CORNERSHOP (コーナーショップ)
コーナーショップを知ったのは世界的大ヒットを飛ばした“Brimful Of Asha(『ブリムフル・オブ・アーシャ』と読む)”をラジオで聴いた時だった。
(3rd“When I Was Born For The 7th Time”)
ビートルズをはじめ、世界中でインド音楽や文化に傾倒しているバンドは数しれないが、このコーナーショップに限っては他と一線を画していると僕は思っている。
殆どのバンドは基盤となる“ロックミュージック”や“ポップミュージック”がある上でインド音楽を取り込んでいるのに対し、コーナーショップは逆に“インド音楽”が下地にあり、そこからロックやらハウスやらダンスミュージックを取り入れているため、聴いていて純粋にインドしている感じというか。
(いや、“純粋”ではないと思うけど 笑)
それもそのはずで、メンバーにはインド系イギリス人のティジンダー・シンという人が中心となっており、そんじょそこらの“インドっぽさ”とは明らかに違っている。
先述した“Brimful Of Asha”が収録されている3rdアルバム“When I Was Born For The 7th Time”しか知らない人もいるかもしれないが、他のアルバムも素晴らしかったりする。
個人的にお気に入りなのが2002年に発表された4th“Handcream For A Generation”で、このアルバム収録の“Spectral Mornings”には元オアシスのノエル・ギャラガーが参加しており、自由奔放なギターソロを披露している。
(4th“Handcream For A Generation”)
これが14分以上もの長尺曲であるにも関わらず、ストレスなく最後まで聴けちゃうのだ。
この曲を聴いて『ノエル・ギャラガーってやっぱ良いギタリストだな〜』と思ったし、そして、全体的にスペイシーなサウンドながらも相変わらずインドしてるという(笑)。
因みに3rdで大ブレイクする前の94年か95年頃に彼らは来日しており、ライヴ中は客席に向かってメンバーがカレー粉をぶちまけたりナンを投げつけたりとハチャメチャなステージだったそうだ(笑)。
想像するだけで滅茶苦茶だが、グッドミュージックを掻き鳴らしながら身体の芯までインドに浸るステージなんて、絶対楽しいんじゃないかな。
そんな彼らの武勇伝を知ると『一度、ライヴに行ってみてえな〜』と思わせてくれるバンドで、今もマイペースで活動を続けているようだし、コロナ収束後に是非ともまた来日してくれたらと願っている。
(帰りはカレー臭くなりそうだけど……笑)
Brimful Of Asha (Norman Cook Remix)
https://youtu.be/5LBnMRWeV-E
Brimful Of Asha
https://youtu.be/E4SMH-gxri4
Sleep On The Left Side
https://youtu.be/CqxGzawZPqQ
Good To Be On The Road Back Home Again
https://youtu.be/REzVxf_e2Vs
Spectral Mornings (feat. Noel Gallagher)
https://youtu.be/ZoceBpniPw8
You Always Said My Language Would Get Me Into Trouble
https://youtu.be/suU3OwJ8nUQ
THE SEAHORSES / DO IT YOURSELF (1997)
先週だったか、当ブログの下記にある【注目記事トップ5】にシーホーセズの幻の2ndアルバム“Minus Blue”がランクインされていたのを目にし、『久しぶりに聴いてやるか』と軽い気持ちで彼らの音源を再生したのだが、それからというもの毎日聴くようになっている。
(2nd“Minus Blue”の記事)
https://shoegazer1990.hatenablog.com/entry/2019/01/19/THE_SEAHORSES_/_Minus_Blue%281999%3F%29
前回の記事で紹介したアウル・シティーとシーホーセズが最近のヘビロテだったりする。
……というわけで、今回はそのシーホーセズ(THE SEAHORSES)が1997年に残した唯一の公式アルバム“DO IT YOURSELF”について書き綴る。
今回改めて聴いて感じたのは、やはりジョン・スクワイアの奏でるギターとメロディーセンスは僕の好みに合っている、ということだ。
「ジョンがギターを弾きまくりたいためだけに結成されたバンド」なんて揶揄されていたが(実際、そうなのだろうが)、それでも、このアルバムには格好良いリフとギターソロが凝縮されている。
特に、1stシングルとなったM5“Love Is The Law”は英国ロックバンド好きのツボを押さえた楽曲となっているし、PVでテレキャスターを弾くジョンの姿はいかにもスーパーギタリストな佇まいだ。
個人的な意見だが、この頃のジョンが見た目も一番良く、『“Love Is The Law”で着ているブルージャケットが欲しい!』と今でも思っていたりする(笑)。このジャケットを着ている姿が音楽誌の表紙を飾っていたり、ジョン自身もお気に入りだったのだろうと推察できる。
ちなみにPVではシングルバージョンの3分程度(歌部分のみ)しか収録されていないが、アルバムバージョンでは後半がジョンの独壇場となっており、アルバム全体のハイライトとなっている。このギターソロが今聴いてもテンションが上がる!
