Charlie Watts (チャーリー・ワッツ)
2021年8月24日に逝去したローリング・ストーンズ(THE ROLLING STONES)のドラマー、チャーリー・ワッツ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8f3d6f7cfc421fa339d08bd2d884ebca52373786
(『チャーリー・ワッツ死去』の記事)
https://news.yahoo.co.jp/articles/da0193291b18ddd3cea5cddb21f9142bc4c5f2c9
(『チャーリー・ワッツ、最後のパフォーマンス』記事)
ミュージシャンの訃報で一番泣いた……。
バンドがデビューする直前にメンバーから説得されて加入を決意したというチャーリー・ワッツ。
彼が逝去してからデビュー直後の60年代前半の楽曲を中心にストーンズを聴いていたが、今改めて聴いても、ドラムが安定しているおかげで他のメンバーが自由に演奏できているのがよく分かる。
当ブログで何度も書いている通り、ストーンズは僕がロックを聴くきっかけを与えてくれたバンドだ。
ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ブライアン・ジョーンズというイカれた連中の中で、唯一『普通の人がいる……』と思わせてくれたチャーリー。
フロントの3人とベースのビル・ワイマンはグルーピーに手を出しまくっていたにも関わらず、チャーリーはファンの女の娘に手を出さなかったことでも有名で、ロックンロールの狂気の世界で平静を保っていた彼は全然ロックっぽく見えなかった。
ちなみにチャーリー自身はジャズ畑出身で、普段ロックは全く聴かないそうだ。しかし、かなりロックな一面もあったりする。
写真撮影時はスーツでビシッとキメて写ることが多かった彼は英国紳士……というよりも僕には普通のサラリーマンっぽく見え、『ロックバンドの一員なのに、何で彼はこんなに普通の格好しているんだろう?』なんて違和感が最初はあったものだ。
しかし、そんな風に感じていた僕もストーンズの写真や映像を観る度に段々と彼の立ち位置というかそのキャラクターや佇まいが好きになり、気が付いたら『このクセのある連中をまとめてくれる人』という、一見するとアンバランスなようで、実は絵的にもバランスを取ってくれていると感じるようになっていった。
サウンド的にも派手さは無いがルーズなストーンズの音に彼のタイトなビートが合わさるおかげで独特なグルーヴを生み出しているのも聴いていくうちに感じるようになったし、ずっとストーンズを聴き続けている僕みたいなファンからすれば、チャーリーのいないストーンズなんて考えられない。
余談だが、僕がギターをやっていた時に他の音楽好きな連中と遊びでバンドじみたことをする機会があり、その時に彼らの“Start Me Up”をやることになったのだが、ドラムを担当した人がCDを聴きながら「リズムの入り方が独特すぎて分かれへん」と何度も首を捻り、スタジオに入る直前までイントロを繰り返し聴いていたのを見て、『あ、チャーリーってやっぱり凄いんや!』と感じたものだ。
生まれて初めて観たロックコンサートが98年に大阪ドームで行われたストーンズの『ブリッジズ・トゥ・バビロン・ツアー』で、ミック・ジャガーの超人的なパフォーマンスに度肝を抜かれたが、楽器隊ではキース・リチャーズやロン・ウッドのギターよりも、実はチャーリーのドラムに衝撃を受けてしまったのも良い思い出だ。
涼しい顔で軽くドラムを叩いているように見えて、腹の底まで響いてくる感じ。
今思えば、あの時にボーカルやギター以外の楽器の重要性を初めて知ったかもしれない。
スタジオでノッてきたミックが勢い余ってシンバルを蹴飛ばした時、ミックの胸ぐらを掴んで「俺のドラムには手を出すな!」と言ったという。
80年代にバンドが空中分解していた頃、電話でミックに「ヘイ!俺のバンドのドラマーかい?こっちに来てくれよ!」と言われた際は、時間を掛けていつものようにスーツに着替え、ネクタイを締めて出ていき、ミック・ジャガーと対面して一発ブン殴ったという。そして、あのミックに「お前は俺のバンドのクソッタレシンガーだ!」と言い放った。
口数が少なく、冷静で、だけど芯があり、信念を持ってドラムと向き合っている。
そんなチャーリー・ワッツが大好きだった。
チャーリー、安らかな眠りにつかれるよう、お祈り致します。
Charlie Watts Quintet (LIVE 1996)
https://youtu.be/yJlw5jUZ_FI
All Down The Line (One Camera Shot)
https://youtu.be/MiswNgUYD4M
Midnight Rambler (LIVE 1972)
https://youtu.be/NHZeBKfoNEc
Memory Motel
https://youtu.be/MdpeyQkOK6g
DELAYS / Hey Girl
ディレイズ(DELAYS)については以前にも書いたのだが、今回は“Hey Girl”という初期のシングル曲について個人的な想いを少しばかり書き綴る。
たまに無性に聴きたくなるこの曲。
UKロック特有の叙情的なメロディーと甘酸っぱいボーカル。
間違いなく僕がディレイズの楽曲で一番よく聴いたのがこの曲で、実は今年初めに書いていた小説のタイトルにさせて頂いたのだが、これがまたつまらなくて……(って、自分で言うな!)。
ライトノベルを書こうと執筆していたのだが、何回書き直してもしっくりいかなくて、結局ボツにしてしまったんだな。
書いてる時はこの曲をはじめディレイズを流していたし、彼らの楽曲から想像力を膨らませて物語を創っていたし、もしアニメ化でもされたら絶対にこの曲を主題歌にしてほしい、なんて思っていたものだ。
また書き直してみようかな……。
アコースティックバージョンの演奏動画も発見して、これも良かったので是非ご一聴頂けたらと思う。
今回改めて聴いて、アコースティックバージョンも聴いて思ったのが、このバンドが持っている“ピュアさ”が楽曲や演奏を通して僕ら聴き手に伝わってくる感じがして、そこが一番共感できて好きなんだろうな。
現在はバンドとして活動できないでいるが、こんなに人を感動させてくれる音楽を作ってくれた彼らに僕は感謝しているよ。
(※1stアルバムの1曲目“Wanderlust”のライヴバージョンも素晴らしいので添付しときます)
Hey Girl
https://youtu.be/4AmmeuNAdWw
Hey Girl (Acoustic Version)
https://youtu.be/wAp6FKkRWPk
Wanderlust (LIVE)
https://youtu.be/tESSKvE-as4
AMUSEMENT PARKS ON FIRE / AN ARCHAEA (2021)
アミューズメント・パークス・オン・ファイア、まさかの4thアルバム発表!
