GRATEFUL DEAD / ANTHEM OF THE SUN(1968)
サイケデリックロックの代表格であるグレイトフル・デッド(GRATEFUL DEAD)を知ったのは高校生の頃で、当時、NHKで放送していたイギリスはBBC制作のロックヒストリー番組でのことだ。
全10回の放送で、毎回テーマに沿った内容をガッツリと一時間やっていたその番組のひとつに“サイケデリック特集”が組まれていたのだ。
そこで紹介されていた60年代ヒッピームーヴメントは、高校生の僕にはとてもショッキングだった。
ブラウン管の向こうに見える“フラワーチルドレン”と呼ばれる人達は、“愛と平和”を謳(うた)い、誰も彼もが出会った瞬間にハグし、熱いキスをしては抱きしめ合う。
ジェファーソン・エアプレインやジャニス・ジョプリン率いるビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニーをはじめとするサンフランシスコ出身のバンドの演奏に合わせ、女は軽やかに舞い、男は激しく身体を上下に揺さぶる。
映画などのフィクションでも無く、こんな現実離れした出来事がずっと昔のアメリカに、実際にあったというのが信じられなかった。
深夜、テレビを通して僕の目の前に現れた“サイケデリック”という世界。
そこは、絵の具が垂れてくるような、水滴がゆっくりと落ちてくるような映像と、身体の芯まで陶酔させてくれる音が一体となっていた。
“幻覚”や“幻聴”をイメージさせるサイケデリックワールドに、当時の僕は魅了されてしまった。
イギリスでは初期ピンク・フロイドが紹介されたりと、いくつものサイケデリックバンドが出てきたが、音と映像が一番シンクロしていたのがグレイトフル・デッドだった。
彼らの2ndアルバム“ANTHEM OF THE SUN(太陽の賛歌)”をBGMに、LSDをやっている人達の青く歪んだ世界は、アルコールの何十倍も何百倍も強烈にブッ飛んでいた。
組曲形式で流れるこのアルバムは、今も僕を現実逃避させてくれる。
この『太陽の賛歌』を聴けば、いつでもブッ飛んで、いつでもサイケデリックの世界に迷い込むことができる。
New Potato Caboose
https://youtu.be/6t0vFlM7tig
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