他にもメロディアスで聴きやすい曲が多く、M6“Happiness Is Eggshaped”の後半パートや、哀愁漂うM2“Blinded By The Sun”やM7“Love Me And Leave Me”、リフで攻めまくるM3“Suicide Drive”にM9“Round The Universe”など、ギター小僧が真似したくなる楽曲が散りばめられていたりする。
(確か、シングルカットされたのが全11曲中6~7曲あったと記憶している。それだけ馴染みやすい曲があったということだ)
ジョン・スクワイアと彼のギターについてばかり書いているが、ボーカルのクリス・ヘルムの歌声は伸びやかで、『あと2〜3枚アルバムを出していたら、彼の評価ももっと変わっていたんじゃないのか』と当時から思っていたものだ。
しかし、「2ndアルバムが完成した」という記事を読んだ翌月に「突然の解散」と書かれていて唖然としてしまったし、「歌いたくもない歌を歌わされる」と答えていたクリスに対し「フザケとんのか、コイツは?!」と思っていたのだが(苦笑)、余程の理由がなければいきなり解散に至るわけがない、と当時感じていて、それがずっと引っ掛かっていた。
そして、彼らが解散して10年以上が経ってから、古本屋で偶然見つけたタナソーこと田中宗一郎氏が編集長を務めていた音楽誌スヌーザー内で、解散直後のクリス・ヘルムの独占インタビューが掲載されていたのを目にし、やっと当時の彼らの心境を理解できたのだった。
アルバムデビューしてからの1年間、ジョンとクリスはまともに話をしなかったというほどコミュニケーションが取れておらず、ちゃんとした信頼関係を築けていなかったという。それが一番の理由で、このバンドが短命に終わった原因だったとのことだ。
ジョン・スクワイアの作曲センスやギターセンスだけでなく、アートワークに至るまで拘る彼の姿勢は、バンドのイメージや音楽的リーダーとしての才能はある。
……が、数人の人間を束ねるだけの“まとめ役”として考えた際、一人の世界に浸るタイプの彼には向いていないのだろうとも感じてしまったのも事実だ。言葉足らずだと、どうしても誤解を招いてしまうしね。
ジョン自身もストーン・ローゼズ時代に人間関係でモメた過去があったため、『これ以上悪化するなら、いっそのこと今解散した方が良い』と判断したとも他の音楽誌に書かれており、何もかもが中途半端なままで終わってしまったバンドという印象が拭えない。
それでも、唯一残した彼らの公式アルバムである本作を今聴き返してみると、90年代ブリットポップ期のひとつとしてロックファンなら押さえておいて損はない作品だと僕は思っている。
Love Is The Law (Single Version)
https://youtu.be/T03EBbesIuw
Love Me And Leave Me
https://youtu.be/tDYenCgDLgw
Blinded By The Sun (Single Version)
https://youtu.be/iv3J4HTThpQ
Round The Universe
https://youtu.be/FrT4DPUXvMg
Happiness Is Eggshaped
https://youtu.be/EshtudNDntE
Love Is The Law (Album Version)
https://youtu.be/t7GSGrV0B3k
OWL CITY / OCEAN EYES (2009)
ジャケットに写る真っ青な海と空を見て迷わず購入したアウル・シティー(OWL CITY)のメジャー1stアルバム“OCEAN EYES”。
CDから流れる音もアートワークそのままの爽やかな楽曲群で構成されており、当時はヘビロテしていたほどお気に入りの1枚だった。
アウル・シティーはアメリカ人のアダム・ヤングという人のソロプロジェクトで、趣味で自宅の地下室で作っていた楽曲が評判を呼んでプロデビューした人だ。
大物プロデューサーを起用せず自分で作り上げたこのアルバム。
しっかり聴き込むも良し、BGMとして流すも良しという、どんな時にもストレス無く聴ける作品に仕上がっている。
つい先日、CDラックを整理していたらこのアルバムが目についたため久々に聴いたが、それからまたヘビロテしている。
