シューゲさんのまったり音楽日記

洋楽中心に1記事につき3〜5分程度で読める内容にしているので、気になったミュージシャンがいれば添付してある音源をご視聴頂けたら幸いです。

映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』

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昨日のシュガーキューブスに続いて今夜もビョーク(Bjork)関連のお話。

映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を今さっき見終わったので、感想を書こうと思う。

途中からネタバレも含むので、映画を観たいと思われた方は続きを読まないで下さい。






ビョーク演じるセルマという名の女性が主人公で、チェコからアメリカに移住した母親とその息子のお話。
映画を観終わったあとに調べたら、舞台になったのは1,960年代のアメリカとのこと。なるほど、どうりで服装とか昔っぽい感じだと思ったわけだ。

セルマは昼間は工場で働きながら、夜はミュージカルの舞台に出るための稽古をやっていて、これが映画全編に渡って時々ミュージカルの演出が入ってくる。
この映画を観たという人の話を聞いたことがあるんだけど、ミュージカルが入るとは全く知らなかったので意表を突かれたな。

セルマさんは遺伝性の病気で徐々に視力が落ちていき、自分が近いうちに失明すると知っていて、それは息子のジーンもそうなる運命だという。

ジーンには失明してほしくないセルマは、目の施術をさせるため少しずつお金を貯金していく。

彼女の周りの人達も皆優しくて、物語序盤は貧しいながらも平和な日々を描いている。







……と、ここから先はおもいっきりネタバレ。







セルマが息子ジーンの施術費用に貯めてたお金を、家を貸してくれてる隣人の警察官に盗まれ、しかも「俺が持ってた金をキミが盗んだことにしよう」と無茶苦茶な提案をされる始末。

口論の末にこの警察官を殺害してしまったセルマは裁判で死刑を宣告されてしまう。

普通の映画だったら最後の最後に大逆転して助かりそうなもんだが、この映画はそのままラストへ直行する。

途中、弁護士を代えて裁判をやり直しできるという話になるが、その費用は息子の治療代で賄(まかな)うことを知り、「自分の命より、息子の目の方が大事」と言い放った彼女は死刑台へと向かう。


絞首刑へと向かうシーンも生々しすぎて、しかも歌ってる最中に刑がいきなり執行されてこの映画は終わりを迎える。





あまりに後味が悪すぎる…………っ!!




映画自体は本当に救いようの無い作品だけど、それでもこんな重々しい内容でも最後まで観られたのは、途中で入るミュージカルシーンが大きいんだと感じた。

ミュージカルが入るだけで「これは映画なんですよ」と言ってくれて“架空の物語”だと思い出させてくれる。

もしミュージカルシーンが無ければ、ただただ終始重苦しいだけで終わっていたから、これって作品として物凄く重要だと思った。

ただミュージシャンであるビョークを使ってるから歌のシーンを入れてるってワケじゃなく、普通なら最後まで観られないという人でも、現実逃避した歌と踊りを観れば少し救われるところがあるんだろう。




しかし、映画の中でビョーク演じるセルマさんがあまりに不幸すぎて悲しすぎる……。

絞首刑を迎えた日や刑が執行されたシーンで狂ったように泣き叫ぶ彼女の姿を見て、『こんな人生の終わり方で本当に良いのか?!もっと違う選択もあったんじゃないか?!』なんていろんなことが頭をよぎってしまった。

このセルマさんは何も悪いことしてないから、余計に納得できないし、どんなことがあっても、やっぱり人間幸せにならなきゃいけないと思わされた作品だった。

良い人には幸せになってほしいと願うのが当たり前の気持ちだよ。


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