BLACK GRAPE (ブラック・グレープ)
10月中はやっていることがサクサク進み過ぎていたのと、先週まで刺激的な出来事が続いていたせいか、今週はテンション落ち気味な日々を過ごしている。
調子の波があまり極端にならないよう気をつけてはいるんだけどな……。
こういう時にテンションの上がる曲を聴いても気持ちがついていけなくなるのだが、ブラック・グレープ(BLACK GRAPE)のアルバムを昨夜聴いていたら、気分が落ち着いてきたというか、程よいハッピーさを貰えた感じがした。
ブラック・グレープはハッピー・マンデーズ(HAPPY MONDAYS)のショーン・ライダー(ボーカル)とベズ(ダンサー)が中心になって結成したバンドだ。
以前、当ブログにてハッピー・マンデーズについて書いたが、正直言って僕はショーン・ライダーのもっさい見た目も声質も、更に歌い方も好きではないし、楽曲も好みではなかった。
つまり、全然好きなバンドではないのだ(苦笑)。
それなのに、今回ブラック・グレープを聴いたら、思っていた以上に良かったのだから、不思議なものだ。
音楽を好きになる時ってタイミングがあるけれど、沈み気味な気分の時にこういうタイプの曲を聴いてもかえってしんどくなるだけなのに、何故か抵抗なく身体に染み込んできた。
多分、楽曲そのものが良かったのと、あとは演奏とアレンジが良いってのが理由かな、と思っている。
こういうアッパー系の音楽って普段あまり聴かないし、しかも好きでもなかった元ハッピー・マンデーズのメンバーがいるバンドの曲がすんなり聴けている自分にビックリしたというか。
ブラック・グレープのアルバムを聴いていると、「あんまり考えすぎないで、もっと気楽に生きろよ」と言われているような気がしてきて、多分、そんなところが今の自分の感性に合致したのかもしれない。
う〜ん、今更ながら好きになりそうだ……。
Rubber Band
https://youtu.be/AKOb1QQZGoE
Shake Your Money
https://youtu.be/2oIWzIZR5kw
Reverend Black Grape
https://youtu.be/on5TLUz-ag4
Kelly's Heros
https://youtu.be/NGTRKy--Iyk
Get Higher
https://youtu.be/-8qIvgYpSNE
Tell Me Something (LIVE)
https://youtu.be/gBmg6vdxDDE
Who are you?
SPARKLEHORSE (スパークルホース)
執筆中はひたすらレディオヘッドを流し、通勤中は殆どザ・ミュージックばかり聴いて過ごす日々が続いていたため、新しい音楽や知らないバンドを聴くことがあまりなかった。
……が、つい先日Spotifyで音楽を聴いていると、耳馴染みの良い曲が流れてきたので思わず手を止めて確認してしまった。
こんなこと最近なかったな、なんて思いながらスマホの画面を見たら、このスパークルホース(SPARKLEHORSE)というバンドだった。
95年にデビューしたアメリカン・オルタナティブ・ロック・バンドだが、僕は今の今までこの人達の存在を全く知らなかった。
全体を通して牧歌的な雰囲気が漂っている……と思ったら、パンク的なアプローチの楽曲もあったりと、両極端な性格をした音楽でも不思議とアンバランスさは感じさせない。
調べてみるとマーク・リンカスという人が中心人物と書かれており、この人の内面がそのまま音に反映されているのだろう。
メロウな楽曲は一時期よく聴いていたデニソン・ウィットマーにも通じるものがあるような気がした。
ただ、デニソン・ウィットマーの楽曲は冷たい冬をイメージさせてくれたのに対し、このスパークルホースは秋を想起させる哀愁ある曲が多い感じがする。
2010年にマーク・リンカスが自殺したためバンドは解散したとのことだが、スローペースでもいいから生きて音楽を続けてほしかったよ。
今更ながら僕みたいにこうして後で知ってファンになる人間もいるんだし、たとえ音楽をやらなくなったとしても、どんなにダサい生き方をしたとしても、生きていてほしかった。
死んだらあかんよ……。
Saturday
https://youtu.be/iErl9yVJ9Zs
Weird Sisters
https://youtu.be/XJH4rg1n9BI
Pig
https://youtu.be/BChww2pEZUs
Tears On Fresh Fruit
https://youtu.be/9Ru6L7Az2wU
Most Beautiful Widow In Town
https://youtu.be/TZnQQCJLilE
すぎやまこういちさんに捧ぐ
すぎやまこういちさんが逝去したと知り、ゲーム『ドラゴンクエスト』の音楽について個人的な思い出を書き綴る。
初めてこのゲームの楽曲を聴いたのは物心ついた頃に友達が『ドラクエⅠ』をプレイしていた時だった。
ラダトーム城の曲が流れていた時、『こんな音楽、聴いたことない』と感動したのを覚えている。よく考えたら初めて聴いたクラシック音楽がドラクエだった。
お城だけでなく、フィールドの曲、戦闘、洞窟など、どれも印象に残り、特にフィールド曲がずっと聴いていられるくらい気に入っていた。
