Bernard Butler / PEOPLE MOVE ON (1998)
昨年末にSpotifyでバーナード・バトラーを検索したら“People Move On (2021 Vocal Version)”なるものが表示されていた。
一瞬、目を疑ったが、『もしや…』と思い、再生すると……流れてきたのは、今のバーナードの歌声だった。
20年以上も封印していた楽曲を再び歌うなんて想像もしていなかったし、少ししゃがれて渋みを増した彼の歌を聴いていると、年月の流れを感じたりもした。
95年にスウェードを脱退し、3年後の98年にアラン・マッギーが経営するクリエイション・レーベルでデビューしたバーナード・バトラーの1stソロアルバム“PEOPLE MOVE ON”。
当ブログでも以前書いた通り、バーナードが発表したたった2枚のソロアルバムとシングルのカップリング曲に当時の僕は何度も心を救われた。
しかし、順風満帆だと思われた彼のソロ活動は、パンクの影響をモロに受けたアラン・マッギーが『クリエイションは大きくなりすぎた』という理由で突然閉鎖してしまったため、『もう誰も信じられなくなった!』と嘆き、その後は裏方に回るなどして表舞台からほとんど姿を見せなくなってしまった。
僕は今でもバーナードがソロ時代に発表した楽曲群が大好きだし、ギターも素晴らしいが、何よりも楽曲そのものと彼のソウルフルな歌声に惚れ込んでいた。
この『ピープル・ムーヴ・オン』に内包されている、温かみのある音色の向こうに垣間見える、愛に満ちたバーナード・バトラーという人間の不器用さが五感を通して伝わってくる瞬間がたまらなく好きだった。
どの楽曲も哀愁あるUKロックで、中にはお世辞抜きで超名曲といえる楽曲も多数存在しているこのアルバムのことをバーナードが今も覚えていてくれたのに驚き、昨年末には弾き語りでのライヴでソロ時代の楽曲も披露しているのを観て、本格的に再始動してくれるのを期待せずにはいられないでいる。
今このアルバムを聴くと当時の感動が蘇ると共に、僕自身の歩んできた人生を振り返り、その分だけ楽曲に重みと鮮やかさが増している気がする。
バーナードが発表した数少ないソロ作品は僕のような人間の心に寄り添ってくれているようで、自然と涙が溢れだす。
裏方で音楽業界に貢献しても、元気でいてくれるのがファンとして一番嬉しいが、やっぱり僕は彼にギターを掻き鳴らして歌っている姿を期待してしまう。
People Move On (Garage Tapes)
https://youtu.be/_nor9Keff-8
A Change Of Heart
https://youtu.be/-jvhwPy9uyk
Stay
https://youtu.be/zg2VD-dA25c
Not Alone
https://youtu.be/leQfk1IHETc
People Move On (2021 Vocal Version)
https://youtu.be/WYsRhv8nhR0
Stay (LIVE)
https://youtu.be/-DBl7-y4scc
You Just Know (LIVE)
https://youtu.be/vl_VHpZA7-4
LOVE.