!


Soon
https://youtu.be/586-G4TcUxQ











2位 THE POLICE

前回の記事にも書いたポリスが2位。超絶技巧のメンバー3人が生み出すグルーヴと名曲を堪能したいと思う。


Every Breath You Take (LIVE)
https://youtu.be/wdS-jpFgRo4












1位 U2

2019年12月に来日したばかりのU2が堂々の1位。あの時のライヴは多くの友人、知人が行っており、映像を観ただけでも圧倒されてしまった。しかもアルバム『ヨシュア・トゥリー』の完全再現ライヴなんて、もう二度と生でやらないだろうな……。


Where The Streets Have No Name (LIVE)
https://youtu.be/1iFwg-VXTxQ









……と、こんな感じで10組まとめてみた。観たいミュージシャンを紙にまとめてみたら5分間で30組は出てきてしまった。彼らを観られる日を楽しみにしている。













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Thanks. Sweet Dreams.

THE POLICE (ザ・ポリス)

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今回はザ・ポリス(THE POLICE)について個人的な思い出と感想を書き綴る。


僕がポリスを知ったのは高校生の頃に放送していた『20世紀ロック&ポップ大全集』(英BBC放送)という番組で、そこで70年代パンクロック特集をやっていて、彼らの映像が一瞬だけ流れていたのがきっかけだった。


しかし、その番組での彼らの扱いは代表的である“Roxanne”の歌い出しのみで、セックス・ピストルズジョニー・ロットン

「どいつもこいつもレゲエに浸透しやがる。特にポリスの『ロクサーヌ』なんて聴くと反吐が出る」

という発言をしていたため、真に受けた僕はポリスのことを『レゲエ被れのバンド』と見なすようになり、まともに聴こうともしなかった。


高校生の頃にちゃんと聴いていた70年代ロンドンパンクはセックス・ピストルズのみで、クラッシュやダムドなども僕は聴こうとしなかった。それも、あの番組や音楽記事でジョニー・ロットンが他のバンド勢をこき下ろしていたためだ。

思春期ってのは良くも悪くも好きになったバンドやミュージシャンの言うことは絶対だと思ってしまうせいか、僕がポリスの音楽と向き合ったのも20歳頃だったと記憶している。


彼らのオリジナルスタジオアルバムを初めて聴いた時はまだ『ロクサーヌ』の映像のイメージが残っていたためか、どこか冷めた気持ちで聴いていた。

しかし、ポリス活動初期と後期のライヴ音源がセットになった2枚組ライヴアルバムを聴いた時、彼らの印象がガラリと変わってしまった。



決め手になったのはドラマーのスチュワート・コープランドが撮った『インサイド・アウト』というドキュメンタリーDVDを観てからだ。

バンドデビューした頃にスチュワートは当時発売されたばかりの8ミリビデオカメラを購入していた。

そのカメラでキャリアの始まりから終焉までを完全にバンド側の視点で撮った映像は刺激的で、ステージ上でスチュワートのドラムセットの位置から客席に向かって歌うスティングの背中を映していたり、ツアーの移動中にいきなりメンバーが本気で殴り合いの喧嘩を始めたりと、生々しい熱気がダイレクトに伝わってきたのだ。

スチュワート・コープランドのドラムプレイにも魅了された。涼しい顔で「今、〇〇(演奏場所)にいるんだ」と自分がセッティングしたカメラに向かって爽やかに説明しながらドラムを叩きまくる。それがもう、バリテク(笑)。ドラムの細かな技術って僕は分からないが、そんな僕でもこの時のスチュワート・コープランドの超絶技巧ぶりに口をあんぐり開けたまま魅入ってしまった。


2008年にポリスは再結成して来日も果たしたが、僕はその時のライヴに行かなかった。

しかし、アルゼンチン公演だと思うが、後日、衛生放送でやっていた映像を観て、今度はギタリストのアンディ・サマーズの超絶変態ギターソロに魅了されてしまったのである(笑)。

『何で行かんかったんや!!』と本気で後悔した。


そして、スティングの歌も聴けば聴くほど味があるし、彼らの最大のヒット曲である“Every Breath You Take”を聴くと、ロックとかポップスとか関係なく、ジャンルを超越した普遍的な魅力をもっているのが分かる。