ラスボスの竜王の曲はだいぶ後になってから聴いたけど、これも『最後の闘い』というイメージそのものだった。
それから『ドラクエⅡ』を兄がプレイしていたら母が「この曲、すごい良いねー!誰が作ったん?」と聞いてきたので、「すぎやまこういち」と答えると、「え!コレ作ったの、すぎやまこういちなん?!」と驚愕していた。
「競馬の曲とか作った人やで!」と母が言った時に『そんなにすごい人が曲作ってたんや』とその時に初めて知ったのだ。
うちも他の家庭と同じように普通にTVゲームをやっていた。
特に兄がゲーム好きで、時間があればいつまでもやっているような人だった。
僕自身は兄ほどやってはいなかったが、TVゲームという未知の可能性を秘めた媒体そのものが好きだったんだと思う。
最近になってよく思うのが、TVゲームって“総合芸術”だということ。
作曲家がどんなに良い音楽を作っても、肝心のゲーム自体が面白くなければ殆どの人がエンディングまで辿り着けなくて、そうなるとせっかく作った曲が聴かれないことになるし、逆もまた然りだ。
ゲーム性や音楽だけでなく、ストーリーにキャラクター、操作性、難易度など、どれかひとつがバランスを崩したらもうダメというか。
映画や小説、音楽、それに絵画など他のメディアよりもハードルが高い、というより、それら全てを合わせているな、ということに気付いた。
脱線してしまったが、すぎやまこういちさんについて好きなエピソードをひとつ紹介したい。
『ドラクエ』シリーズの全ての音楽を担当していたが、制作中のストーリーを教えてもらわないで楽曲を作っていたという。
すぎやま先生自身も無類のゲーム好きなため、「自分がプレイする時に内容を知ってたら面白くないでしょ」というのが理由だ。
どんなストーリーになるのかも聞かないであれだけ世界観にリンクした楽曲を500曲以上も作れるなんて、しかも後世へ語り継がれる超名曲がいくつも誕生しているというのが奇跡だ。
僕自身はもうとっくの昔にゲームは卒業したが、今でもゲームそのものに魅力は感じているし、たまに無性にドラクエの曲を聴きたくなる時があって、そんな時はYou Tubeなどで聴いている。
そして、昔ファミコンの音で聴いていた名曲たちがフルオーケストラで演奏されていてもその魅力を失わず、よりスケールがでかくなっているのを聴いて『やっぱり素晴らしい曲だ』と新たな感動を覚える。
すぎやま先生が作った名曲たちをこれからも僕は聴くだろう。
おおぞらをとぶ
https://youtu.be/kQE4j7lihk4
勇者の挑戦
https://youtu.be/UrT2OcDyZtM
冒険の旅(1:35) 〜 そして伝説へ(3:50~)
https://youtu.be/WW2NaJyxoms
Arrived.
新しい音楽を聴いてないので……
最近またフィル・コリンズ(Phil Collins)をよく聴いている。
音楽をじっくり聴く時間がないため、今は通勤途中や執筆中にSpotifyで流していることが多くなった。
対峙して音楽を聴くとなると全神経を注がなきゃならないから、BGMとしても楽しめるフィル・コリンズの名曲たちの存在がとても有り難く感じている。
下記に添付してあるPVをご覧頂けたらと思う。
数あるミュージックビデオの中でも個人的に“Take Me Home”のPVが一番好きかも。
コロナ禍で以前のように外出もなかなかできないこのご時世で、世界一周しているような気分にさせてくれる。
あと、“One More Night”もやっぱり名曲だな。
荒れた心を浄化してくれる歌とメロディー。
聴いている間は周囲の雑音をかき消してくれる。
Against All Odds(Take A Look At Me Now)
https://youtu.be/sSkEFkl7vIY
One More Night
https://youtu.be/zKVq-P3z5Vg
Take Me Home
https://youtu.be/sRY1NG1P_kw
Sussudio
https://youtu.be/r0qBaBb1Y-U
PIA FRAUS / NATURE HEART SOFTWARE (2006)
今回はエストニアのシューゲイザーバンド、ピア・フラウス(PIA FRAUS )が2006年に発表したアルバム“NATURE HEART SOFTWARE”ついて。
普段はイギリスやアメリカのロックを中心に聴いてはいるが、特にシューゲイザーに関しては国境も関係ないというか、この日本をはじめとして本当に世界中で鳴っている音楽だなと改めて気付かされる。
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、スロウダイヴ、ソニック・ユースなどこの手の音楽から影響を受けているバンドは数多いが当たり外れも多かったりする中で、ピア・フラウスの奏でる音はアートワーク通りの自然の中で生まれたもののように感じていて、素朴な雰囲気が好きなのかもしれない。
上記の3バンドが好きな人は気にいるはず。
「コロナ前に来日してるのかな?」と調べてみたら、なんと昨年行われたリンゴ・デススターの来日公演にゲストとして登場していたとのことだった。
やってもうた……!!
