シューゲさんのまったり音楽日記

洋楽中心に1記事につき3〜5分程度で読める内容にしているので、気になったミュージシャンがいれば添付してある音源をご視聴頂けたら幸いです。

THE SEAHORSES / Minus Blue (1999?)

今回は、ザ・シーホーセズ(THE SEAHORSES)が1999年に発表…………するはずだった幻の2ndアルバム“Minus Blue(マイナス・ブルー)”について書いていこうと思う。


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シーホーセズの中心人物はジョン・スクワイア(John Squire)で、80年代の終わりから96年まで活躍したザ・ストーン・ローゼズ(THE STONE ROSES 2011年に再結成)のギタリストとして知られている。

ジョンについては前にも“ジョン・スクワイア愛”をガッツリと書き連ねているし、今でも僕のアイドルの1人だ。



(以前書いたジョン・スクワイアの記事)
https://shoegazer1990.hatenablog.com/entry/2018/09/04/005906



ジョンは96年3月にストーン・ローゼズを脱退し、その直後に結成したのがシーホーセズで、97年に1stアルバム“Do It Yourself”でデビュー。全英1位(注:2位との記録もあり)を獲得し、アメリカでもチャート40位辺りとそこそこヒットしている。

ローゼズ時代は1stから2ndまでの間隔が5年以上もあり、その間にバンドメンバーもモチベーションを維持出来なくなったという過去があったため、シーホーセズではツアー後すぐに2ndアルバムの制作へ着手した。

そして、所属していたゲフィンレコードの99年発売予定のアルバム一覧にもこのシーホーセズの2ndはリストに挙げられており、初頭には発表されると言われていた。


“レコーディングは既に終了している”という情報も流れていたので、いつ発売されても不思議では無かった。……はずなのに、何の前触れも無く、突然バンドは解散した。


この時レコーディングされた楽曲は、ジョンが次に結成したバンド“リラクタンス”に引き継がれたとのことだったが、これまたレコードデビュー前に解散してしまい、完全にお蔵入り。結局、この時の音源はファンの間から“幻のアルバム”と言われるようになってしまう。


僕も楽しみにしていたファンの1人だったので、当時の落胆ぶりはハンパなもんじゃなかった。

ストーン・ローゼズの2ndアルバムを何年も待ち続けていた人達の気持ちが痛いほどよく分かってしまい、ジョンに対して“期待をことごとく裏切る人”という印象しかなくなってしまった。




そんなお蔵入りになったシーホーセズの2ndアルバム『マイナス・ブルー』をようやく聴けるようになったのは3年後、2002年のことだ。

この年にジョン・スクワイアはソロアーティストとしてデビューし、その煽りを受けてブートレッグ(非公式の海賊盤のこと)で発売されたのを知り、飛び付くように買いに行ったのを覚えている。

ブートレッグということは、もちろんタワーレコードなどの正規CD店でこのアルバムが並ぶことは無く、非正規品を取り扱っているお店で購入するしか無かったのだ。





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(2ndのジャケットになる予定だった?アートワーク)


こうして数年越しにやっと聴けたシーホーセズの2ndアルバム『マイナス・ブルー』。


ストーン・ローゼズの2nd“Second Coming”から続いていたジミ・ヘンドリックスジミー・ペイジを彷彿とさせるギター弾きまくりスタイルはそのままだ。

全体的に60~70年代のバンド(レッド・ツェッペリンザ・フーローリング・ストーンズピンク・フロイドなど)の曲調に近い音が散りばめられているため、目新しさは全く無い。

シーホーセズの1stで唯一の公式アルバム『ドゥ・イット・ユアセルフ』も70年代のグラムロック全盛期に活躍したトニー・ヴィスコンティをプロデューサーに迎えていたし、ジョン自身が懐古趣味で、どちらかというと“新しい音楽より、古い音楽が好き”という趣向が反映され、それはこの『マイナス・ブルー』でも変わらなかった。


だけど、それでも僕はこのアルバムが好きでよく聴いていた。

シーホーセズ自体、ここ何年もの間ほとんどまともに聴かなくなったが、当時は大好きでホントよく聴いた。

ストーン・ローゼズの1st期しか認めないファンも多くて、「ギター弾きまくりのジョンは嫌い」と言ってる人もいるが、僕はどっちも好きだ。

90年代のイギリスってオアシスみたいな音が主流で、シーホーセズもそれっぽい音を出す“王道UKロック”のひとつだったけど、それでも楽曲は良かったし、ジョン・スクワイアのメロディーセンスやギターフレーズって僕の感性にピッタリ合っていたんだと思う。



この『マイナス・ブルー』は1stのやたら明るい音作りとは正反対で、とにかく暗くへヴィーなサウンドが印象的なアルバムだ。ローゼズの『セカンド・カミング』に近い暗さがあるので、『セカンド~』が好きな人なら必ず気に入るはずだ。


……というか、個人的にはたった1枚だけ世に出たアルバム『ドゥ・イット・ユアセルフ』よりも、お蔵入りになってしまった『マイナス・ブルー』の方が断然好きだったりする。




“歴史的名盤”なんて大それた類いのアルバムでは決して無いが、未発表のまま終えてしまったのは勿体無かった作品でもある。……と、僕は今でも思っている。








Dolphin
https://youtu.be/fubBZrsZhBI


700 Horses
https://youtu.be/D4mWiVIzEJM


Tombraid
https://youtu.be/CiAgIUZdR3o


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