映画『ザ・ビートルズ “GET BACK” ルーフトップ・コンサート』 IMAX
2月某日、大阪市内にあるTOHOシネマズなんばにて上映していたビートルズの映画についてのレビュー。
(※書くのが遅れてしまったが、近々再上映されるらしいので未見の方は今回の記事を参考にして頂けたらと思います)
ビートルズ(THE BEATLES)のラストライヴである今回の映像。
全編ノーカットは初出しとのことで、上映時間も65分と短いのも徹底的に無駄を削ぎ落としていて潔かった。
当時、彼らの会社だったアップル社(※ジョブズのアップル社とは無関係)の屋上で行われたこのゲリラライヴは、どんな形であれ、久々に人前で生演奏ができる歓びを爆発させているように見えた。
ジョン・レノンがとにかくノリノリだったのが印象的で、序盤から軽快なステップを踏み、笑顔を振りまく。
ジョンだけでなく、ジョージ・ハリスンも、リンゴ・スターも、そしてポール・マッカートニーも皆、自然と笑顔が溢れている。
しかし、その微笑みと同じくらいか、それ以上に哀しい表情になっているのも痛々しかった。
“Get Back”などでソロを弾き終えたジョンが
「寒くてコードを押さえられないよ」
と嘆いていたが、演奏自体はものすごく熱をおびていて、
この日行われたライヴでの演奏のいくつかがアルバム“LET IT BE”に収録されたとのことで、
きっとこのテンションはスタジオに籠もった状態では表現できないと感じた。
途中、二人の警官が演奏を止めるようビルに侵入してくる。
…が、“I Got A Feeling”の演奏中だったか、警官たちはただ黙って俯いたまま屋上から聴こえてくる音に耳を傾けていた。
あの瞬間だけは彼らは完全に職務を忘れ、魂が反応していたように見えた。
終盤になり警官たちが屋上へ上がってくると、彼らに気付いたポールはニヤリとして、おどけた表情で軽く踊りだす。
『俺たち、悪いことしてるんだぜ』と言わんばかりに、優等生というキャラクターでデビューしたビートルズの本性が垣間見え、
『お前らも一緒に楽しめよ!』
と挑発しているようだ。
警官たちはスタッフに文句を言いつつも、演奏が終わるまで止めようとはしない。
彼らも本能で分かっていたのだと思う。
『これは歴史的瞬間だ』ということを。
演奏を終えたビートルズの面々は階段を下り、休憩を挟んで午後はスタジオ内で他の曲を演奏して本編が終了した。
余談だが、あの場に立ち会ったオノ・ヨーコはビートルズ最期のライヴを生で観た唯一の日本人だったのでは?
そして、ルーフトップ・コンサートの写真を見ていつも『ポール以外のメンバーは分厚いコートを着て演奏しにくくないのかな?』なんて思っていたが、今回の映画を観たおかげでその謎も解けた。
もしかすると寒さのせいで万全な状態での演奏はできなかったのかもしれないが、それでも、あの一瞬に鳴らされていた“音”は本物のビートルズのもので、デビュー前から彼らがライヴで培ってきた演奏技術を惜しみなく発揮していたのは疑いようがない。
Get Back (LIVE)
https://youtu.be/coUd0XhIeo0
Don't Let Me Down (LIVE)
https://youtu.be/NCtzkaL2t_Y
映画予告編
https://youtu.be/PxfEdyLBiDY
LOVE.