観に行っときゃ良かったぜ……。
Day Week Or Season
https://youtu.be/x1tGXvXDvCg
Pretend To Be Here
https://youtu.be/ev6I0YqQ-J4
Feeling Is New
https://youtu.be/--1-ktGyQT8
Super Timeknowing Gentleman
https://youtu.be/3wDo4VhaV3E
Charlie Watts (チャーリー・ワッツ)
2021年8月24日に逝去したローリング・ストーンズ(THE ROLLING STONES)のドラマー、チャーリー・ワッツ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8f3d6f7cfc421fa339d08bd2d884ebca52373786
(『チャーリー・ワッツ死去』の記事)
https://news.yahoo.co.jp/articles/da0193291b18ddd3cea5cddb21f9142bc4c5f2c9
(『チャーリー・ワッツ、最後のパフォーマンス』記事)
ミュージシャンの訃報で一番泣いた……。
バンドがデビューする直前にメンバーから説得されて加入を決意したというチャーリー・ワッツ。
彼が逝去してからデビュー直後の60年代前半の楽曲を中心にストーンズを聴いていたが、今改めて聴いても、ドラムが安定しているおかげで他のメンバーが自由に演奏できているのがよく分かる。
当ブログで何度も書いている通り、ストーンズは僕がロックを聴くきっかけを与えてくれたバンドだ。
ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ブライアン・ジョーンズというイカれた連中の中で、唯一『普通の人がいる……』と思わせてくれたチャーリー。
フロントの3人とベースのビル・ワイマンはグルーピーに手を出しまくっていたにも関わらず、チャーリーはファンの女の娘に手を出さなかったことでも有名で、ロックンロールの狂気の世界で平静を保っていた彼は全然ロックっぽく見えなかった。
ちなみにチャーリー自身はジャズ畑出身で、普段ロックは全く聴かないそうだ。しかし、かなりロックな一面もあったりする。
写真撮影時はスーツでビシッとキメて写ることが多かった彼は英国紳士……というよりも僕には普通のサラリーマンっぽく見え、『ロックバンドの一員なのに、何で彼はこんなに普通の格好しているんだろう?』なんて違和感が最初はあったものだ。
しかし、そんな風に感じていた僕もストーンズの写真や映像を観る度に段々と彼の立ち位置というかそのキャラクターや佇まいが好きになり、気が付いたら『このクセのある連中をまとめてくれる人』という、一見するとアンバランスなようで、実は絵的にもバランスを取ってくれていると感じるようになっていった。
サウンド的にも派手さは無いがルーズなストーンズの音に彼のタイトなビートが合わさるおかげで独特なグルーヴを生み出しているのも聴いていくうちに感じるようになったし、ずっとストーンズを聴き続けている僕みたいなファンからすれば、チャーリーのいないストーンズなんて考えられない。
余談だが、僕がギターをやっていた時に他の音楽好きな連中と遊びでバンドじみたことをする機会があり、その時に彼らの“Start Me Up”をやることになったのだが、ドラムを担当した人がCDを聴きながら「リズムの入り方が独特すぎて分かれへん」と何度も首を捻り、スタジオに入る直前までイントロを繰り返し聴いていたのを見て、『あ、チャーリーってやっぱり凄いんや!』と感じたものだ。
生まれて初めて観たロックコンサートが98年に大阪ドームで行われたストーンズの『ブリッジズ・トゥ・バビロン・ツアー』で、ミック・ジャガーの超人的なパフォーマンスに度肝を抜かれたが、楽器隊ではキース・リチャーズやロン・ウッドのギターよりも、実はチャーリーのドラムに衝撃を受けてしまったのも良い思い出だ。
涼しい顔で軽くドラムを叩いているように見えて、腹の底まで響いてくる感じ。
今思えば、あの時にボーカルやギター以外の楽器の重要性を初めて知ったかもしれない。
スタジオでノッてきたミックが勢い余ってシンバルを蹴飛ばした時、ミックの胸ぐらを掴んで「俺のドラムには手を出すな!」と言ったという。
80年代にバンドが空中分解していた頃、電話でミックに「ヘイ!俺のバンドのドラマーかい?こっちに来てくれよ!」と言われた際は、時間を掛けていつものようにスーツに着替え、ネクタイを締めて出ていき、ミック・ジャガーと対面して一発ブン殴ったという。そして、あのミックに「お前は俺のバンドのクソッタレシンガーだ!」と言い放った。