スティングのベースプレイもソロに入った瞬間から爆発し、ギター、ベース、ドラムが火花を散らしてぶつかり合っているかのようだ。




スタジオ盤も良いが、僕は断然ライヴ盤の方が彼らのダイナミックな演奏を堪能できると感じている。

あれだけの熱量をもった演奏はスタジオで収めきれないだろうし、もう無いかもしれないが、コロナ収束後にぜひともまた再結成してほしいと切に願う。










Every Breath You Take
https://youtu.be/OMOGaugKpzs


Voices Inside My Head / When The World Is Running Down You Make The Best Of What's Still Around (LIVE2008)
https://youtu.be/9Mr_vdG1clE


Synchronicity Ⅱ (LIVE1983)
https://youtu.be/QZAPm1NKgKE


Driven To Tears (LIVE1980)
https://youtu.be/2c01jjSwX7s


De Do Do Do, De Da Da Da (LIVE2008)
https://youtu.be/gd04nzSfmms


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映画『ミッド・ナインティーズ』

12月1日(火)、シネ・ヌーヴォ九条にて映画『ミッド・ナインティーズ(mid90s)』を鑑賞。

(注:個人的な感想を簡潔にまとめているため若干のネタバレあり。これから観ようと考えている人は閲覧するのを控えて下さい)


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監督を務めたジョナ・ヒルの自伝的作品とのことで、90年代のアメリカが舞台の映画だ。

この作品は公開前から楽しみにしていて、絶対に映画館で観ようと決めていた。


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宣伝用フライヤーには“スーパーファミコンやカセットテープ、ストリートファイター”といった言葉が並び、音楽はナイン・インチ・ネイルズトレント・レズナー&アッティカス・ロスが担当(4曲だけだが)。使用曲もニルヴァーナピクシーズ、それにモリッシーといった面々が名を連ねていたため、90年代の空気が画面を通して伝わってくるのではないかと大いに期待していた。

映画監督の自伝的作品といえば僕はキャメロン・クロウ監督の『あの頃ペニー・レインと』(超名作!)を真っ先に思い出すため、この『mid90s』にも期待せずにはいられなかった。



物語は、いつも兄のイアンに虐められている主人公スティーヴィーがスケートボードショップにたむろしている少年達と付き合うようになり、スケボーを通して不良の仲間入りを果たし、様々な経験を積んでいくという話。

主役のサニー・スリッチをはじめ、何人かはプロのスケートボーダー兼俳優だそうだ。

道路のど真ん中で仲間と一緒にスケボーに乗って坂道を下っていくシーンなど、印象的な場面が沢山あった。

スケボーにのめり込み、酒や煙草を知り、異性に興味を持ち、仲間とクールにキメるようになっていく。

ティーヴィー少年が周囲の影響を受けて変わっていくその様は、男なら誰でも一度は憧れたことのある“ワルの世界”だと感じたし、多感な十代にこうして羽目を外して生きた人は共感できるだろう。

そして、こうなりたくてもなれなくて、たった一度きりの青春を真面目くさって生きた人にとっては映像を通して疑似体験できるかもしれない。



しかし、魅力的な登場人物も多かったしストーリー自体も良い感じで進行していったが、あまりにも中途半端なところでいきなり映画が終わってしまったのが残念でならなかった。

物語終盤を鑑賞中、『まさか、このまま終わるんじゃないだろうな……?』と思っていたら、本当にそのままスタッフロールに突入してしまった。

あまりにもブツ切り状態というか、鑑賞中も『あと20〜30分は続くだろうな。でなきゃ、おかしいよな』と思いながら観ていたら、いきなり終了するという。

良い感じで進行していたはずが、余韻を残せないまま終わってしまうため、消化不良感が酷かった。


実際、映画が終了してからの他のお客さん達の熱気みたいなのも感じられなかったし、皆あっさりと外に出ていったのが全てを物語っていたと思う。


それと、90年代を舞台にしていて主人公がストリートファイターのTシャツを着用していたり、スーファミや初代プレイステーションで遊んでいるシーンもあったり、エアジョーダンが出てきたり、ラックにずらりと並んだCDやカセットテープも登場していたが、それらがけっこうサラ〜ッと流れていったというか、個人的には“90年代の懐かしさ”をあまり感じられなかった。

僕としては『あの頃ペニー・レインと』のような時代の空気を感じたかった(70年代初頭の物語なのに、見事に時代の空気を表現できている)し、『mid90s』にもジョナ・ヒルという監督自身が90年代に体験した思い出を伝えきってほしかった。

