シューゲさんのまったり音楽日記

洋楽中心に1記事につき3〜5分程度で読める内容にしているので、気になったミュージシャンがいれば添付してある音源をご視聴頂けたら幸いです。

尾崎豊について語る。

2020年1月4日(土)、TOHOシネマズ梅田にて2週間限定上映の映画『尾崎豊を探して』を兄と鑑賞した。


楽曲が途切れ途切れになる編集が何とも言えない出来だったので、今回は映画の感想ではなく、尾崎豊の音楽を聴いてきた僕の個人的な思い出を書き綴ろうと思う。




僕が尾崎の曲を初めて聴いたのは15歳の頃で、確かラジオのあるDJが『十七歳の地図』を紹介して興味を持ったと記憶している。


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同じ頃、入学した高校の図書室に尾崎豊のお兄さんである尾崎康さんが書かれた『弟 尾崎豊の愛と死と』という本を見つけ、楽曲を聴いたのが先か、この本を読んだのが先かすらハッキリ覚えていない。

ただ、1stアルバムである『十七歳の地図』を聴いた時の印象は今でもよく覚えている。

先ず、歌詞カードを見た瞬間からその膨大な文字数に強烈なインパクトを受け、ラップでもないのにこれだけの量の歌詞を詰め込んでいるのが衝撃的だった。

アルバムを再生してみると1曲目『街の風景』が流れ、それまでイメージしていた“ロックシンガー、尾崎豊”とはかけ離れた歌謡曲調の楽曲に、僕は拍子抜けしてしまった。

だが、アルバムを通して何度か聴いているうちに、徐々にその世界観に引き込まれていった。

15歳という反抗期真っ只中だったのもあり(笑)、尾崎にのめり込んだ他の人達と同じように僕もハマっていき、全アルバムを聴き込み、あの長ったらしい歌詞も当時はほぼ全て暗記していた(今はほとんど忘れてます……汗)。

尾崎豊に関する本も、見つけては全て読んでいた。



しかし、聴き初めて1年が経とうとした頃に、僕は尾崎の曲を聴くのを止めた。

それは、アルバム『誕生』収録の『LOVE WAY』を聴いていた時のことだった。

この曲を聴いている時、“生きていく上での矛盾”を感じてしまい、それは『尾崎豊という人がこんなに苦しい思いをしながら生きていた』と知った瞬間で、彼の心の中を覗き込んだような体験をしてしまい、それ以来怖くなり聴けなくなったのだ。


尾崎豊の楽曲を聴かなくなって1ヶ月も経たないうちにローリング・ストーンズにのめり込み、それから海外ロックを聴くようになっていったが、僕の中でこの時の体験は偶然ではなく、きっと尾崎やブルーハーツの楽曲を聴いていたことで“洋楽を聴く土台”が出来上がっていたんだと思っている。




『LOVE WAY』の洗礼を受けて以来(?)、ほとんど尾崎の曲をまともに聴くことは無くなったが、それから何年も経ったある日、ひょんなキッカケでまた彼の曲を聴くことになる。

大人になってから聴いた尾崎の楽曲は、十代の頃に聴いていた時とはまた全然違って聴こえ、だけど当時の孤独や葛藤を思い出させてくれた。

そして、『今も僕は、違った形の孤独や葛藤を抱え込んで生きている』と感じた。





更に、この頃に何故か兄が尾崎にハマってしまったのである。




十代の頃、俺が一人で尾崎の曲を毎日聴いていた時、兄が放った一言が今も忘れられない。




兄「俺、尾崎キライやわ〜〜!!」



俺「(ムッとしながら)何で?」



兄「バイク盗んだんやろ?」




……と、こんなことを言ってた兄が30歳を過ぎてから急にどハマリしていたのは正直驚きを隠せなかったが(笑)、You Tubeで尾崎の映像を観て、一発で好きになったという話だった。
(今の兄は「俺にとって尾崎は神やな!」と言ってます 笑)




それからしばらくの間、僕は尾崎の曲を昔のように聴いた。

とっくの昔に売ってしまった全アルバムを買い直し、それだけでなく、ライヴアルバムやDVDも片っ端から買い揃えた。


16で彼の曲を聴かなくなり、その後はほとんど洋楽ばかりを何年も聴いていた僕が、海外ロックを通った後に再び尾崎を聴いて感じたのは、やはり彼は“天才”だということだった。

尾崎が多大な影響を受けたブルース・スプリングスティーンなどもその頃には聴いていたので、尾崎を批判する人達の言ってることも僕は理解できた。

それでも、彼の生み出した歌詞や魂には嘘が無いし、だからこそ聴く者を魅了したんだろう。



その頃、また昔のように尾崎関連の書籍を何冊も、何十冊も読み漁った。

本人が書いたもの、親しい人達が書いたもの、目についたものは全て読んだ。

そうすることで彼に対する評価が随分と変わっていき、人間臭くて不完全な尾崎が神格化されているのは個人的に違和感を覚えたりもした。


“ミュージシャンとしては最高の人”というのが尾崎に対する僕の正直な感想だ。




今はまた尾崎の楽曲を聴くことはほとんど無くなったが、人生を重ねていく中で、またいつか昔のように彼の曲を聴く時が来るのかもしれない。














Forget-Me-Not (LIVE1987)
https://youtu.be/-c94l25NX_s


街路樹 (LIVE1988)
https://youtu.be/ZMHTKtShbO0


LOVE WAY (LIVE1991)
https://youtu.be/f6sj3nBw2LE


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