THE VERVE / A STORM IN HEAVEN (1993)
年末年始からずっとサイケデリックロックを中心に聴いているので、今回はその中のひとつ、ヴァーヴ(THE VERVE)のデビューアルバム“A STORM IN HEAVEN”について書いていこうと思う。
当ブログ内で何度かヴァーヴについて書いているため、『またヴァーヴかよ!』と思われた方もいるかもしれないが、……そうです、またです。またヴァーヴやっちゃいます。
いや、昨年末のザ・ポリスの記事にも書いたかもしれんが、昔そこそこ好きだったバンドだったり、めっちゃ好きなバンドだったりしていたものが、今聴き返すともっともっと好きになってしまっているのだよ、うむ。
2020年の大晦日は執筆しながらひたすらグレイトフル・デッドとドアーズをBGMにしていたせいか、その流れで2021年初頭はヴァーヴやらマーキュリー・レヴやらアシッド・マザーズ・テンプルやらを聴きまくっているのである。
まあ、元々がサイケデリック大好き野郎なので、お許しを。
前置きが長くなったが、今回紹介するヴァーヴの1stフルアルバム、もしまだ聴いたことが無いなら是非ともご一聴願いたい。
ヴァーヴといえば97年発表の3rdフルアルバム“URBAN HYMNS”でやっと世界的大ヒットを記録して日の目を見たバンドだが、個人的には断然この1stアルバムをお勧めする。
もしも“サイケデリック診断テスト”なるものがあるとすれば、間違いなくこのアルバムは100点満点だろう。
CDを再生して、1曲目“Star Sail”の最初の1音が鳴り始めた瞬間から別世界へと引きずり込まれる。
妖艶で、神秘的で、官能的なメロディーラインと楽曲群。フリージャズの要素もあったりと、奔放にやっているようで、実は計算され尽くしているという。
楽曲そのものが良いのは勿論だが、アルバム用にホーンセクションを起用したりと、プロデューサーを務めたジョン・レッキーをはじめとする裏方の手腕も発揮されており、曲とバンドの魅力を100%以上に引き出している。
余談だが、僕がこのアルバムを初めて聴いた時はローリング・ストーンズが1969年に発表したアルバム“LET IT BLEED”と途中でシンクロした瞬間があったのを覚えている。
楽曲がどうとかそんなんじゃなく、このアルバム全体に漂うダークな雰囲気や匂いに似通ったものがあると感じたのだ。
初めてこの1stを聴いた時はヴァーヴが何者かなんて全く知らなかったが、そんな自分でも60年代後期の血生臭い魅力を放っていたストーンズの影響が伺えたし、実際、当時のリチャード・アシュクロフト(ボーカル)は“ミック・ジャガーの唇を持つ男”と呼ばれていたのを後で知ることになり、『なるほどな』と思ったものだ。
メンバー全員のポテンシャルも物凄く高く、ギタリストのニック・マッケイブのリバーブがかった独創的なソロをはじめ(こんな演奏、他で聴いたことがない)、ベーシストのサイモン・ジョーンズはリズムを刻みながらももう一つのメロディーラインを奏で、ピーター・サルスベリーのドラムは複雑怪奇なサウンドを支えている。
そして、大ヒットした3rdやソロアルバムでは聴けないリチャードのやり過ぎなほどの狂ったボーカルは、地の底から這い上がろうともがいているようにも聴こえ、時には天から光が射し込む優しさに包まれる。
大衆受けはしないが、間違いなく完璧なデビューアルバム。
サイケデリックが好きな僕が言うのだから、興味を持った人はできればアルバムを購入して、1曲目から再生して聴いてみてほしい。
きっと、全く別の世界を魅せてくれるはずだから。
Butterfly
https://youtu.be/VwyncyoeWSQ
The Sun, The Sea
https://youtu.be/xLqh7RJIKmE
Blue
https://youtu.be/NiMbqZqjZFI
Slide Away
https://youtu.be/X45hWP_QKt0
LIVE 1993
https://youtu.be/B6pWjQB3Zas