Gallery Nomart Presents “Exhibition of Sound”
2018年10月27日(土)、大阪市内にあるギャラリーノマルのライブに行ってきた。
今回のライブは約1ヶ月間開催していた黒宮菜菜さんの個展“うつつ”のクロージングイベントとして行われ、国内外から4アーティストが参加したが、そのうちの1人、透過性分子という名で活動している岩田裕成さんが急逝されたため、急遽、追悼イベントとなった。
ライブ前に .es(ドットエス)の橋本孝之さんが岩田さんとの思い出を語って下さり、「後輩として、とても可愛がってくださって、本当に感謝している」
と涙をこらえて言われていた。
そして、「今回のイベントを中止にしようかという話にもなりましたが、岩田さん本人が“是非やりたい!”と楽しみにされていたので、中止すると彼が悲しむだろうと思い、やることにしました」とのことだ。
ライブが始まり、先ずは出演予定だった透過性分子(岩田裕成さん)のレコードを流し、共演が決まっていたPV担当のF.Okiさんがバックスクリーンに映像を流していった。
雲の映像を中心に、時折プリズムや自然の静止画を交えて岩田さんが産み出したノイズがひたすら流れていき、音が壁に反響しギャラリー全体に広がり、ノイズまみれなのに心地よい時間だった。
レコードが流れている時、何となく岩田さんがそこに居て目の前で音を鳴らしているように感じたな。
2番目にはノマル専属アーティストのドットエスが登場。
ドットエスの演奏はもう何度も観ているが、毎回違っている。
この夜もそうだったけど、今日は橋本孝之さんのサックスが“吠える”というより、“泣いて”いた。
一瞬、顔をぐしゃぐしゃにして悲痛になり、ひたすら“泣きのサックス”を捧げていて、それに呼応しsaraさんのピアノも激しいはずなのに、いつも以上に哀愁が漂っていた。
次に登場したのはジードル / カオという海外からのゲストでオーストリアを拠点に活動しているアーティストだ。
いきなり防護衣に着替えた二人はPCから流れる音に合わせて譜面台をそれぞれが感じたままに組み立てていく。
いや、組み立てるというより、既存の物体に“新たな命”を吹き込んでいるようだった。
自分達は黒子に徹し、物体が主役になっているという変わった体験で、途中、トラブルもあったがそれすら味方にしているようだった。
最後は“日本カルトノイズアクションパフォーマー”山崎マゾさんのCONTROLLED DEATHがトリを務めた。
“死をテーマにしている”というだけあり、会場の外にまで響き渡るほどの大音量でダークなサウンドを鳴らしていたが、これが不思議と耳に馴染んでくる。
デスメタルとか普段の僕は自分から進んで聴かないし好みですらなかったはずなのに、コントロール・デスの何重にも連なるへヴィーサウンドは今までに聴いたことが無いものでかなり衝撃を受けてしまった。
今回のクロージングイベントは出演されたアーティストの面々も皆それぞれ個性的で、出演順も良い流れだと感じた。
イベント終了後に他のお客さんとも言ってたんだけど、なんか、本当に亡くなられた岩田さんがこの空間に居たんじゃないかな。
彼らの全力を出し切った姿を観て、きっと喜んでくれてるはずだ。