3rd“ROAD EYES”から11年ぶりの新作だが、その間に活動休止と再開を挟みながらもシングル曲を発表していたため、アルバム制作に至るまでの流れは至極当然だったのだろう。
当ブログで何度も書いている通り、僕はライドの1stアルバム“NOWHERE”を聴いた瞬間、雷が落ちたような衝撃を受けてしまった一人だ。
そんな僕にとってアミューズメント・パークス・オン・ファイアの音楽というのは、“もしもライドが初期の音楽性のまま続けていたら、どうなっていたか?”という妄想を具現化してくれたバンドだった。
彼ら(といっても、実質はフロントマンであるマイケル・フィーリックのソロプロジェクトだが)がこれまで発表してきたアルバム3枚とシングルの数々は、方向性がブレることなく常に一貫しており、しかも、どの楽曲もクオリティーが非常に高い。
そして、この新作もそんな僕の期待に見事応えてくれている。
アルバムに収録されている全10曲、そのどれもが素晴らしい。
……というか、彼らが発表した楽曲にハズレは1曲たりとも無い。
ギターロック自体がもう世界の音楽の主流で無くなってしまったが、それでも彼らは変わらず、歪んだエレクトリックサウンドを響かせている。
このバンドの特徴であるドラマティックな展開も、攻撃的なディストーションサウンドも、そしてマイケル・フィーリックの甘美な歌声も、何もかもが全く衰えておらず、僕達に夢の続きを聴かせてくれているようだ。
間違いなく名盤。
世間ではその存在を殆ど知られることが無く過小評価されているかもしれないが、アミューズメント・パークス・オン・ファイアは21世紀のギターロックに名を残すに相応しいバンドだと僕は思っている。
Old Salt
https://youtu.be/T6Td6SzBiYs
Breakers
https://youtu.be/2eNPaj0qVR8
Aught Can Wait
https://youtu.be/ZmAUmx8HBDM
Boom Vang
https://youtu.be/NMNl-cws8gY
THE DEPRECIATION GUILD / SPIRIT YOUTH (2010)
最近はBGMとして音楽を聴くことが多いため、聴き心地の良いドリームポップを流している。
ザ・デプレシエーション・ギルド(THE DEPRECIATION GUILD)の2nd“SPIRIT YOUTH”はそんな今の僕の心情にピタリと寄り添ってくれるアルバムだ。
ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートのメンバーが別バンドとして活動し発表したアルバムだが、これが本家ペインズに勝るとも劣らない楽曲で構成されている。
ファミコンの8bit音源を駆使しているが、聴けばちゃんとドリームポップしているという。
80年代ポップスで多用されたシンセサイザーの音は軽すぎて個人的にはあまり好きではないのだが、ファミコンの音に関してはチープながらも温かみがあると感じている。
そんな懐かしい音がバンドサウンドと混ざり合い、名曲の数々を生み出している。
(※どちらかというと彼らの1stアルバムの方がよりファミコンしているので、気になった方は是非聴いてみて下さい)
特に、このアルバムに収録されているM4“Dream About Me”は隠れた名曲というのに相応しく、夜に聴くと一日の疲れをほんの一瞬だけでも忘れさせてくれる楽曲だ。
日本盤に収録されているボーナストラック2曲もデモ音源ではあるが素晴らしい。
90年代シューゲイザーに思いを馳せる人達にもお勧め。
Dream About Me
https://youtu.be/Tks8LT05i1U
Through The Snow
https://youtu.be/4-jyyaR18_s
Blue Lily
https://youtu.be/C_9D57Ao5XQ
Dream About Me (PV)
https://youtu.be/9eliubzBPzw
Japanese Breakfast / JUBILEE (2021)
ここのところ2010年代以降に登場したアーティストの曲をよく聴いており、特に先日発表されたばかりのジャパニーズ・ブレックファーストのニューアルバム“JUBILEE (ジュビリー)”を何度もリピートしている。
「聴いている」とはいっても何かとやることが多いため、限られた時間の中で意識して楽曲に耳を傾けている時といえば通勤中にSpotifyで聴いている程度で、あとはBGMとして流していることが多い。
このアルバムには、いつ、どんな状態の時でも安心して聴けるタイプの楽曲が集められている。
ヒーリングミュージックのようにリラックスさせてくれる歌声と楽曲。
80年代ポップスぽい懐かしさもあるが、不思議と古さは感じず、確かに2021年の音として鳴っている。
最近は聴き心地の良さを重視しているため、以前のように勢いのあるロックをあまり聴かなくなっている。
そんな今の僕の心情に、このジャパニーズ・ブレックファーストの新作がマッチしたのだと思う。
Be Sweet
https://youtu.be/2ZfcZEIo6Bw
Slide Tackle
https://youtu.be/0-EMiEpXLJg
Tactics
https://youtu.be/-LJNqfcvKOI