口数が少なく、冷静で、だけど芯があり、信念を持ってドラムと向き合っている。
そんなチャーリー・ワッツが大好きだった。
チャーリー、安らかな眠りにつかれるよう、お祈り致します。
Charlie Watts Quintet (LIVE 1996)
https://youtu.be/yJlw5jUZ_FI
All Down The Line (One Camera Shot)
https://youtu.be/MiswNgUYD4M
Midnight Rambler (LIVE 1972)
https://youtu.be/NHZeBKfoNEc
Memory Motel
https://youtu.be/MdpeyQkOK6g
DELAYS / Hey Girl
ディレイズ(DELAYS)については以前にも書いたのだが、今回は“Hey Girl”という初期のシングル曲について個人的な想いを少しばかり書き綴る。
たまに無性に聴きたくなるこの曲。
UKロック特有の叙情的なメロディーと甘酸っぱいボーカル。
間違いなく僕がディレイズの楽曲で一番よく聴いたのがこの曲で、実は今年初めに書いていた小説のタイトルにさせて頂いたのだが、これがまたつまらなくて……(って、自分で言うな!)。
ライトノベルを書こうと執筆していたのだが、何回書き直してもしっくりいかなくて、結局ボツにしてしまったんだな。
書いてる時はこの曲をはじめディレイズを流していたし、彼らの楽曲から想像力を膨らませて物語を創っていたし、もしアニメ化でもされたら絶対にこの曲を主題歌にしてほしい、なんて思っていたものだ。
また書き直してみようかな……。
アコースティックバージョンの演奏動画も発見して、これも良かったので是非ご一聴頂けたらと思う。
今回改めて聴いて、アコースティックバージョンも聴いて思ったのが、このバンドが持っている“ピュアさ”が楽曲や演奏を通して僕ら聴き手に伝わってくる感じがして、そこが一番共感できて好きなんだろうな。
現在はバンドとして活動できないでいるが、こんなに人を感動させてくれる音楽を作ってくれた彼らに僕は感謝しているよ。
(※1stアルバムの1曲目“Wanderlust”のライヴバージョンも素晴らしいので添付しときます)
Hey Girl
https://youtu.be/4AmmeuNAdWw
Hey Girl (Acoustic Version)
https://youtu.be/wAp6FKkRWPk
Wanderlust (LIVE)
https://youtu.be/tESSKvE-as4
AMUSEMENT PARKS ON FIRE / AN ARCHAEA (2021)
アミューズメント・パークス・オン・ファイア、まさかの4thアルバム発表!
3rd“ROAD EYES”から11年ぶりの新作だが、その間に活動休止と再開を挟みながらもシングル曲を発表していたため、アルバム制作に至るまでの流れは至極当然だったのだろう。
当ブログで何度も書いている通り、僕はライドの1stアルバム“NOWHERE”を聴いた瞬間、雷が落ちたような衝撃を受けてしまった一人だ。
そんな僕にとってアミューズメント・パークス・オン・ファイアの音楽というのは、“もしもライドが初期の音楽性のまま続けていたら、どうなっていたか?”という妄想を具現化してくれたバンドだった。
彼ら(といっても、実質はフロントマンであるマイケル・フィーリックのソロプロジェクトだが)がこれまで発表してきたアルバム3枚とシングルの数々は、方向性がブレることなく常に一貫しており、しかも、どの楽曲もクオリティーが非常に高い。
そして、この新作もそんな僕の期待に見事応えてくれている。
アルバムに収録されている全10曲、そのどれもが素晴らしい。
……というか、彼らが発表した楽曲にハズレは1曲たりとも無い。
ギターロック自体がもう世界の音楽の主流で無くなってしまったが、それでも彼らは変わらず、歪んだエレクトリックサウンドを響かせている。
このバンドの特徴であるドラマティックな展開も、攻撃的なディストーションサウンドも、そしてマイケル・フィーリックの甘美な歌声も、何もかもが全く衰えておらず、僕達に夢の続きを聴かせてくれているようだ。
間違いなく名盤。
世間ではその存在を殆ど知られることが無く過小評価されているかもしれないが、アミューズメント・パークス・オン・ファイアは21世紀のギターロックに名を残すに相応しいバンドだと僕は思っている。
Old Salt
https://youtu.be/T6Td6SzBiYs
Breakers
https://youtu.be/2eNPaj0qVR8