今のご時世、どうしても気分が塞ぎがちになることもあるだろうが、このアルバムを聴いていると心が晴やかになるかも。
The Saltwater Room
https://youtu.be/8AllgoKzRA8
Umbrella Beach
https://youtu.be/yRpkRf99tz0
Fireflies
https://youtu.be/psuRGfAaju4
Vanilla Twilight
https://youtu.be/pIz2K3ArrWk
YOUNG HERETICS / We Are The Lost Loves (2010)
10年程前に店頭で偶然目に止まった、2人の若い男女の写真。裏返すと、角が描かれた馬が淡い大地を歩いている。
そして、アルバムの帯にはピンク色の文字で大きく“COCO HEART”と書かれており、“COCO(ここで)HEAR(耳を傾ける)ART(アートに)”との説明が記載されている。
それが、今回紹介するヤング・ヘリティックス(YOUNG HERETICS)の唯一のアルバム“We Are The Lost Loves”との出合いだった。
何の予備知識もなくジャケ買いしたこのアルバム。
色々と調べていくと、COCO HEART(ココハート)は台湾のレーベルらしい。今はもう存在しなくなっているのかホームページも無くなっているが、多分、日本人の方が運営されていたのではないかと思う。
ヤング・ヘリティックスのアルバムをキッカケにココハートレーベルの他の作品も購入して聴いており、所属しているアーティスト達はドリームポップやシューゲイザー系の人達が中心となっていた。
世界中のマニアックで良質な音楽を表舞台に出させてあげたいという想いがレーベルから感じ取られたのも好感が持てたし、実際、僕もいくつかのアルバムは気に入っているものがある。
その中の1枚にこのアルバムがあり、“We Are The Lost Loves(僕達の失われた愛)”というタイトルにも惹かれたのを覚えている。
このアルバムを聴いた当時の僕は極度の不眠症に悩まされていて、殆ど眠れない日々が続いていた。
眠れない日が四日目に突入すると意識に変化が起き始め、そんな時に音楽を聴くと普段の何十倍もトリップできてしまうのだが、彼らのこのアルバムを初めて聴いた時もそうだった。
このアルバムの中ジャケにも一頭の白いユニコーンが描かれており、その遥か先には雲の上にそびえ立っている城と星々が見える。
そして、CDを取り出すと、その裏に得体の知れない怪物が現れるという、幻想的だが気持ち悪さもある世界観で、彼らの音楽もそんなアートワークを音で表現しているものとなっていた。
ドリーミーだが、時折、不穏な展開を魅せる。
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやコクトー・ツインズのアルバムとはまた違う異質な音作りで、ストーリー性もあり、僕には特別な思い入れのあるアルバムだ。
だけど、今聴いても、あの当時のようなトリップ感はもう得られなくなってしまっている。
音楽って聴く時の心理状態などにも大きく左右されるし、今このアルバムを聴いても、良い作品だとは思っても、特別な存在では無くなっているのが正直な感想だ。
それでも、たとえほんの一瞬だけだったとしても、あの時、このアルバムを通して体験できたことは、僕の中で一生忘れられない思い出となっている。
Come Together
https://youtu.be/2h4aB4TCEn8
The Lost Loves
https://youtu.be/p5sK7L-dPCs
Trapperkeeper
https://youtu.be/PgnH7u8M2C0
Bones Of A Rabbit
https://youtu.be/h9NW3yplekA
THE PAUL BUTTERFIELD BLUES BAND / EAST WEST (1966)
今回はポール・バターフィールド・ブルース・バンド(The Paul Butterfield Blues Band)が1966年に発表した彼らの2ndアルバム“EAST WEST”について。
このアルバムについて書こうと決めたのは、昨日、今年初のディスクユニオン大阪へ行った時のこと。