THE ROLLING STONES / VOODOO LOUNGE in JAPAN (1995) “人生を変えた出来事”
つい先日、無性にストーンズのライヴDVDを観たくなり、4枚組DVD『ライヴ・リックス』(2002~03年のツアー映像)に収録されているスタジアム公演を観賞した。
軽い気持ちで観始めたが、この映像を観ているうち、初めて僕がロックにのめり込んだ時のことを思い出し、あの時の興奮が蘇ってきた。
というわけで、今回は僕がロックを聴くきっかけになったローリング・ストーンズの1995年3月12日に東京ドームで行われた“VOODOO LOUNGE in JAPAN”の思い出について語っていく。
「語っていく」とはいっても、僕はこの日のライヴを生で観たわけではなく、NHK-BSで放送されていた映像を偶然テレビで観た時の思い出だ。
このたった一本のライヴ映像を観たおかげで僕はロックを好きになり、アマチュアだがバンドを組んでいくつかのライヴをやるようになり、辞めた後もリスナーとして今も音楽を聴き続けている。
そんなきっかけを与えてくれたこの『ヴードゥー・ラウンジ・ツアー』での東京公演とは、十代の僕の目にどう映ったのか?
当時の僕はこれといった趣味も特技もなく、ただ時間を浪費していただけだった。そんな日々を過ごしていたある日、バイトから帰宅して疲れてテレビを観ていたら、このライヴが放送されていたのだ。
何となしに観ていたが、演奏が進むにつれ、僕の中で『ロックンロール』という言葉が自然と頭に浮かんできた。
そして、7曲目に彼ら最大のヒット曲である“Satisfaction(サティスファクション)”のイントロが鳴り響いた瞬間、胸の奥底から熱いものが一瞬にして全身に燃え広がっていったのだ。
『サティスファクション』の演奏が終わった瞬間、『……これがロックンロールってやつか!……これが、ローリング・ストーンズか!!』と心の中で叫んでいた。
それからは番組が終わるまでの約2時間半もの間、瞬きするのも惜しくて、本当に瞬きひとつせずテレビ画面に釘付けになっていた。
ギターのキース・リチャーズの“ワル”な佇まいやオーバーアクションでキメまくるパフォーマンスも最高にカッコ良かったが、歌って踊って息切れすることなく躍動するミック・ジャガーに心を奪われてしまっていた。
あの時にストーンズのライヴ映像を観ていなくても、きっと僕は、いつかはロックにハマっていただろう。それは間違いない。
だけど、あの瞬間がなければロックを好きになるのはもっと遅くなっていたはずだ。
ストーンズについては音楽的には70年代末までが評価されていて、歳をとってからの彼らに対して色々言う人達も少なくはない。
しかし、僕にとっては、歳をとってからの彼らのライヴ映像に魅了されてしまったのは紛れもない事実であり、それを否定するつもりは無い。
「昔の曲で生き延びている」、「全然ダメ」、「60~70年代の方が良かった」など色々な意見があるだろうし、実際、そんな言葉や記事がよく耳や目に飛び込んでくる。
だが、そんなことを言われると、あの時、あの瞬間に熱く燃え上がらせてくれた僕自身を否定された気持ちになってしまうし、誰がどう言おうが、どう思おうが、あの時のストーンズは僕の人生を間違いなく変えたのだ。
先日、久々に観た『リックスツアー』でのスタジアム公演でのミック・ジャガーは、あの時点で60歳だったはずだ。
それでも、彼らはエネルギッシュに2時間ものステージを歌って踊って演奏して、あの独特なヘロヘロで下手ウマのロックがワケの分からない強大なパワーを生み出し、何万人もの観衆を熱狂させていた。
ストーンズ自体はもうとっくの昔に頂点を極めてしまったバンドで、辞めようと思えばいつでも辞められたはずだ。
それでも、彼らは一度も解散することなく、今年78歳になるミックとキースを中心に、今も止まらずに転がり続けている。
そして、同業者や世間から文句を言われながらも、何曲ものキラーチューンを引っ提げて、一度のライヴで50万人や120万人の観客を前にして、暴れまくっている。
『何でそこまでやり続けるのだろう?』
今も活動を続ける彼らを見てはそんなことを思ってしまうが、彼らはロックバンドやミュージシャンの限界を自分達の手でブチ破っていってるように見える。
彼らを見て『俺もまだまだやれるぞ』と元気をもらっている人達が、僕以外にも世界中に沢山いてるはずだ。
Rocks Off (LIVE1995)
https://youtu.be/TJnPoWcuTvc
Satisfaction ~ Brown Sugar (LIVE1995)
https://youtu.be/mRg_1rynqj8
Monkey Man ~ Street Fighting Man (LIVE1995)
https://youtu.be/4ThX1gl7YDY
橋本孝之さんへ……
以前、親しくして頂いたミュージシャンの橋本孝之さんが5月10日に永眠された。
僕が知ったのは先週のことで、あまりに突然すぎたため、暫く放心状態になってしまった。
僕が彼と交流を持っていたのは1年8ヵ月程だった。
しかし、会っていない間もたまに彼のことを思い出しては『元気にしているかな』と気にしていた。
たった1年8ヵ月程ではあったが、その間に彼のユニットである.es(ドットエス)のライヴを10回は観ていた。
橋本さんを初めて見た時の印象は今でもよく覚えている。