Aught Can Wait
https://youtu.be/ZmAUmx8HBDM
Boom Vang
https://youtu.be/NMNl-cws8gY
THE DEPRECIATION GUILD / SPIRIT YOUTH (2010)
最近はBGMとして音楽を聴くことが多いため、聴き心地の良いドリームポップを流している。
ザ・デプレシエーション・ギルド(THE DEPRECIATION GUILD)の2nd“SPIRIT YOUTH”はそんな今の僕の心情にピタリと寄り添ってくれるアルバムだ。
ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートのメンバーが別バンドとして活動し発表したアルバムだが、これが本家ペインズに勝るとも劣らない楽曲で構成されている。
ファミコンの8bit音源を駆使しているが、聴けばちゃんとドリームポップしているという。
80年代ポップスで多用されたシンセサイザーの音は軽すぎて個人的にはあまり好きではないのだが、ファミコンの音に関してはチープながらも温かみがあると感じている。
そんな懐かしい音がバンドサウンドと混ざり合い、名曲の数々を生み出している。
(※どちらかというと彼らの1stアルバムの方がよりファミコンしているので、気になった方は是非聴いてみて下さい)
特に、このアルバムに収録されているM4“Dream About Me”は隠れた名曲というのに相応しく、夜に聴くと一日の疲れをほんの一瞬だけでも忘れさせてくれる楽曲だ。
日本盤に収録されているボーナストラック2曲もデモ音源ではあるが素晴らしい。
90年代シューゲイザーに思いを馳せる人達にもお勧め。
Dream About Me
https://youtu.be/Tks8LT05i1U
Through The Snow
https://youtu.be/4-jyyaR18_s
Blue Lily
https://youtu.be/C_9D57Ao5XQ
Dream About Me (PV)
https://youtu.be/9eliubzBPzw
Japanese Breakfast / JUBILEE (2021)
ここのところ2010年代以降に登場したアーティストの曲をよく聴いており、特に先日発表されたばかりのジャパニーズ・ブレックファーストのニューアルバム“JUBILEE (ジュビリー)”を何度もリピートしている。
「聴いている」とはいっても何かとやることが多いため、限られた時間の中で意識して楽曲に耳を傾けている時といえば通勤中にSpotifyで聴いている程度で、あとはBGMとして流していることが多い。
このアルバムには、いつ、どんな状態の時でも安心して聴けるタイプの楽曲が集められている。
ヒーリングミュージックのようにリラックスさせてくれる歌声と楽曲。
80年代ポップスぽい懐かしさもあるが、不思議と古さは感じず、確かに2021年の音として鳴っている。
最近は聴き心地の良さを重視しているため、以前のように勢いのあるロックをあまり聴かなくなっている。
そんな今の僕の心情に、このジャパニーズ・ブレックファーストの新作がマッチしたのだと思う。
Be Sweet
https://youtu.be/2ZfcZEIo6Bw
Slide Tackle
https://youtu.be/0-EMiEpXLJg
Tactics
https://youtu.be/-LJNqfcvKOI
THE ROLLING STONES / VOODOO LOUNGE in JAPAN (1995) “人生を変えた出来事”
つい先日、無性にストーンズのライヴDVDを観たくなり、4枚組DVD『ライヴ・リックス』(2002~03年のツアー映像)に収録されているスタジアム公演を観賞した。
軽い気持ちで観始めたが、この映像を観ているうち、初めて僕がロックにのめり込んだ時のことを思い出し、あの時の興奮が蘇ってきた。
というわけで、今回は僕がロックを聴くきっかけになったローリング・ストーンズの1995年3月12日に東京ドームで行われた“VOODOO LOUNGE in JAPAN”の思い出について語っていく。
「語っていく」とはいっても、僕はこの日のライヴを生で観たわけではなく、NHK-BSで放送されていた映像を偶然テレビで観た時の思い出だ。
このたった一本のライヴ映像を観たおかげで僕はロックを好きになり、アマチュアだがバンドを組んでいくつかのライヴをやるようになり、辞めた後もリスナーとして今も音楽を聴き続けている。
そんなきっかけを与えてくれたこの『ヴードゥー・ラウンジ・ツアー』での東京公演とは、十代の僕の目にどう映ったのか?