レコードコーナーでやたらイキの良いブルースが流れているなと思い、聴き覚えはあるのだがどうしても思い出せず、スマホのアプリ“シャザム”を使って表示されたのがこのアルバムの1曲目“Walkin' Blues”だった。
昔、好きでよく聴いていたアルバムだったのに、パッと出てこなかったという。
そんなことがあり、何年ぶりか分からないくらい久しぶりにアルバムを聴き返したのだが、白人がプレイしているブルースで僕が知っている限りでは一番黒いノリを体現している連中だと感じた。
以前から当ブログで書いている通り、僕の原点はローリング・ストーンズで、彼らも黒人のブルースから多大な影響を受けたバンドだ。
他にもエリック・クラプトン率いるヤードバーズやデレク&ザ・ドミノスをはじめ、60年代にデビューした白人ブルースバンドは一通り聴いていると思うが、良くも悪くも、どのバンドも黒人の重たいリズムに比べるとノリが“軽く”て、そんなポップでキャッチーな音が当時の世界中の若いリスナーにウケたのだろう。
しかし、このバンドはそんなお洒落に洗練された連中とは違い、音が“黒い”のだ。
この感覚は実際に聴いて感じるしかないと思うし、他のバンド勢や当時の音に触れてみないと理解できないかもしれない。
バンド名にもなっているポール・バターフィールド(ボーカル&ハーモニカ)と、最高のブルースギタリストであるマイク・ブルームフィールドが中心となったグルーヴ感はストーンズやサンタナなどにも音を聴けば確実に影響を与えているのが分かるし、特に、アルバムタイトルにもなっているラストトラック“East-West”に至ってはストーンズの“Can't You Here Me Knocking”の元ネタになっている。
実際、初めて“East-West”を聴いた時、『うわっ!ストーンズ、ここからパクッたんか!』と思ったし(笑)。
2nd“EAST WEST”を聴いてマイク・ブルームフィールドは僕のお気に入りのギタリストの一人になったのだが、このアルバムを最後に彼はバンドから脱退し、その後はアル・クーパーと一緒にやったり、ソロへ転向し、結局、ドラッグのオーバードーズ(過剰摂取)により死亡する。
正直、ソロ転向後のアルバムを聴いてもこの“EAST WEST”のような感動や興奮は得られなかった。
それでも、ほんの僅かの期間であっても、永遠に残る名演を残してくれたおかげで僕の音楽的感性もより深まったし、発表から55年も経った今でも、このアルバムは僕の胸を熱くさせてくれている。
Walkn' Blues
https://youtu.be/5Xd_7OsCs7Q
Work Song
https://youtu.be/xO2JAA47Mgk
East-Weat
https://youtu.be/NvWvOwLCWGg
East-Weat (LIVE1966)
https://youtu.be/TnN6_I1z-2E
PINK FLOYD (ピンク・フロイド) Part2
最近、またピンク・フロイド(PINK FLOYD)をよく聴いている。
というのも、先日、夕日を眺めながら彼らの代表曲“Wish You Were Here”を聴いていたら、感極まり、自然と涙が流れていたからだ。
これまでに何度も聴いたはずなのに、胸に染み込んできたというか、心に響いてきたのだ。
沈んでいく夕日を見ながら『なんでこんなに素晴らしいんだろう?』なんてことをひとり思っていた。
アルバム1枚ずつについて感じたことを書きたいが、なかなか難しいため、最近聴き返して感じたことを少しだけまとめようと思う。
73年のアルバム『狂気』から79年発表のダブルアルバム『ザ・ウォール』までの4枚を今回聴いていたが、やはりこの頃がキャリアのピークだったのだろう。
何万人もの観客を収容できるスタジアムで演奏できる、偉大な作品ばかりだ。
人生についてや、社会に生きる人々をテーマとしたコンセプトアルバムというだけでなく、楽曲そのものが壮大さに充ちている。
僕自身、雑食系でロックを中心にどんな音楽でも聴いているし、当ブログをご覧になられた方はお分かりの通り、ライドやマイブラといったシューゲイザーという音楽に衝撃を受けた一人だ。
しかし、「無人島に持っていきたいアルバムを1枚選べ」と質問されると、考えた末に浮かぶのがピンク・フロイドの『狂気』だったりする。
そして、「好きな曲を1曲だけ選べ」と言われると、これも彼らの楽曲“Wish You Were Here”と答える気がする。
