シューゲさんのまったり音楽日記

洋楽中心に1記事につき3〜5分程度で読める内容にしているので、気になったミュージシャンがいれば添付してある音源をご視聴頂けたら幸いです。

Sing Sing / The Joy Of Sing Sing (2001)

ドリームポップ/シューゲイザーバンドのラッシュ(LUSH)は僕にとって特別な存在で、彼女達のキャラクターや楽曲は人生のドン底にいた自分を支えてくれた。

以前にもラッシュのことは書いたけど、正直言うと全く書ききれなかった。

http://shoegazer1990.hatenablog.com/entry/2018/06/07/222626
(以前書いたラッシュの記事です)


僕はラッシュをリアルタイムで聴いてた世代じゃないし、知った時にはとうの昔に解散していた人達だ。

解散した理由はドラマーのクリス・アクランドが96年10月に自殺したから。それを知った瞬間、ろくに彼のことも知らないはずなのに涙が溢れ出てきて、『何で彼は自ら命を絶ったんだろう?!』という疑念が残り、自分なりにこのラッシュというバンドについて調べていった。

インターネットはもちろんだけど、それだけでなく古本屋で彼女達がデビューした90年から活動停止するまでの96年10月頃までの記事を探しまくって分かったのは、当時のラッシュが最後に行ったライブというのが日本での東京公演だったこと。

日本公演を終えて一旦イギリスへ帰国後、クリスは自ら命を絶ち、残ったバンドメンバーは活動休止を決め、その後、解散に踏み切った。


クリス・アクランドという人が1人でどんなに思い悩んでいたのか気になるし、残されたメンバーがどんなに打ちひしがれたのかは想像を絶する。

YouTubeで当時の彼らのインタビューやライブ映像を観ると本当に仲が良さそうに見えるんだけど、フロントウーマンのミキ・ベレーニが笑顔で歌っている後ろでドラムを叩いているクリスを観ると、時折疲れきった表情をしているように感じることがあった。



ただ、残ったメンバーはその後どうなったのかも気になり調べていくと、ミキちゃんは音楽活動を辞めて(あまりにも勿体無さすぎる……!!)音楽出版社に勤めていたようで、ベースのフィリップ・キングはジーザス&メリー・チェインに参加したりとそれぞれ活動の場を移していったようで、残るもう1人のフロントウーマンであるエマ・アンダーソンはどうしていたか?


それが今回紹介するシング・シング(Sing Sing)という名の女性ユニットだ。


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ラッシュの曲を聴いてるうちにエマが非常に優れたソングライターだというのは分かっていたし、だからこそこのシング・シングがどんな音楽をやっているのかが気になってしょうがなかった。


そして、やっと手に入れたこの1stアルバム“The Joy Of Sing Sing”という“歌を楽しもう”といったタイトルからして印象深く、これってきっとエマ自身が音楽を続けていくと決心した証なんだと感じた。

幼なじみでエマとは対称的に、真っ赤に染めた髪の毛をしたミキが音楽を辞めるまでに至ったのに対して、それでも自分は音楽を続けることを選んだという覚悟もあったんじゃないかと思う。



そんなわけで、このアルバムはエマ・アンダーソンというソングライターの魅力を存分に味わえる作品になっている。

アルバムの流れも素晴らしいし、海外インディーロックならではの“味”もあり、全体的に暖かみのあるサウンドに仕上がっていて僕にとってお気に入りの1枚だ。お世辞抜きで隠れた名盤だと言える。

エマの新しいパートナーのリサ・オニールもホント良い歌声をしているし、リサの優しい声とエマのシンプルだけどアルペジオ中心のギターサウンドは相性もバツグンで、聴いてて心地良い。



あと、もうひとつ重要なのが、プロデューサーであるマーク・ヴァン・ホーエンの存在で、各楽器が分離しているのに1つにまとまっているというのはレディオヘッドのアルバム“KID A”を聴いた時と同じようだった。

しかも、ちゃんとメロディーがしっかりしてるという。

このアルバムを初めて聴いた時、『“未来型ポップミュージック”だ!』と思ったほどだ。

まだ前衛音楽すらまともに聴いたことが無かった僕が、このアルバムをキッカケにマーク・ヴァン・ホーエンを知って、よりマニアックな音楽を聴くようになった。


その意味でも、忘れられない1枚となっている。





You Don't Know
https://youtu.be/l_2f8erUV4c


I'll Be
https://youtu.be/lrE7Zxz-DkQ


Far Away From Love
https://youtu.be/Ge67pa-xx4I


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