THE SMITHS(ザ・スミス)
今回は80年代のイギリスを代表するバンド、ザ・スミス(THE SMITHS)について。
というのも、昨日(2019年6月5日)に大阪ステーションシネマにて公開中の映画『イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』を観賞したので、映画の感想も交えつつ僕なりに“ザ・スミス”をここらで書いていこうと思う。
僕がザ・スミスを知ったのは、確かストーン・ローゼズのインタビュー記事からだったと記憶している。インタビュアーとのやり取りの中で“ザ・スミス”という名前を何度か目にしていたので、そこから興味を持ったんだろう。
それまで80年代のバンドといえばガンズ&ローゼズのような所謂(いわゆる)“産業ロック”と言われるものばかりが巷で流れていて、僕自身も好んで聴いていた。
そんな僕が、ストーン・ローゼズがキッカケとなり、インディーシーンと呼ばれる少々マニアックな、だけどメジャーレーベルのバンドには無い、何だか生々しくてリアルに響く世界観というか音作りに惹かれてしまった。
まあ、こういうところが自分でも捻くれているんだと思っている(笑)。
そんなワケで、ザ・スミスの1st“The Smiths”、2nd“Meat Is Murder”、3rd“The Queen Is Dead”、そして編集盤“Louder Than Bombs”をほぼ同時に購入し、聴いていく。
しかし、タイトルを見た時点で『このバンドは危ない……』と思ってしまった。
“Meat Is Murder(食肉は殺戮だ)”、“The Queen Is Dead(女王は死んだ)”というアルバムタイトル。
シングル“Panic”では、軽快なリズムとメロディーに合わせて“Hang the DJ!(DJを絞首刑にしろ!)”というフレーズをボーカルのモリッシーが子どもとシンガロングしているのを聴いた時は、『まともな神経の持ち主じゃない』と思ってしまったのは当然だろう。
そして、トドメとなったのが彼らのアルバムに書かれていた日本語のライナーノーツの一文。2ndアルバムの最後に
“なお、この時点で自殺したスミス信者は6人になる”
これを読んだ瞬間、『ザ・スミスに本気になると、自分もこうなる』と感じてしまい、すぐさまスミスのアルバムを全て処分した。
十代の頃の僕は感化されやすい性格だったし、ロックンロールが孤独だった自分を救ってくれていたので、音楽に対する依存度も尋常ではなかった。
そんな状態でこのザ・スミスとイアン・カーティス率いるジョイ・ディヴィジョンにのめり込むのは恐怖以外の何物でもなかった。
彼らの、特にボーカルのモリッシーの言葉って、ほとんど聴き取れなくても、歌ってる内容もほとんど分からなくても、伝わってくるものがあったんだろう。
どんなに美しいメロディーで着飾っても、彼が放つ強烈な“毒”は拭いきれない。
ずっと音と向き合っていると、その“人となり”というか、“人間”が見える瞬間があって、モリッシーの持つ毒に当時の僕が付いていける心の余裕なんて無かった。
それからはザ・スミスを聴いても、深いところまで聴き込まないようにしていた。
それでも、彼らが素晴らしい楽曲を残していたのは間違いないし、聴けばジョニー・マーが奏でる繊細なメロディーはやはり秀逸だ。
そして、モリッシーの“ヨーデル唱法”ともいえるあの独特な歌い方は超個性的だし、こんなバンドは他に無い。
どう考えても凄いしロック史に残るバンドだと分かっているんだけど、初めて本気でこのバンドに惹かれたのは、昨夜観た映画『イングランド・イズ・マイン』のおかげかもしれない。
ザ・スミス結成前のモリッシーを描いた映画で、ひたすら暗くて孤独な物語だった。
史実とは違う部分もあるとのことだが、それでもこの作品からは“ザ・スミス愛”が感じられたし、僕みたいにハンパな気持ちでこのバンドを聴いている人をも惹き付けてくれた。
何故、モリッシーがあんな“毒”を持つようになったか。映画を観て、初めて理解できた。
スティーブン・モリッシーという人間が現実に合わせられず、打ちのめされるだけ打ちのめされて、神経をズタズタに破壊されていく。
最後には、ある種の開き直りがあったんだろう。
その姿は、『もう、これしか無い』って感じだ。
この映画を観て、僕は初めてザ・スミスを本当に好きになったような気がする。
This Charming Man
https://youtu.be/cJRP3LRcUFg
Hand In Glove
https://youtu.be/hcys6BMJ5Vw
The Queen Is Dead
~ There Is A Light That Never Goes Out
~Panic
https://youtu.be/YS3UMjNUqFM
T6/8 16:00-0:00