スタイリッシュで、どこか影のある人だと思った。
サックスを吹奏楽器として吹くだけでなく、指や掌で叩いて打楽器のように扱っていた。
“常識”というものに囚われない人。……というか、“常識”という壁をブチ壊そうとしているように見えた。
サックスだけでなく、ギターやハーモニカでも既成概念を無視しては、“表現”の可能性をとことんまで追求していた。
普通の音楽をやろうと思えばやれたはずなのに、敢えて別の道を選んだ人だった。
何度かお会いするうちに僕は彼と仲良くなり、「ミュージシャンとしての原体験はビートルズだった」というのを知った僕は、かわぐちかいじの漫画『僕はビートルズ』のコミックス全巻を彼にプレゼントした。
彼はとても喜んでくれて、「お返しです」とビートルズのノートを頂いた。
僕が多大な影響を受けたミュージックライターの森脇美貴夫氏の著書『イギリスのパンク/ニューウェイヴ史』を見せると彼は喰い入るように読み始め、「実は僕、今はこういう音楽をやってますけど、元々はピストルズとかのパンクが大好きなんですよ」と言い、シド・ヴィシャスのライヴ盤の話をしてくれたこともあった。
ストーン・ローゼズやライドなどもご存知で、フリージャズに影響を受けたのかと思っていたら「普段はジャズをあまり聴かないんです」と言っていたのも印象的だった。
海外ミュージシャンに僕を紹介してくれた際、“He is my friend”とさらりと言ってくれ、僕は感情を表に出さないようにしていたが、本当はものすごく嬉しかった。
最後に会った日の別れ際、「いつもありがとうね」と言ってハグしてくれたのを、僕は覚えてますよ。
橋本孝之さん、ご冥福をお祈りします。
beabadoobee / Last Day On Earth (2021)
最近は音楽を聴く時間がめっきり減っていて新譜のチェックもろくにできていなかったため、ビーバドゥービー(beabadoobee)のこのニューシングルの存在も昨夜知ったばかりだ。
元々、アコギを掻き鳴らして自室で曲作りしていた彼女らしく、コロナ禍においても変わらず順調に楽曲を発表しているみたいで、無名時代からビーさんの曲を聴いているこちらとしても嬉しくなる。
ドリームポップ全開のこの曲を太陽の下で聴いていると、沈みがちだった心が洗われていくような気がした。
儚げな歌声と曲調が、ちょうど今の自分が求めていた音だったんだと思う。
シンプルで目新しさは無いかもしれないが、クラウドベリー・ジャムやクランベリーズなどが好きだった人もきっと気に入るはず。
BGMとして聴くも良し、じっくり聴き込むも良し。
こんなご時世だからどうしても気分が塞ぎがちになってしまうことがあるけど、この曲を聴いてたら『頑張ろう』って気持ちになったよ。
音楽ってやっぱ良いもんだね。
Last Day On Earth (Audio)
https://youtu.be/CLbYwhl9ork
Last Day On Earth (PV)
https://youtu.be/AwpVNq1FeEk
MEEKS / BEATLESS -shoegazer covers of THE BEATLES- (2013)
数あるビートルズのカバーアルバムの中で、個人的に一番のお気に入りがこのアルバムだ。
ビートルズ好きな人、シューゲイザー好きな人に超お勧め。どっちも好きな人にはたまらんアルバムだ。迷わず盤で購入すべし。
“THE BEATLES”とマイブラの“LOVELESS”を掛けて“BEATLESS”というタイトルのセンスも素晴らしい。
タイトルにある通り、ビートルズの楽曲をシューゲイズにしてしまっている。
めっちゃシューゲイズしまくっています、ハイ。
ミークス(MEEKS)はブロークン・リトル・シスター(broken little sister)というバンドの変名で、メンバーは全員日本人。
全10曲はこんな感じで構成されている。
1.Across The Universe (ジョン)
2.Norwegian Wood (ジョン)
3.Something (ジョージ)
4.Yesterday (ポール)
5.And I Love Her (ポール)
6.Tomorrow Never Knows (ジョン)
7.Nowhere Man (ジョン)
8.In My Life (ジョン)
9.Strawberry Fields Forever (ジョン)
10.Let It Be (ポール)
(※カッコ内はオリジナルのメインボーカル)
ジョージ・ハリスンが1曲、ポールが3曲、そしてジョン・レノンのメインボーカル曲が6曲。
かなり偏っているし、ビートルズ中期以降はポールの曲数の方が多いにも関わらず、ジョンのカバー曲が多いのは何故?と思ったが、ジョンのサイケ掛かった歌声や曲調の方がシューゲらしさがあって表現しやすいのかもしれない。
欲を言えば是非ともシリーズ化して、ビートルズの全楽曲をカバーしてほしいな。
Tomorrow Never Knows
https://youtu.be/Y7-M-lgm2xY
Norwegian Wood
https://youtu.be/S6NgcnWPPko
Strawberry Fields Forever
https://youtu.be/NTxeNU0bPcg
Let It Be
https://youtu.be/XxC9HUEeqY8
OK.
