THE ROLLING STONES / GOATS HEAD SOUP (1973)
ローリング・ストーンズが1973年に発表したアルバム“GOATS HEAD SOUP(邦題『山羊の頭のスープ』)”が、まさかのデラックスエディション登場!
というワケで、今回はこのアルバムについて書き綴る。
(注:オリジナルアルバムのみについてのレビューです)
いや、まさかこのアルバムのデラックス版が発売されるとは思ってもいなかった、というのが正直な感想だ。
ストーンズのアルバムを語る上で最高傑作と呼ばれているのが68年作『ベガーズ・バンケット』から72年作『メイン・ストリートのならず者』までの4枚で、その後、世に出た『山羊〜』は滋味な印象を与える作品のように思えたからだ。
とはいっても、僕はこのアルバムを聴いた当時から大好きな1枚だったりする。
初めて聴いたのは高校生の頃だったと記憶しているが、いきなり“Dancing With Mr.D”の呪術的なドロ臭いロックンロールから始まるものだから、ここで抵抗感を露わにする人達が多いのだろう。
ロックンロールを代表するバンドとして知られるストーンズなのに、オリジナルアルバムにはロックナンバーよりじっくり聴かせるスローナンバーの方が多いのも意外で拍子抜けしたのを覚えている。
しかし、このアルバムにはとにかくスローナンバーの名曲が沢山収録されており、代表曲の“Angie”をはじめ、キース・リチャーズがリードボーカルを担当している“Coming Down Again”、それに、以前にも紹介した“Winter”があったりと、ノレるタイプの楽曲は少ないかもしれないが何度も聴くうちにのめり込むスルメ的な味わいがある。
特に“Winter”に関しては、個人的にストーンズのスローナンバーの中でも1、2を争う名曲だと思っている。
……が、この曲って何故か世間では知られておらず、しかも「ストーンズが好き」と言ってこのアルバムを所有している人ですら「こんな曲、自分の持ってるCDに入ってたかな?」と言われる始末だったりする。それほどちゃんと聴かれていないアルバムなのかな、と悲しくなる。
もしこのアルバムを所有していたら、もう一度ちゃんと耳を傾けて聴いてほしい。
ミック・ジャガーの哀愁あるボーカル、ミック・テイラーの流麗なギターソロ、ゲストミュージシャンのニッキー・ホプキンス(この頃はほぼレギュラー扱いだった)をはじめとするピアノ伴奏、民族楽器を多用した演奏、ストリングスによる大々的なアレンジ……。
この後、僕がシューゲイザーやドリームポップといったジャンルにのめり込んでいったのも、もしかすると、このアルバムと次作『イッツ・オンリー・ロックンロール』でのメロウな楽曲群を聴いていたことで土台が出来ていたのかもしれない、と今になって思う。
今、この『山羊の頭のスープ』を久々に聴いていると、当時の思い出と共に自分の音楽遍歴を辿ることで、全ては繋がっているのだと感じている。
Coming Down Again
https://youtu.be/DMLUCuoEtB4
Winter
https://youtu.be/W3U_fP1dXq4
Silver Train
https://youtu.be/iOUetwr3h04
Angie
https://youtu.be/2K7jMLS-7iw
All The Rage
https://youtu.be/jRUdEzQQUdI
LOVE.