R.KELLY / Ignition
普段の僕は現代のR&Bってあまり……というか、ほとんど聴くことが無い。
僕の中ではR&Bというジャンル名は半世紀以上前の“リズム&ブルース”から知ったので、思い切り泥臭い黒人音楽という印象があった。
それが、今では“お洒落な音楽”として一般大衆ウケする全く別の音楽になってしまっているので、非常にややこしいな、なんて感じている。
そんな現代のR&Bを聴こうとしなかった僕が、ひょんなキッカケで興味をもつようになった。
それが今回紹介するR.ケリー(R.KELLY)のアルバム“Chocolate Factory”に収録されている“Ignition(イグニッション)”という曲だ。
何年か前まで通っていた美容院のお兄さんはとても気さくな人で、映画好きでかなりマニアックな作品も知っていたから彼のお勧めを教えてもらったりしていた。ジム・キャリーが大好きということで意見が一致したのもあり、音楽もマイケル・ジャクソンから入って拘りがある人だった。
そんな彼が独立して自分の店をもつようになり、店の名前が“イグニッション”だった。
そのお兄さんは美容師としての腕前もありセンスも良く、人柄も良かったのもあり、新しくオープンしたイグニッションへ通うようになった。
オープンした日に行ったのかな、その時に「何で“イグニッション”という名前にしたんですか?」と、まあ当たり前のような質問をしてみた。
僕の髪を切りながら、お兄さんは「R.ケリーって歌手の曲から取ったんですよ。“イグニッション”ってのは“発火”って意味で、それが一番良いと思ったんで。もちろん、曲も好きですよ」と答えてくれた。
「ライブ観てみたいけど、R.ケリーは何かと問題を起こしてるから来日できないんですよね~」なんて困ったように、だけど嬉しそうに話してるお兄さんを見ていて、自分の店の名前に付けるぐらいお気に入りの曲を僕も聴いてみたくなり、『イグニッション』が収録されているアルバム『チョコレート・ファクトリー』をその後すぐに聴いたのは今でも良い思い出だ。
引っ越してしまったのでもうそのお店に通わなくなったけど、R.ケリーを聴くと、今でもあの時の嬉しそうに語っていたお兄さんの姿を思い出す。
Ignition - Remix
https://youtu.be/y6y_4_b6RS8