決して悪い作品ではないし、寧ろ名作に入りそうな雰囲気を漂わせているのだが、ホント、あと20〜30分物語の続きを描けていたら、自分の中で名作になっていたんじゃないかと思う。それだけに残念でならない(実際、作品自体も85分とかなり短めだった)。

ストーリーに直接関係の無いカルチャー的な要素にもっと時間を費やしても良かったのではないかとも感じた。



ただ、ネットではかなり高評価を得ているようなので、90年代にリアルタイムでラップやファッションなどのアメリカ文化に親しんだ人には良かったのかもしれない。













『mid90s』予告編
https://youtu.be/H1EhIaSTz5Y


Trent Reznor & Atticus Ross / Finding A Place
https://youtu.be/4t6aSH4Cq7E


PIXIES / Wave Of Mutilation
https://youtu.be/Q40-TT6swoE


NIRVANA / Where Did You Sleep Last Night (LIVE)
https://youtu.be/hEMm7gxBYSc


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HAVE A NICE DAY !!

Malory (マロリー)

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今回はドイツのシューゲイザーバンド、マロリー(Malory)について。


……といってもこのバンドのことを全然知らないのだが、調べてみると90年代から活動しているようだ。

マロリーの音楽を聴いたのはつい最近のことで、それもspotifyでフランスのバンド、M83を聴いていた後にお勧めで流れてきたんだと思う。


音楽性は思いっ切りシューゲイズしていて、この手の音が好きな人は一聴しただけで気に入るかもしれない。……が、良くも悪くも、あまりにも初期スロウダイヴに似すぎている。

しかし、個人的には楽曲や音楽性が似すぎなバンドって苦手なのだが、このマロリーに関しては何故か抵抗なく聴けてしまう。

敢えてスロウダイヴと違う点があるとすれば、曲によってはよりビートが効いているところだと思う。

そして、影響を受けながらも“Falling”や“Space In Your Mind”といった楽曲にはただのフォロワーでは終わらない魅力も感じる。



最近は実生活で色々と波があるのと、90年代アメリカン・オルタナティヴ・ロックを中心に聴いていたせいか、こういう心が落ち着くタイプの音楽を自然と求めていたのかもしれない。











I Can't Stand
https://youtu.be/T1uhr_mYBrg


Underwater
https://youtu.be/jT94lzfgwWU


Space In Your Mind
https://youtu.be/6m6ktNixZUE


Falling
https://youtu.be/ZVy8JlPFUJc


Spring
https://youtu.be/A2SWipu_42A


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See You Tomorrow.

Beabadoobee / Fake It Flowers (2020)

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今回は10月に発売されたばかりのビーバドゥービー(beabadoobee)の1stアルバム“Fake It Flowers”について。


この人のことを僕は1~2年程前に知ったのだが、spotifyでたまたま聴いた彼女の音源が耳に残り、それからずっと応援している人だったりする。



……というか、日本で最初に紹介された時は“ベアバッドゥービー”と表記されていたのに、いつの間にか変わっていた。

片仮名読みはどうもなぁ〜、と最近思っている。

カート・コバーンなのかカート・コベインなのか、デュアン・オールマンなのかデュエイン・オールマンなのか……とか、統一してほしいというか、これからの時代はネイティブな発音で覚えていった方が良いんじゃないかと個人的には思っていたりする。


ベアさんに関しては、これから僕は「ビーさん」と呼ばしてもらうことにする。



話が脱線してしまったが、僕が彼女の楽曲を気に入りspotifyでフォローした時点でフォロワー数が約60万人もいて『一体何者や?』と思っていたのが、現在では2000万人近くにもなっているのである。

初めてYou Tubeにアップした“Coffee”という曲の再生回数がたった数日で何十万回も記録したとのことで、僕が知った時にはビーさんはspotifyでシングル曲や数曲入りのEPを発表するなどして少しずつ楽曲を増やしていた。

僕は彼女の曲を昨年とてもよく聴いて、全7曲収録の“Loveworm”というEPを一時期ヘヴィロテしていたほど大のお気に入りだった。

ドリームポップやシューゲイザーが大好きな僕にとって彼女の生み出す楽曲はドンピシャで、それこそ何回リピートしたか分からないほどだったが、音源は配信のみでCD化もレコード化もされていないのが不満だった。

『もうCD化されてるかな?』と定期的にチェックしているのだが、2020年11月現在の時点ではまだされていない。

ビーさん自身がビリー・アイリッシュやスネイル・メイルなどと同じ“Z世代”と呼ばれる人のため、音楽はCDではなくYou Tubeなどの動画や配信で親しんできたのも原因なのかな、と感じている。


今はもうspotifyで音楽を聴くのがメインになってしまったため余程のことがなければCDを買わなくなってしまったが、彼女の音源は盤で所有していたいとずっと思っているので、もしレコード会社の方がこのブログを読まれていたらお願いします!