ピンク・フロイドは大好きなバンドのひとつではあるが、熱狂的なファンというわけではない。
そんな僕でも彼らのアルバムや楽曲には普遍的な魅力を放ち続けていると感じている。
10分を超える長尺曲が多く、一聴しただけではとっつきにくい印象があるかもしれないが、一度ツボにハマれば、何故、彼らがこれほど支持され続けているのかが分かるはずだ。
そして、良さに気付けば、きっと僕と同じように感じるだろう。
『何でこんなに素晴らしいんだろう?』と。
Wish You Were Here
https://youtu.be/hjpF8ukSrvk
The Great Gig In The Sky
https://youtu.be/cVBCE3gaNxc
Us And Them
https://youtu.be/I3OdanjBYoM
Comfortably Numb
https://youtu.be/x-xTttimcNk
Shine On You Crazy Diamond (Pts.6-9)
https://youtu.be/wE2GZ2Vpqjo
LIVE 8 (2005)
https://youtu.be/2K7TU1Hh_3U
LOVE
LUSH / TOPOLINO (1996)
今回はラッシュ(イギリスの“LUSH”の方ね)が1996年に発表した来日記念盤“TOPOLINO(トポリーノ)”について書き綴る。
リアルタイムでは聴いてはいなかったし、そもそも彼女達の存在すら知らなかったが、それでも僕にとってラッシュというバンドは思い出深く、一番大切なバンドのひとつだ。
そんな中でもこの日本のみで発売された特別編集盤はジャケットのアートワークも大のお気に入りで、シングル“500(Shake Baby Shake)”を中心に3rdアルバム“LOVELIFE(ラブライフ)”未収録曲で構成されている。
そして、これがなかなかお洒落な楽曲が多く、実験的な曲もあったりと、ぶっちゃけて言うと散漫な印象のある『ラブライフ』よりも全然良い出来栄えだ。
ラッシュの音楽を初めて聴いたのはもう随分前だが、その頃はシューゲイザーという音楽を聴くと完全に現実逃避してしまうようになっていたため(重病やな……)、長いあいだ聴かなくなっていた。
それが、You Tubeという媒体を通してPVやライヴ映像で彼女達の歌っている姿を観て、久々に楽曲を聴いているうちに『こんなに良い音楽だったんだ!』と思わされ、それから現在に至っている。
メインボーカル&リズムギターを務めるミキ・ベレーニとバッキングボーカル&リードギターのエマ・アンダーソンという2人の女性を軸として、リズム隊はドラムのクリス・アクランドとベースのフィリップ・キング(デビュー時はスティーヴ・リッポンが担当)という男性2人の、男女混合バンド。
ミキちゃんのお母さんが日本人ということもあり、初めて写真を見た時も、僕らにも親しみやすさがあるように感じた。
ミキちゃん、エマちゃんの2人ともルックスが良くて男性陣が陰に隠れがちだが、クリスもフィルも丹精な顔立ちをした男前だと思うんだけどなぁ……。
話がズレたが、You Tubeで久々にラッシュの初期楽曲をいくつか聴いた後に“500(Shake Baby Shake)”のPVを初めて観た時、あまりにシンプルすぎるギターソロに笑ってしまったのだが、その音数の少ないアルペジオから紡ぎ出されるメロディーを聴いているうちに、気が付くと自然と涙が溢れていた。
ギターソロといえばギタリストの技量をここぞとばかりに惜しげもなく披露できる絶好の機会のため、上手い人は弾きまくっていたりするが、エマちゃんの場合は、もうこれ以上無いというほどに音数を減らしている。
しかし、彼女の生み出す音は贅肉を削ぎ落とし、極限まで無駄を省いているというか。
そして、ミキちゃんのボーカルはというと、デビュー当時の幽玄で神々しい歌い方は影を潜め、替わりによりロック色とポップ色を強めている。
ラッシュの楽曲を聴いていると、ミキちゃんの声が本当に素晴らしく、僕は彼女の歌声を“虹色の声の持ち主”だと思っている。
キュートに歌い上げたかと思えば、天使か女神が乗り移ったかのような歌声を披露し、そして、いかついロックな歌い方もできる。
お世辞抜きで彼女が一番好きなボーカリストなのだ。