RELUCTANCE (リラクタンス) 〈John Squire's Skunkworks〉
前々回にジョン・スクワイア率いるシーホーセズのアルバムについて書いたが、ついでに解散後に結成されたジョンの新バンドの音源をYou Tubeで聴いていたので、今回はそのリラクタンス(RELUCTANCE)について書き綴っていく。
99年初頭に突如シーホーセズを解散させたジョンは、直ぐに新バンド結成に動き出し、イギリスの音楽誌“メロディーメイカー”にて一般人に混ざりバンドメンバー募集の記事を掲載した。
その時の募集要項が“年齢、性別、国籍、宗教など問わず”みたいな書き方をしていたのが彼らしいというか、おかげで日本の音楽誌にも掲載された。その頃のことは僕もかなりハッキリと覚えている。
そして、仮のバンド名だと思うが、当時は“ジョン・スクワイアズ・スカンクワークス(John Squire's Skunkworks)”と名乗っていた。
正直いって『……ダッッッサ!!』と思ってしまったのである。
先日の記事にも書いたが、ジョン・スクワイアという人はギターや作曲だけでなく、絵画にファッションと、全部がセンスの塊だと僕は思っていたのだが、そのバンド名を知った時はドン引きしてしまい、『大丈夫なんかな……』と一抹の不安がその頃からあったのは確かだ。
そんな経緯で集まったメンバーどんな人達だったかというと、シーホーセズ時代に途中加入したドラムのマーク・ヒーニー(後にギャング・オブ・フォーのメンバーとなる)、ベースに元ザ・ヴァーヴのサイモン・ジョーンズ、そして当時若干19歳の元モデルという異色の経歴をもつダンカン・バクスターだった。
ヴァーヴのサイモン・ジョーンズのベースは当時から好きだったので僕は彼の加入を喜んだし、マーク・ヒーニーという人はシーホーセズ時代にジョンが「今まで見た中で一番のドラマーだった」(当時のインタビューでの発言)と言っており、公式音源として彼のプレイが残されないまま解散したため気になって仕方がなかった。
そして、本来ならシーホーセズの2ndアルバムに収録されるはずだった楽曲をこのリラクタンスで演るという情報も入っていたため、『いつ聴けるんだろ?あ~、早くアルバム出してくれ!』と僕はひたすら首を長くして待ち続けていた。
99年に音楽誌の最新情報コーナーでこのバンドが“リラクタンス”という名前に変更されたという記事が載っていたりしてホッと胸を撫でおろし(笑)、当時はページの隅っこに小さな記事でちょこちょこと活動内容が記載されていたのだ。
因みに“RELUCTANCE(リラクタンス)”という単語は“未練”とか“心残り”という意味で、これも本来ならば既にレコーディングを終えて世に出すはずだった楽曲や、志半ばで解散に至った前バンドのことを皮肉った名前だったんじゃないかな、と僕は思っている。
リラクタンスの情報を固唾を呑んで見守っていたのだが、それも99年の終わり頃にあっさりと『解散した』との記事が小さく掲載され、結局その頃の音源は謎のままとなってしまった。
そんな幻のバンド、リラクタンスの音源を聴けるようになったのは彼らが解散してから何年も経ってからのことで、それらの楽曲はYou Tubeにアップされていたのだった。
ドラマーだったマーク・ヒーニーが公開している楽曲もあるのだが、後はブートレグなどで熱狂的なファンが探してくれたのかは分からないが、僕が知る限り、リラクタンスの楽曲は5曲が聴けるようになっている。
(※音源は下記にリンク先を添付しています)
その中でも驚いたのが、シーホーセズの2ndに収録される予定だった“I Want You”という曲がリラクタンスのメンバーで演奏されており、これが同じ楽曲ながら全然違うアレンジとなっている。
シーホーセズではギターを歪ませまくっていたジョンだが、リラクタンスのバージョンではギター本来の生音を重視しているようで、この“I Want You”は60~70年代のクラシックロックファンが聴いても良い感じではないかと思っている。
ローリング・ストーンズから本格的に洋楽を聴き始めた僕はロイ・ブキャナンやライ・クーダーなどの枯れたブルースも勿論大好きだし、90年代以降の音楽しか殆ど聴いてない人達にもこういう枯れた味わいのある楽曲って伝わるものがあるんじゃないかな、と感じている。
他には“Carpet”(←※曲名が正しいかは分かりません)と“What You Are Waiting For”という歌モノがあり、前述の“I Want You”を含め3曲のボーカル曲と、インストゥルメンタルの“Money In The Meter”と“Jam”の2曲、合計5曲が現在聴けるリラクタンスの楽曲だ。
(※他に知っている人いたら教えて下さい)
オマケでシーホーセズバージョンの“I Want You”も添付しているので、聴き比べてみると面白いと思う。
たった5曲だけだが、残されたこれらの音源を聴く限り、順調に活動してアルバムを出していれば良い出来になっていたんじゃないかな。
ジョン以外のメンバーはこの後“ザ・シャイニング”というバンドを結成し、1枚だけアルバムを発表した後に自然消滅している。
その話はまた別の機会に……。
I Want You
https://youtu.be/nIm8_yQi-9o
Carpet
https://youtu.be/Fh2tS0U5YNE
What You Are Waiting For
https://youtu.be/O9cpzpcFgnQ
Money In The Meter (Instrumental)
https://youtu.be/_O6tjhbCqaI
Jam (Instrumental)
https://youtu.be/gOKFKQ7cf1s