そんなビーさんの初CD化された作品が先月発売された1stアルバム“Fake It Flowers”だ。


最近はネットで音楽情報を仕入れることが殆どなくなっていたため、『おお、出てたんや!』と慌てて購入したのである(笑)。


ビーさん待望の1stフルアルバムは瑞々しさに満ちており、まだ若干20歳(!)という年齢なのに既に完成された世界観と音楽性で、シングル曲やEPをコツコツ発表して自力をつけていったのだなと感じた。

音楽性に関しては、以前にも書いた通りラッシュ(LUSH)のミキちゃんにも歌声や雰囲気が通じるものがあり(実際、ミキちゃんから影響を受けていると発言している)、それだけでなくこのアルバムを聴いて個人的に感じたのは、サンデイズにも近い感覚があったことだ。

いくつかの楽曲や歌い方がボーカルのハリエット・ホイーラーにも似た不安定な感情表現というか、ビーさん自身がサンデイズを聴いていたのかは分からないが、直接的か間接的かも分からないが、それでも確実にサンデイズの影響を受けていると感じた。


あと、彼女はソロミュージシャンではあるがバンド形態で活動をしているようで、今はこういうタイプのやり方がファンにとっても一番安心できる形だと思う。

あくまでソロ名義で、自分で作った曲を好きなように演奏しながらも、バンドとしてやれる。解散する心配も無いし、音楽活動を長くやるには最高なのではないか。




そんなワケで、ビーさんのこれからの活躍を楽しみにしながら、発売されたばかりのこのアルバムと初期音源を聴きながら僕は応援していく。


コロナウイルスをはじめ、これからの10年間はそれまでに経験したことのない時代へと突入すると言われている。

それまで当たり前だったことが通用しなくなる時代がこれからやってくる。……というか、もう既にやってきている。

それでも希望を失わず人が生きていくには、音楽をはじめとする芸術の力が絶対に必要だと僕は思っている。

それも、ビーさんをはじめとする若い世代が新しい価値観を作り、前世代の僕らも彼女達に負けないよう、希望を持って生きることが大切だ。


この2020年代が素晴らしい10年間になるよう、そんな願いを込めて“Fake It Flowers”をこれからも愛聴していくことになるだろう。













Horen Sarrison
https://youtu.be/p9somzQe4ik


Dye It Red
https://youtu.be/sMvTB9UHPBY


Care
https://youtu.be/9FpkHjJTrZY


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I Love You Forever.

祝!ブログ3周年!!と思ったら……

2017年10月29日に始めた当ブログも遂に3周年を迎えたのである。


どんどんひゅーひゅーパチパチ〜〜♪



……と、思ったら違っていた!!



11月29日か!!



まあいいや(笑)。


3周年のつもりで書いてしまったため、せっかくなので投稿しとこ。


また思いつくままに書き綴る。




最近はあまり更新できてはいないが、間隔が空きながらもこうして続けているのは自分にとっても自信に繋がるものがあったりする。


“継続は力なり”だと最近つくづく感じている。




ここで、当ブログを始めた頃の話を少しまとめようと思う。


実は、立ち上げた当初はブログ名が違っていた。




【シューゲさんの幸せ音楽人生】というブログ名だったのだ。



う〜〜ん……



謡曲!!(笑)




『何かちょっと変だな』と思い、直ぐにタイトルを変え、



【シューゲさんの幸せ音楽日記】へと変更した。



う〜〜ん……



演歌!!(笑)





というワケで、色々と試行錯誤した末に、立ち上げた3日後には現在のタイトルである【シューゲさんのまったり音楽日記】に落ち着いたのである。


語感の響きも良い感じだし、自分のペースで更新できる、タイトル通りのブログだと今も思っており、満足している。





そして、もうひとつ。


始めてから1年ほどは『このブログでガッポリお金を稼ごう』と考え、毎日のように投稿していた時期もあったが、『はたして自分はブロガーになりたいのだろうか?』と悩み、無理して毎日書くよりも、書ける時に投稿する方が良いと思うようになり現在に至っている。