当時の僕はこれといった趣味も特技もなく、ただ時間を浪費していただけだった。そんな日々を過ごしていたある日、バイトから帰宅して疲れてテレビを観ていたら、このライヴが放送されていたのだ。
何となしに観ていたが、演奏が進むにつれ、僕の中で『ロックンロール』という言葉が自然と頭に浮かんできた。
そして、7曲目に彼ら最大のヒット曲である“Satisfaction(サティスファクション)”のイントロが鳴り響いた瞬間、胸の奥底から熱いものが一瞬にして全身に燃え広がっていったのだ。
『サティスファクション』の演奏が終わった瞬間、『……これがロックンロールってやつか!……これが、ローリング・ストーンズか!!』と心の中で叫んでいた。
それからは番組が終わるまでの約2時間半もの間、瞬きするのも惜しくて、本当に瞬きひとつせずテレビ画面に釘付けになっていた。
ギターのキース・リチャーズの“ワル”な佇まいやオーバーアクションでキメまくるパフォーマンスも最高にカッコ良かったが、歌って踊って息切れすることなく躍動するミック・ジャガーに心を奪われてしまっていた。
あの時にストーンズのライヴ映像を観ていなくても、きっと僕は、いつかはロックにハマっていただろう。それは間違いない。
だけど、あの瞬間がなければロックを好きになるのはもっと遅くなっていたはずだ。
ストーンズについては音楽的には70年代末までが評価されていて、歳をとってからの彼らに対して色々言う人達も少なくはない。
しかし、僕にとっては、歳をとってからの彼らのライヴ映像に魅了されてしまったのは紛れもない事実であり、それを否定するつもりは無い。
「昔の曲で生き延びている」、「全然ダメ」、「60~70年代の方が良かった」など色々な意見があるだろうし、実際、そんな言葉や記事がよく耳や目に飛び込んでくる。
だが、そんなことを言われると、あの時、あの瞬間に熱く燃え上がらせてくれた僕自身を否定された気持ちになってしまうし、誰がどう言おうが、どう思おうが、あの時のストーンズは僕の人生を間違いなく変えたのだ。
先日、久々に観た『リックスツアー』でのスタジアム公演でのミック・ジャガーは、あの時点で60歳だったはずだ。
それでも、彼らはエネルギッシュに2時間ものステージを歌って踊って演奏して、あの独特なヘロヘロで下手ウマのロックがワケの分からない強大なパワーを生み出し、何万人もの観衆を熱狂させていた。
ストーンズ自体はもうとっくの昔に頂点を極めてしまったバンドで、辞めようと思えばいつでも辞められたはずだ。
それでも、彼らは一度も解散することなく、今年78歳になるミックとキースを中心に、今も止まらずに転がり続けている。
そして、同業者や世間から文句を言われながらも、何曲ものキラーチューンを引っ提げて、一度のライヴで50万人や120万人の観客を前にして、暴れまくっている。
『何でそこまでやり続けるのだろう?』
今も活動を続ける彼らを見てはそんなことを思ってしまうが、彼らはロックバンドやミュージシャンの限界を自分達の手でブチ破っていってるように見える。
彼らを見て『俺もまだまだやれるぞ』と元気をもらっている人達が、僕以外にも世界中に沢山いてるはずだ。
Rocks Off (LIVE1995)
https://youtu.be/TJnPoWcuTvc
Satisfaction ~ Brown Sugar (LIVE1995)
https://youtu.be/mRg_1rynqj8
Monkey Man ~ Street Fighting Man (LIVE1995)
https://youtu.be/4ThX1gl7YDY
橋本孝之さんへ……
以前、親しくして頂いたミュージシャンの橋本孝之さんが5月10日に永眠された。
僕が知ったのは先週のことで、あまりに突然すぎたため、暫く放心状態になってしまった。
僕が彼と交流を持っていたのは1年8ヵ月程だった。
しかし、会っていない間もたまに彼のことを思い出しては『元気にしているかな』と気にしていた。
たった1年8ヵ月程ではあったが、その間に彼のユニットである.es(ドットエス)のライヴを10回は観ていた。
橋本さんを初めて見た時の印象は今でもよく覚えている。
スタイリッシュで、どこか影のある人だと思った。
サックスを吹奏楽器として吹くだけでなく、指や掌で叩いて打楽器のように扱っていた。
“常識”というものに囚われない人。……というか、“常識”という壁をブチ壊そうとしているように見えた。
サックスだけでなく、ギターやハーモニカでも既成概念を無視しては、“表現”の可能性をとことんまで追求していた。
普通の音楽をやろうと思えばやれたはずなのに、敢えて別の道を選んだ人だった。