I Want You (THE SEAHORSES Version)
https://youtu.be/lj8XGN_g7lc
CORNERSHOP (コーナーショップ)
コーナーショップを知ったのは世界的大ヒットを飛ばした“Brimful Of Asha(『ブリムフル・オブ・アーシャ』と読む)”をラジオで聴いた時だった。
(3rd“When I Was Born For The 7th Time”)
ビートルズをはじめ、世界中でインド音楽や文化に傾倒しているバンドは数しれないが、このコーナーショップに限っては他と一線を画していると僕は思っている。
殆どのバンドは基盤となる“ロックミュージック”や“ポップミュージック”がある上でインド音楽を取り込んでいるのに対し、コーナーショップは逆に“インド音楽”が下地にあり、そこからロックやらハウスやらダンスミュージックを取り入れているため、聴いていて純粋にインドしている感じというか。
(いや、“純粋”ではないと思うけど 笑)
それもそのはずで、メンバーにはインド系イギリス人のティジンダー・シンという人が中心となっており、そんじょそこらの“インドっぽさ”とは明らかに違っている。
先述した“Brimful Of Asha”が収録されている3rdアルバム“When I Was Born For The 7th Time”しか知らない人もいるかもしれないが、他のアルバムも素晴らしかったりする。
個人的にお気に入りなのが2002年に発表された4th“Handcream For A Generation”で、このアルバム収録の“Spectral Mornings”には元オアシスのノエル・ギャラガーが参加しており、自由奔放なギターソロを披露している。
(4th“Handcream For A Generation”)
これが14分以上もの長尺曲であるにも関わらず、ストレスなく最後まで聴けちゃうのだ。
この曲を聴いて『ノエル・ギャラガーってやっぱ良いギタリストだな〜』と思ったし、そして、全体的にスペイシーなサウンドながらも相変わらずインドしてるという(笑)。
因みに3rdで大ブレイクする前の94年か95年頃に彼らは来日しており、ライヴ中は客席に向かってメンバーがカレー粉をぶちまけたりナンを投げつけたりとハチャメチャなステージだったそうだ(笑)。
想像するだけで滅茶苦茶だが、グッドミュージックを掻き鳴らしながら身体の芯までインドに浸るステージなんて、絶対楽しいんじゃないかな。
そんな彼らの武勇伝を知ると『一度、ライヴに行ってみてえな〜』と思わせてくれるバンドで、今もマイペースで活動を続けているようだし、コロナ収束後に是非ともまた来日してくれたらと願っている。
(帰りはカレー臭くなりそうだけど……笑)
Brimful Of Asha (Norman Cook Remix)
https://youtu.be/5LBnMRWeV-E
Brimful Of Asha
https://youtu.be/E4SMH-gxri4
Sleep On The Left Side
https://youtu.be/CqxGzawZPqQ
Good To Be On The Road Back Home Again
https://youtu.be/REzVxf_e2Vs
Spectral Mornings (feat. Noel Gallagher)
https://youtu.be/ZoceBpniPw8
You Always Said My Language Would Get Me Into Trouble
https://youtu.be/suU3OwJ8nUQ
THE SEAHORSES / DO IT YOURSELF (1997)
先週だったか、当ブログの下記にある【注目記事トップ5】にシーホーセズの幻の2ndアルバム“Minus Blue”がランクインされていたのを目にし、『久しぶりに聴いてやるか』と軽い気持ちで彼らの音源を再生したのだが、それからというもの毎日聴くようになっている。
(2nd“Minus Blue”の記事)
https://shoegazer1990.hatenablog.com/entry/2019/01/19/THE_SEAHORSES_/_Minus_Blue%281999%3F%29
前回の記事で紹介したアウル・シティーとシーホーセズが最近のヘビロテだったりする。
……というわけで、今回はそのシーホーセズ(THE SEAHORSES)が1997年に残した唯一の公式アルバム“DO IT YOURSELF”について書き綴る。
今回改めて聴いて感じたのは、やはりジョン・スクワイアの奏でるギターとメロディーセンスは僕の好みに合っている、ということだ。
「ジョンがギターを弾きまくりたいためだけに結成されたバンド」なんて揶揄されていたが(実際、そうなのだろうが)、それでも、このアルバムには格好良いリフとギターソロが凝縮されている。
特に、1stシングルとなったM5“Love Is The Law”は英国ロックバンド好きのツボを押さえた楽曲となっているし、PVでテレキャスターを弾くジョンの姿はいかにもスーパーギタリストな佇まいだ。
個人的な意見だが、この頃のジョンが見た目も一番良く、『“Love Is The Law”で着ているブルージャケットが欲しい!』と今でも思っていたりする(笑)。このジャケットを着ている姿が音楽誌の表紙を飾っていたり、ジョン自身もお気に入りだったのだろうと推察できる。
ちなみにPVではシングルバージョンの3分程度(歌部分のみ)しか収録されていないが、アルバムバージョンでは後半がジョンの独壇場となっており、アルバム全体のハイライトとなっている。このギターソロが今聴いてもテンションが上がる!