音楽ブログをやっているおかげで知り合えた人達もいてるし、好きなミュージシャンに会えたりと、面白いことが沢山あった。



そして、毎回の投稿を楽しみにしてくれている読者がいるというのがモチベーションに繋がっているので、読んで頂いてる皆さんには本当に感謝しています。


ブログ内で紹介したいミュージシャンはまだまだ沢山いてるので、気長にお付き合い下さい。






では、今夜の一曲。




キース・ジャレットの“I Loves You Porgy”。



最近の執筆活動中のBGMにしている。



この人のピアノを聴いていたら心が落ち着くね。




いつものような音楽記事はまた明日にでもアップする予定なのでお楽しみに♪










Keith Jarrett / I Loves You Porgy (LIVE)
https://youtu.be/-jD6zGOhDNs


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Are You Okay?

DELAYS (ディレイズ)

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今回はイギリスのバンド、ディレイズ(DELAYS)について書き綴る。



ディレイズは兄グレッグ・ギルバート(ボーカル&ギター)と弟アーロン・ギルバート(キーボード&ボーカル)の美形兄弟を中心に、学生時代の友達と組んだバンドで2003年にデビューした。


僕がこのバンドを知ったのは2006年頃で、2ndアルバム“You See Colours”の発売前に音楽誌で紹介されていたのがキッカケだった。

それまでディレイズというバンド自体知らなかったが、新作情報コーナーに掲載されていた「2ndアルバム用のデモ音源を100曲作っていたが、その音源を収めたデータを無くしてしまった」というメンバーの発言が印象に残り、どんな音楽をやっているのだろうと思っていた。

その後、新たに書き下ろした楽曲でレコーディングし、完成させたのが“You See Colours”というアルバムだった。

その時点でかなり興味があったが、決め手になったのは、彼らが完成させるまでによく聴いていた3枚のアルバムを挙げていたのを読んだ時だ。

3枚のうち2枚がベックの“Sea Change”とヴァーヴの1st“A Storm In Heaven”で、僕の好きなアルバムが2枚入っていたため、『これは期待できるんじゃないか』と思い、購入に至ったのだ。
(注:あと1枚は何だったか忘れました……)


“You See Colours”というタイトルにも惹かれたんだと思う。

『どんなきらびやかな音を出すバンドなんだろう?』と期待してCDを再生し、その後、僕のお気に入りの1枚となった。

このアルバムの特徴である“ちょっと捻くれたポップ”も面白かったが、それ以上にメインボーカルを務めるグレッグの歌声が特に印象深く、透き通る高音ファルセットで美声を聴かせるかと思えば、濁った渋い声も出せるという。こういうタイプのボーカリストって他にはMEWのヨーナスぐらいしかいないんじゃないかと今でも思っている。


その後に聴いた1st“Faded Seaside Glamour”は2ndとはまた全然違っていたが、これも最高の1枚だった。

全体的にクリーンな音作りはザ・スミスやザ・ラーズなどの流れを受け継いでおり、古くはビーチ・ボーイズやバーズから影響を受けた極上のハーモニーを聴かせ、曲によってはコクトー・ツインズからの流れも感じるが、グレッグの変幻自在のボーカルを中心に“ディレイズの音”として鳴っている。

甘酸っぱいサウンドが好きな人は絶対気に入るはずだ。



ディレイズは2008年に3rd、2010年に4thアルバムと、2年に1枚のペースでアルバムを発表していたが、それ以降は活動を休止している。

休止の理由はグレッグ・ギルバートに癌が発覚したためで、2020年の現在も治療中だそうだ。



最近になって久しぶりにこのバンドを聴き返しているが、当時聴いていたよりも今の方が、よりその凄さが分かる。


大変な状況だろうが、無事に完治してまた素晴らしい音楽を聴かせてほしいと願っている。













Hey Girl
https://youtu.be/4AmmeuNAdWw


Long Time Coming
https://youtu.be/Z7amOOAide8


Valentine
https://youtu.be/ltgImqoSYnA


Out Of Nowhere
https://youtu.be/JJNimtePjAE


Valentine (LIVE)
https://youtu.be/_NeUSjOw0l8


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I Wanna Meet You.