THE POLICE (ザ・ポリス)
今回はザ・ポリス(THE POLICE)について個人的な思い出と感想を書き綴る。
僕がポリスを知ったのは高校生の頃に放送していた『20世紀ロック&ポップ大全集』(英BBC放送)という番組で、そこで70年代パンクロック特集をやっていて、彼らの映像が一瞬だけ流れていたのがきっかけだった。
しかし、その番組での彼らの扱いは代表的である“Roxanne”の歌い出しのみで、セックス・ピストルズのジョニー・ロットンが
「どいつもこいつもレゲエに浸透しやがる。特にポリスの『ロクサーヌ』なんて聴くと反吐が出る」
という発言をしていたため、真に受けた僕はポリスのことを『レゲエ被れのバンド』と見なすようになり、まともに聴こうともしなかった。
高校生の頃にちゃんと聴いていた70年代ロンドンパンクはセックス・ピストルズのみで、クラッシュやダムドなども僕は聴こうとしなかった。それも、あの番組や音楽記事でジョニー・ロットンが他のバンド勢をこき下ろしていたためだ。
思春期ってのは良くも悪くも好きになったバンドやミュージシャンの言うことは絶対だと思ってしまうせいか、僕がポリスの音楽と向き合ったのも20歳頃だったと記憶している。
彼らのオリジナルスタジオアルバムを初めて聴いた時はまだ『ロクサーヌ』の映像のイメージが残っていたためか、どこか冷めた気持ちで聴いていた。
しかし、ポリス活動初期と後期のライヴ音源がセットになった2枚組ライヴアルバムを聴いた時、彼らの印象がガラリと変わってしまった。
決め手になったのはドラマーのスチュワート・コープランドが撮った『インサイド・アウト』というドキュメンタリーDVDを観てからだ。
バンドデビューした頃にスチュワートは当時発売されたばかりの8ミリビデオカメラを購入していた。
そのカメラでキャリアの始まりから終焉までを完全にバンド側の視点で撮った映像は刺激的で、ステージ上でスチュワートのドラムセットの位置から客席に向かって歌うスティングの背中を映していたり、ツアーの移動中にいきなりメンバーが本気で殴り合いの喧嘩を始めたりと、生々しい熱気がダイレクトに伝わってきたのだ。
スチュワート・コープランドのドラムプレイにも魅了された。涼しい顔で「今、〇〇(演奏場所)にいるんだ」と自分がセッティングしたカメラに向かって爽やかに説明しながらドラムを叩きまくる。それがもう、バリテク(笑)。ドラムの細かな技術って僕は分からないが、そんな僕でもこの時のスチュワート・コープランドの超絶技巧ぶりに口をあんぐり開けたまま魅入ってしまった。
2008年にポリスは再結成して来日も果たしたが、僕はその時のライヴに行かなかった。
しかし、アルゼンチン公演だと思うが、後日、衛生放送でやっていた映像を観て、今度はギタリストのアンディ・サマーズの超絶変態ギターソロに魅了されてしまったのである(笑)。
『何で行かんかったんや!!』と本気で後悔した。
そして、スティングの歌も聴けば聴くほど味があるし、彼らの最大のヒット曲である“Every Breath You Take”を聴くと、ロックとかポップスとか関係なく、ジャンルを超越した普遍的な魅力をもっているのが分かる。
スティングのベースプレイもソロに入った瞬間から爆発し、ギター、ベース、ドラムが火花を散らしてぶつかり合っているかのようだ。
スタジオ盤も良いが、僕は断然ライヴ盤の方が彼らのダイナミックな演奏を堪能できると感じている。
あれだけの熱量をもった演奏はスタジオで収めきれないだろうし、もう無いかもしれないが、コロナ収束後にぜひともまた再結成してほしいと切に願う。
Every Breath You Take
https://youtu.be/OMOGaugKpzs
Voices Inside My Head / When The World Is Running Down You Make The Best Of What's Still Around (LIVE2008)
https://youtu.be/9Mr_vdG1clE
Synchronicity Ⅱ (LIVE1983)
https://youtu.be/QZAPm1NKgKE
Driven To Tears (LIVE1980)
https://youtu.be/2c01jjSwX7s
De Do Do Do, De Da Da Da (LIVE2008)
https://youtu.be/gd04nzSfmms