他にもメロディアスで聴きやすい曲が多く、M6“Happiness Is Eggshaped”の後半パートや、哀愁漂うM2“Blinded By The Sun”やM7“Love Me And Leave Me”、リフで攻めまくるM3“Suicide Drive”にM9“Round The Universe”など、ギター小僧が真似したくなる楽曲が散りばめられていたりする。
(確か、シングルカットされたのが全11曲中6~7曲あったと記憶している。それだけ馴染みやすい曲があったということだ)
ジョン・スクワイアと彼のギターについてばかり書いているが、ボーカルのクリス・ヘルムの歌声は伸びやかで、『あと2〜3枚アルバムを出していたら、彼の評価ももっと変わっていたんじゃないのか』と当時から思っていたものだ。
しかし、「2ndアルバムが完成した」という記事を読んだ翌月に「突然の解散」と書かれていて唖然としてしまったし、「歌いたくもない歌を歌わされる」と答えていたクリスに対し「フザケとんのか、コイツは?!」と思っていたのだが(苦笑)、余程の理由がなければいきなり解散に至るわけがない、と当時感じていて、それがずっと引っ掛かっていた。
そして、彼らが解散して10年以上が経ってから、古本屋で偶然見つけたタナソーこと田中宗一郎氏が編集長を務めていた音楽誌スヌーザー内で、解散直後のクリス・ヘルムの独占インタビューが掲載されていたのを目にし、やっと当時の彼らの心境を理解できたのだった。
アルバムデビューしてからの1年間、ジョンとクリスはまともに話をしなかったというほどコミュニケーションが取れておらず、ちゃんとした信頼関係を築けていなかったという。それが一番の理由で、このバンドが短命に終わった原因だったとのことだ。
ジョン・スクワイアの作曲センスやギターセンスだけでなく、アートワークに至るまで拘る彼の姿勢は、バンドのイメージや音楽的リーダーとしての才能はある。
……が、数人の人間を束ねるだけの“まとめ役”として考えた際、一人の世界に浸るタイプの彼には向いていないのだろうとも感じてしまったのも事実だ。言葉足らずだと、どうしても誤解を招いてしまうしね。
ジョン自身もストーン・ローゼズ時代に人間関係でモメた過去があったため、『これ以上悪化するなら、いっそのこと今解散した方が良い』と判断したとも他の音楽誌に書かれており、何もかもが中途半端なままで終わってしまったバンドという印象が拭えない。
それでも、唯一残した彼らの公式アルバムである本作を今聴き返してみると、90年代ブリットポップ期のひとつとしてロックファンなら押さえておいて損はない作品だと僕は思っている。
Love Is The Law (Single Version)
https://youtu.be/T03EBbesIuw
Love Me And Leave Me
https://youtu.be/tDYenCgDLgw
Blinded By The Sun (Single Version)
https://youtu.be/iv3J4HTThpQ
Round The Universe
https://youtu.be/FrT4DPUXvMg
Happiness Is Eggshaped
https://youtu.be/EshtudNDntE
Love Is The Law (Album Version)
https://youtu.be/t7GSGrV0B3k
OWL CITY / OCEAN EYES (2009)
ジャケットに写る真っ青な海と空を見て迷わず購入したアウル・シティー(OWL CITY)のメジャー1stアルバム“OCEAN EYES”。
CDから流れる音もアートワークそのままの爽やかな楽曲群で構成されており、当時はヘビロテしていたほどお気に入りの1枚だった。
アウル・シティーはアメリカ人のアダム・ヤングという人のソロプロジェクトで、趣味で自宅の地下室で作っていた楽曲が評判を呼んでプロデビューした人だ。
大物プロデューサーを起用せず自分で作り上げたこのアルバム。
しっかり聴き込むも良し、BGMとして流すも良しという、どんな時にもストレス無く聴ける作品に仕上がっている。
つい先日、CDラックを整理していたらこのアルバムが目についたため久々に聴いたが、それからまたヘビロテしている。
今のご時世、どうしても気分が塞ぎがちになることもあるだろうが、このアルバムを聴いていると心が晴やかになるかも。
The Saltwater Room
https://youtu.be/8AllgoKzRA8
Umbrella Beach
https://youtu.be/yRpkRf99tz0
Fireflies
https://youtu.be/psuRGfAaju4
Vanilla Twilight
https://youtu.be/pIz2K3ArrWk
YOUNG HERETICS / We Are The Lost Loves (2010)
10年程前に店頭で偶然目に止まった、2人の若い男女の写真。裏返すと、角が描かれた馬が淡い大地を歩いている。
そして、アルバムの帯にはピンク色の文字で大きく“COCO HEART”と書かれており、“COCO(ここで)HEAR(耳を傾ける)ART(アートに)”との説明が記載されている。
それが、今回紹介するヤング・ヘリティックス(YOUNG HERETICS)の唯一のアルバム“We Are The Lost Loves”との出合いだった。
何の予備知識もなくジャケ買いしたこのアルバム。
色々と調べていくと、COCO HEART(ココハート)は台湾のレーベルらしい。今はもう存在しなくなっているのかホームページも無くなっているが、多分、日本人の方が運営されていたのではないかと思う。