何度かお会いするうちに僕は彼と仲良くなり、「ミュージシャンとしての原体験はビートルズだった」というのを知った僕は、かわぐちかいじの漫画『僕はビートルズ』のコミックス全巻を彼にプレゼントした。
彼はとても喜んでくれて、「お返しです」とビートルズのノートを頂いた。
僕が多大な影響を受けたミュージックライターの森脇美貴夫氏の著書『イギリスのパンク/ニューウェイヴ史』を見せると彼は喰い入るように読み始め、「実は僕、今はこういう音楽をやってますけど、元々はピストルズとかのパンクが大好きなんですよ」と言い、シド・ヴィシャスのライヴ盤の話をしてくれたこともあった。
ストーン・ローゼズやライドなどもご存知で、フリージャズに影響を受けたのかと思っていたら「普段はジャズをあまり聴かないんです」と言っていたのも印象的だった。
海外ミュージシャンに僕を紹介してくれた際、“He is my friend”とさらりと言ってくれ、僕は感情を表に出さないようにしていたが、本当はものすごく嬉しかった。
最後に会った日の別れ際、「いつもありがとうね」と言ってハグしてくれたのを、僕は覚えてますよ。
橋本孝之さん、ご冥福をお祈りします。
beabadoobee / Last Day On Earth (2021)
最近は音楽を聴く時間がめっきり減っていて新譜のチェックもろくにできていなかったため、ビーバドゥービー(beabadoobee)のこのニューシングルの存在も昨夜知ったばかりだ。
元々、アコギを掻き鳴らして自室で曲作りしていた彼女らしく、コロナ禍においても変わらず順調に楽曲を発表しているみたいで、無名時代からビーさんの曲を聴いているこちらとしても嬉しくなる。
ドリームポップ全開のこの曲を太陽の下で聴いていると、沈みがちだった心が洗われていくような気がした。
儚げな歌声と曲調が、ちょうど今の自分が求めていた音だったんだと思う。
シンプルで目新しさは無いかもしれないが、クラウドベリー・ジャムやクランベリーズなどが好きだった人もきっと気に入るはず。
BGMとして聴くも良し、じっくり聴き込むも良し。
こんなご時世だからどうしても気分が塞ぎがちになってしまうことがあるけど、この曲を聴いてたら『頑張ろう』って気持ちになったよ。
音楽ってやっぱ良いもんだね。
Last Day On Earth (Audio)
https://youtu.be/CLbYwhl9ork
Last Day On Earth (PV)
https://youtu.be/AwpVNq1FeEk
MEEKS / BEATLESS -shoegazer covers of THE BEATLES- (2013)
数あるビートルズのカバーアルバムの中で、個人的に一番のお気に入りがこのアルバムだ。
ビートルズ好きな人、シューゲイザー好きな人に超お勧め。どっちも好きな人にはたまらんアルバムだ。迷わず盤で購入すべし。
“THE BEATLES”とマイブラの“LOVELESS”を掛けて“BEATLESS”というタイトルのセンスも素晴らしい。
タイトルにある通り、ビートルズの楽曲をシューゲイズにしてしまっている。
めっちゃシューゲイズしまくっています、ハイ。
ミークス(MEEKS)はブロークン・リトル・シスター(broken little sister)というバンドの変名で、メンバーは全員日本人。
全10曲はこんな感じで構成されている。
1.Across The Universe (ジョン)
2.Norwegian Wood (ジョン)
3.Something (ジョージ)
4.Yesterday (ポール)
5.And I Love Her (ポール)
6.Tomorrow Never Knows (ジョン)
7.Nowhere Man (ジョン)
8.In My Life (ジョン)
9.Strawberry Fields Forever (ジョン)
10.Let It Be (ポール)
(※カッコ内はオリジナルのメインボーカル)
ジョージ・ハリスンが1曲、ポールが3曲、そしてジョン・レノンのメインボーカル曲が6曲。
かなり偏っているし、ビートルズ中期以降はポールの曲数の方が多いにも関わらず、ジョンのカバー曲が多いのは何故?と思ったが、ジョンのサイケ掛かった歌声や曲調の方がシューゲらしさがあって表現しやすいのかもしれない。
欲を言えば是非ともシリーズ化して、ビートルズの全楽曲をカバーしてほしいな。
Tomorrow Never Knows
https://youtu.be/Y7-M-lgm2xY
Norwegian Wood
https://youtu.be/S6NgcnWPPko
Strawberry Fields Forever
https://youtu.be/NTxeNU0bPcg
Let It Be
https://youtu.be/XxC9HUEeqY8
OK.
