Mick Taylor(ミック・テイラー)
今回は元ローリング・ストーンズ(Rolling Stones)のギタリスト、ミック・テイラー(Mick Taylor)について。
……といっても、ミック・テイラーがストーンズに在籍していたのって69~74年までなので、今となっては“元”と付けるのもどうかと思うが、間違いなくキャリアのハイライトがこの5年間に集約されているんだから、しょうがない。
ロックに目覚めたキッカケがストーンズで、僕が最初に好きになったボーカリストはミック・ジャガーだ。そして、最初に好きになったギタリストはキース・リチャーズで、理由は佇まいやギターを弾くアクションが単純にカッコ良かったからだ。
そんな僕が、ライヴパフォーマンスなどの視覚が無い音源だけの世界で初めて“ロックギタリストの偉大さ”を感じさせてくれたのがこのミック・テイラーだった。
74年のアルバム“It's Only Rock'n Roll”に収録されていた“Time Waits For No One”を初めて聴いた時、そのあまりに流麗な“泣きのギターソロ”は僕の心を鷲掴みにし、ロックバンドにギタリストというのがどれほど重要な存在なのかを教えられた1曲だった。
そして、作曲者が“ジャガー/リチャード”となっていたこの曲を聴いて、直感的に『絶対にこの人(ミック・テイラー)が作った曲だ!!』と分かってしまった。
その後、彼が在籍していた頃に発表されたアルバムを聴いていると、間違いなくテイラー主導の元で作られた楽曲がいくつも存在しているのが感じられたのだった。
まだ、ロックのことなんて全く何も知らなかった高校生の僕が分かるぐらいなんだから、ミック・テイラーというギタリストがどれだけ優れているのかが余計に伝わってきたような気がした。
後になって知ったのは、「キースがドラッグ漬けになってレコーディングをサボリがちになっていったため、ミック・ジャガーがテイラーを頼りにしていた」ということ。
そうやって作曲面でも大きく貢献していたにも関わらず、作曲クレジットは相変わらず“ジャガー/リチャード”のまま。
しかも、ストーンズ在籍中の彼は週給制だったという……。
そりゃ~~やってられなくなる。
ミック・テイラーは74年末にストーンズを脱退し、元クリームのベーシスト、ジャック・ブルースとも一緒にやったりしたが、それは音源を残すことが無かった。
長いキャリアのわりにほとんど音源を出していないテイラーだけど、79年に発表したソロアルバム、その名もズバリ“Mick Taylor”はストーンズ黄金期を支えた彼の真骨頂を発揮した“隠れ名盤”で、今でもお気に入りの1枚だったりする。
このままの勢いでどんどんソロアルバムを発表してツアーもやりまくっていたら、ひょっとしたらエリック・クラプトン並みに人気が出てた人なんじゃないかな……なんて思うこともある。
そして、もし74年にストーンズを脱退せずそのまま残っていたら、どんな名曲を生み出して、どんなに素晴らしいギターソロをもっとたくさん聴かせてくれていたんだろう…………なんて、今でも想像することがある。
その後のライヴでも、『ミック・テイラーが居ればあの名曲やこの名曲もステージでやってくれてたんじゃないかな……』なんてことを妄想させてくれる、唯一のギタリストだ。
Time Waits For No One
https://youtu.be/vC0Qt1lvLq8
Shine A Light
https://youtu.be/the7gV99YRI
Love In Vain(LIVE1972)
https://youtu.be/ryRDcE2sB2A
Tumbling Dice(Studio LIVE)
https://youtu.be/tB4uaGYTPnw
Leather Jacket
https://youtu.be/YGnkAHXO87k