SUEDE / COMING UP (1996)
今回はスウェード(SUEDE)が96年に発表した3rdアルバム“COMING UP”について。
90年代のイギリスでは“ブリットポップ”と呼ばれるムーヴメントが勃興し、オアシスを中心に華やかなバンドがいくつも登場した。
スウェードもそんな中でデビューしたバンドのひとつで、僕はこのバンドの2ndアルバムまでは聴いていたが、それ以降の楽曲といえばシングル曲をまとめたアルバム“Singles”でしか耳にしていなかった。
何故そうしていたのかというと、僕はオリジナルギタリストのバーナード・バトラーの生み出す官能的なギターと楽曲が好きだったからだ。バーナードに関しては以前にも何度か当ブログで書いたので、そちらをご覧頂けたらと思う。
バーナード・バトラーは2ndアルバム完成直後に脱退し、作品が世に出る頃には既にスウェードのメンバーではなくなっていた。
僕はこのバンドの1stアルバムを一時期車でヘヴィロテするほどお気に入りだったが、スウェード自体にのめり込むことはなかったし、その後バーナードのソロの方が好きになってしまったのもあり、『バーナード・バトラーの居ないスウェードってどうなのよ?!』と思い、完全にスルー状態だった。
しかし、先ほど書いた『シングルス』に収録されている楽曲を聴いているうちに『バーナード脱退後も良い曲が沢山あるんだな』と感じていたし、やはりこのバンド最大のキーパーソンはボーカルのブレット・アンダーソンに他ならないと確信した。
グラムロックから多大な影響を受けたというブレットの歌声は、聴いた瞬間に彼だと分かるほど特徴的で、この声は好き嫌いがハッキリ分かれる類のものだ。
実際、『曲は良いけど、声が嫌い』と言う人が僕の周りでもいたが、逆に言うと、好きな人にはとことんハマるタイプの歌声なのかもしれない。
サンデイズのハリエット・ホイーラーしかり、ザ・スミスのモリッシーしかり、彼らにしかない歌声や歌い方をしている人ってのは本当に好き嫌いが分かれるもんだな、とつくづく思う。
ちなみに僕はブレットの声がかなり好きなのだが、個人的に彼との間に因縁があったりするのだ。
(詳しくはここには書けないが、事情を知ってる人達はその話を聞いて驚愕しています…… 苦笑)
そんなわけで、バーナード脱退後のオリジナルアルバムを聴き出したのはかなり後になってからのことで、ぶっちゃけて言うと2013年に発表された再結成アルバム“BLOODSPORTS”からだったりする。
2003年に一度解散するまでの間に発表された3rdから5thアルバムも遡って聴いてみると、これが思っていた以上にどれも良作で、そんな中でも特にこの3rd『カミング・アップ』はポップな名曲が多く、最近では初期のアルバムよりもお気に入りとなっている。
シングルカットされたM1“Trash”やM3“Lazy”、それにM6“Beautiful Ones”は前述の『シングルス』でもお気に入りでよく聴いていたし、このアルバムに限らず3rd以降の作品群を通して聴くと『おおっ、ちゃんとスウェードしてるやん!!』と感じた。
楽曲そのものも変化しつつもちゃんと初期の路線を引き継いでいるのが伺える。
2ndまではバーナード・バトラーが全ての楽曲だけでなく、デモの段階で各担当楽器のアレンジまでも完璧に仕上げていたため、他のメンバーは毎日パーティー三昧だったという。
完璧主義者で音楽バカで天才のバーナードを失ってしまった残りのメンバーは内心焦っただろうが、逆にそれがキッカケで一丸となり、真摯に音楽と向き合うことでこの作品を産み出せたのだろう。
Trash
https://youtu.be/-PdKGDMhau4
Lazy
https://youtu.be/YP2enk5w5fk
Beautiful Ones
https://youtu.be/xqovGKdgAXY
This Time (B-side)
https://youtu.be/DqOwh1Zn6MA
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