RELUCTANCE (リラクタンス) 〈John Squire's Skunkworks〉
前々回にジョン・スクワイア率いるシーホーセズのアルバムについて書いたが、ついでに解散後に結成されたジョンの新バンドの音源をYou Tubeで聴いていたので、今回はそのリラクタンス(RELUCTANCE)について書き綴っていく。
99年初頭に突如シーホーセズを解散させたジョンは、直ぐに新バンド結成に動き出し、イギリスの音楽誌“メロディーメイカー”にて一般人に混ざりバンドメンバー募集の記事を掲載した。
その時の募集要項が“年齢、性別、国籍、宗教など問わず”みたいな書き方をしていたのが彼らしいというか、おかげで日本の音楽誌にも掲載された。その頃のことは僕もかなりハッキリと覚えている。
そして、仮のバンド名だと思うが、当時は“ジョン・スクワイアズ・スカンクワークス(John Squire's Skunkworks)”と名乗っていた。
正直いって『……ダッッッサ!!』と思ってしまったのである。
先日の記事にも書いたが、ジョン・スクワイアという人はギターや作曲だけでなく、絵画にファッションと、全部がセンスの塊だと僕は思っていたのだが、そのバンド名を知った時はドン引きしてしまい、『大丈夫なんかな……』と一抹の不安がその頃からあったのは確かだ。
そんな経緯で集まったメンバーどんな人達だったかというと、シーホーセズ時代に途中加入したドラムのマーク・ヒーニー(後にギャング・オブ・フォーのメンバーとなる)、ベースに元ザ・ヴァーヴのサイモン・ジョーンズ、そして当時若干19歳の元モデルという異色の経歴をもつダンカン・バクスターだった。
ヴァーヴのサイモン・ジョーンズのベースは当時から好きだったので僕は彼の加入を喜んだし、マーク・ヒーニーという人はシーホーセズ時代にジョンが「今まで見た中で一番のドラマーだった」(当時のインタビューでの発言)と言っており、公式音源として彼のプレイが残されないまま解散したため気になって仕方がなかった。
そして、本来ならシーホーセズの2ndアルバムに収録されるはずだった楽曲をこのリラクタンスで演るという情報も入っていたため、『いつ聴けるんだろ?あ~、早くアルバム出してくれ!』と僕はひたすら首を長くして待ち続けていた。
99年に音楽誌の最新情報コーナーでこのバンドが“リラクタンス”という名前に変更されたという記事が載っていたりしてホッと胸を撫でおろし(笑)、当時はページの隅っこに小さな記事でちょこちょこと活動内容が記載されていたのだ。
因みに“RELUCTANCE(リラクタンス)”という単語は“未練”とか“心残り”という意味で、これも本来ならば既にレコーディングを終えて世に出すはずだった楽曲や、志半ばで解散に至った前バンドのことを皮肉った名前だったんじゃないかな、と僕は思っている。
リラクタンスの情報を固唾を呑んで見守っていたのだが、それも99年の終わり頃にあっさりと『解散した』との記事が小さく掲載され、結局その頃の音源は謎のままとなってしまった。
そんな幻のバンド、リラクタンスの音源を聴けるようになったのは彼らが解散してから何年も経ってからのことで、それらの楽曲はYou Tubeにアップされていたのだった。
ドラマーだったマーク・ヒーニーが公開している楽曲もあるのだが、後はブートレグなどで熱狂的なファンが探してくれたのかは分からないが、僕が知る限り、リラクタンスの楽曲は5曲が聴けるようになっている。
(※音源は下記にリンク先を添付しています)
その中でも驚いたのが、シーホーセズの2ndに収録される予定だった“I Want You”という曲がリラクタンスのメンバーで演奏されており、これが同じ楽曲ながら全然違うアレンジとなっている。
シーホーセズではギターを歪ませまくっていたジョンだが、リラクタンスのバージョンではギター本来の生音を重視しているようで、この“I Want You”は60~70年代のクラシックロックファンが聴いても良い感じではないかと思っている。
ローリング・ストーンズから本格的に洋楽を聴き始めた僕はロイ・ブキャナンやライ・クーダーなどの枯れたブルースも勿論大好きだし、90年代以降の音楽しか殆ど聴いてない人達にもこういう枯れた味わいのある楽曲って伝わるものがあるんじゃないかな、と感じている。
他には“Carpet”(←※曲名が正しいかは分かりません)と“What You Are Waiting For”という歌モノがあり、前述の“I Want You”を含め3曲のボーカル曲と、インストゥルメンタルの“Money In The Meter”と“Jam”の2曲、合計5曲が現在聴けるリラクタンスの楽曲だ。
(※他に知っている人いたら教えて下さい)
オマケでシーホーセズバージョンの“I Want You”も添付しているので、聴き比べてみると面白いと思う。
たった5曲だけだが、残されたこれらの音源を聴く限り、順調に活動してアルバムを出していれば良い出来になっていたんじゃないかな。
ジョン以外のメンバーはこの後“ザ・シャイニング”というバンドを結成し、1枚だけアルバムを発表した後に自然消滅している。
その話はまた別の機会に……。
I Want You
https://youtu.be/nIm8_yQi-9o
Carpet
https://youtu.be/Fh2tS0U5YNE
What You Are Waiting For
https://youtu.be/O9cpzpcFgnQ
Money In The Meter (Instrumental)
https://youtu.be/_O6tjhbCqaI
Jam (Instrumental)
https://youtu.be/gOKFKQ7cf1s
I Want You (THE SEAHORSES Version)
https://youtu.be/lj8XGN_g7lc