YOUNG HERETICS / We Are The Lost Loves (2010)
10年程前に店頭で偶然目に止まった、2人の若い男女の写真。裏返すと、角が描かれた馬が淡い大地を歩いている。
そして、アルバムの帯にはピンク色の文字で大きく“COCO HEART”と書かれており、“COCO(ここで)HEAR(耳を傾ける)ART(アートに)”との説明が記載されている。
それが、今回紹介するヤング・ヘリティックス(YOUNG HERETICS)の唯一のアルバム“We Are The Lost Loves”との出合いだった。
何の予備知識もなくジャケ買いしたこのアルバム。
色々と調べていくと、COCO HEART(ココハート)は台湾のレーベルらしい。今はもう存在しなくなっているのかホームページも無くなっているが、多分、日本人の方が運営されていたのではないかと思う。
ヤング・ヘリティックスのアルバムをキッカケにココハートレーベルの他の作品も購入して聴いており、所属しているアーティスト達はドリームポップやシューゲイザー系の人達が中心となっていた。
世界中のマニアックで良質な音楽を表舞台に出させてあげたいという想いがレーベルから感じ取られたのも好感が持てたし、実際、僕もいくつかのアルバムは気に入っているものがある。
その中の1枚にこのアルバムがあり、“We Are The Lost Loves(僕達の失われた愛)”というタイトルにも惹かれたのを覚えている。
このアルバムを聴いた当時の僕は極度の不眠症に悩まされていて、殆ど眠れない日々が続いていた。
眠れない日が四日目に突入すると意識に変化が起き始め、そんな時に音楽を聴くと普段の何十倍もトリップできてしまうのだが、彼らのこのアルバムを初めて聴いた時もそうだった。
このアルバムの中ジャケにも一頭の白いユニコーンが描かれており、その遥か先には雲の上にそびえ立っている城と星々が見える。
そして、CDを取り出すと、その裏に得体の知れない怪物が現れるという、幻想的だが気持ち悪さもある世界観で、彼らの音楽もそんなアートワークを音で表現しているものとなっていた。
ドリーミーだが、時折、不穏な展開を魅せる。
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやコクトー・ツインズのアルバムとはまた違う異質な音作りで、ストーリー性もあり、僕には特別な思い入れのあるアルバムだ。
だけど、今聴いても、あの当時のようなトリップ感はもう得られなくなってしまっている。
音楽って聴く時の心理状態などにも大きく左右されるし、今このアルバムを聴いても、良い作品だとは思っても、特別な存在では無くなっているのが正直な感想だ。
それでも、たとえほんの一瞬だけだったとしても、あの時、このアルバムを通して体験できたことは、僕の中で一生忘れられない思い出となっている。
Come Together
https://youtu.be/2h4aB4TCEn8
The Lost Loves
https://youtu.be/p5sK7L-dPCs
Trapperkeeper
https://youtu.be/PgnH7u8M2C0
Bones Of A Rabbit
https://youtu.be/h9NW3yplekA