ヤング・ヘリティックスのアルバムをキッカケにココハートレーベルの他の作品も購入して聴いており、所属しているアーティスト達はドリームポップやシューゲイザー系の人達が中心となっていた。
世界中のマニアックで良質な音楽を表舞台に出させてあげたいという想いがレーベルから感じ取られたのも好感が持てたし、実際、僕もいくつかのアルバムは気に入っているものがある。
その中の1枚にこのアルバムがあり、“We Are The Lost Loves(僕達の失われた愛)”というタイトルにも惹かれたのを覚えている。
このアルバムを聴いた当時の僕は極度の不眠症に悩まされていて、殆ど眠れない日々が続いていた。
眠れない日が四日目に突入すると意識に変化が起き始め、そんな時に音楽を聴くと普段の何十倍もトリップできてしまうのだが、彼らのこのアルバムを初めて聴いた時もそうだった。
このアルバムの中ジャケにも一頭の白いユニコーンが描かれており、その遥か先には雲の上にそびえ立っている城と星々が見える。
そして、CDを取り出すと、その裏に得体の知れない怪物が現れるという、幻想的だが気持ち悪さもある世界観で、彼らの音楽もそんなアートワークを音で表現しているものとなっていた。
ドリーミーだが、時折、不穏な展開を魅せる。
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやコクトー・ツインズのアルバムとはまた違う異質な音作りで、ストーリー性もあり、僕には特別な思い入れのあるアルバムだ。
だけど、今聴いても、あの当時のようなトリップ感はもう得られなくなってしまっている。
音楽って聴く時の心理状態などにも大きく左右されるし、今このアルバムを聴いても、良い作品だとは思っても、特別な存在では無くなっているのが正直な感想だ。
それでも、たとえほんの一瞬だけだったとしても、あの時、このアルバムを通して体験できたことは、僕の中で一生忘れられない思い出となっている。
Come Together
https://youtu.be/2h4aB4TCEn8
The Lost Loves
https://youtu.be/p5sK7L-dPCs
Trapperkeeper
https://youtu.be/PgnH7u8M2C0
Bones Of A Rabbit
https://youtu.be/h9NW3yplekA
THE PAUL BUTTERFIELD BLUES BAND / EAST WEST (1966)
今回はポール・バターフィールド・ブルース・バンド(The Paul Butterfield Blues Band)が1966年に発表した彼らの2ndアルバム“EAST WEST”について。
このアルバムについて書こうと決めたのは、昨日、今年初のディスクユニオン大阪へ行った時のこと。
レコードコーナーでやたらイキの良いブルースが流れているなと思い、聴き覚えはあるのだがどうしても思い出せず、スマホのアプリ“シャザム”を使って表示されたのがこのアルバムの1曲目“Walkin' Blues”だった。
昔、好きでよく聴いていたアルバムだったのに、パッと出てこなかったという。
そんなことがあり、何年ぶりか分からないくらい久しぶりにアルバムを聴き返したのだが、白人がプレイしているブルースで僕が知っている限りでは一番黒いノリを体現している連中だと感じた。
以前から当ブログで書いている通り、僕の原点はローリング・ストーンズで、彼らも黒人のブルースから多大な影響を受けたバンドだ。
他にもエリック・クラプトン率いるヤードバーズやデレク&ザ・ドミノスをはじめ、60年代にデビューした白人ブルースバンドは一通り聴いていると思うが、良くも悪くも、どのバンドも黒人の重たいリズムに比べるとノリが“軽く”て、そんなポップでキャッチーな音が当時の世界中の若いリスナーにウケたのだろう。
しかし、このバンドはそんなお洒落に洗練された連中とは違い、音が“黒い”のだ。
この感覚は実際に聴いて感じるしかないと思うし、他のバンド勢や当時の音に触れてみないと理解できないかもしれない。
バンド名にもなっているポール・バターフィールド(ボーカル&ハーモニカ)と、最高のブルースギタリストであるマイク・ブルームフィールドが中心となったグルーヴ感はストーンズやサンタナなどにも音を聴けば確実に影響を与えているのが分かるし、特に、アルバムタイトルにもなっているラストトラック“East-West”に至ってはストーンズの“Can't You Here Me Knocking”の元ネタになっている。
実際、初めて“East-West”を聴いた時、『うわっ!ストーンズ、ここからパクッたんか!』と思ったし(笑)。
2nd“EAST WEST”を聴いてマイク・ブルームフィールドは僕のお気に入りのギタリストの一人になったのだが、このアルバムを最後に彼はバンドから脱退し、その後はアル・クーパーと一緒にやったり、ソロへ転向し、結局、ドラッグのオーバードーズ(過剰摂取)により死亡する。
正直、ソロ転向後のアルバムを聴いてもこの“EAST WEST”のような感動や興奮は得られなかった。
それでも、ほんの僅かの期間であっても、永遠に残る名演を残してくれたおかげで僕の音楽的感性もより深まったし、発表から55年も経った今でも、このアルバムは僕の胸を熱くさせてくれている。
Walkn' Blues
https://youtu.be/5Xd_7OsCs7Q
Work Song
https://youtu.be/xO2JAA47Mgk
East-Weat
https://youtu.be/NvWvOwLCWGg
East-Weat (LIVE1966)
https://youtu.be/TnN6_I1z-2E