21世紀になって星の数ほど出現した“ドリームポップ”と呼ばれる音楽をやっているミュージシャンやバンド勢へ確実に影響を与えているはずだし、実際、僕のお気に入りのビーバドゥービー(Beabadoobee)もミキちゃんやラッシュからの影響を公言している。
この来日記念盤を引っさげて日本公演を敢行した後、ドラマーのクリスが自殺してしまったため、解散することとなったラッシュ。
残されたメンバーは打ちのめされただろうし、クリスと学生の頃からの付き合いだったという彼女達の心が欠けてしまったんじゃないかと感じている。
もし彼が生きていたら、あの後も地道に活動を続け、もっと沢山の素晴らしい音楽を残してくれていたと思う。
このアルバムを聴きながら、当時の彼女達に想いを馳せると同時に、涙を流し聴いていた僕自身を思い出す。
I Have The Moon
https://youtu.be/aBqaKea_Pek
500 (Shake Baby Shake)
https://youtu.be/ODdZ4QhnXJI
I Wanna Be Your Girlfriend
https://youtu.be/wxkElQsm_Ag
500 (Shake Baby Shake)(LIVE1)
https://youtu.be/ha__1-fDcCI
500 (Shake Baby Shake)(LIVE2)
https://youtu.be/4pJoW39PIwE
THE DOORS (ザ・ドアーズ)
昨夜、映画『ザ・ドアーズ』を観賞した。ということで、今回はザ・ドアーズ(THE DOORS)について。
ドアーズの映画は昔から知ってはいたが『観よう、観よう』と思いながらかなりの年月が経ってしまっていた……。
ドアーズのアルバムは高校生の頃から聴いていたが、このバンドに特別な思い入れは無いし、60年代のアメリカを代表するサイケデリックバンドのひとつとして挙げられる彼らではあるが、彼らのやっているサイケデリックというのは呪術的で、僕が好むサイケとはまた違うタイプなんだな。
ボーカルのジム・モリソンの歌詞が詩的ではあるものの、ライヴ中に自分の局部をさらけ出すなど、その奇人変人ぶりに付いていけないところがあった。
まあ、ロックやっている連中なんてどこか変態じみているし、真面目すぎてまともな奴らだと刺激が無くて退屈するのだが、それでもやはり好みがあって、ジム・モリソン系の変態ぶりは苦手なんだな。
それでも、僕自身が人生経験を重ねたためか、こういうタイプのロックスターに対しても昔ほど敬遠することが無くなり、今は“表現のひとつ”として考えるようにしている。
ちなみに昔から好きだったはずのストーンズのミックやキースに対しても破天荒過ぎるロックンロールライフに嫌悪感を抱いたりして、『彼らの音楽は好きだけど、ハチャメチャすぎる生き方は苦手だ』と思っていた時期もかなり長い間あった(特に初期リーダーであるブライアン・ジョーンズなんかは本物の悪魔だと思っていたほどだ)。
ただ、十代の頃は受け入れられなかったドアーズのような“陰鬱な世界観”も今では抵抗なく聴けるようになったし、それも音楽に限らず“アート”というものに対して自分の許容範囲が広くなったためだと感じている。
綺麗で美しいものだけを受け入れるのではなく、その反対側にあるもの、醜悪や憎悪といったマイナスでネガティブな表現があってこその芸術なんだろうし、それをエンターテイメントとしてやっていたのがドアーズ(=ジム・モリソン)なんだろう。
Light My Fire
https://youtu.be/mbj1RFaoyLk
Touch Me (LIVE)
https://youtu.be/U6bRukfcUf0
The End (LIVE1968)
https://youtu.be/6FMGYycBAMU
Good Night.
Billy Idol / The Very Best Of Billy Idol : Idolize Yourself (2008)
今回は、先月後半によく聴いていたビリー・アイドル(Billy Idol)のベストアルバムについて書き綴る。
↑
(このファッキューでサノバビッチな佇まい……イカシてるぜ!)
初めて僕がビリー・アイドルを知ったのはキアヌ・リーブス主演の映画『スピード』だった。
エンディングで流れた彼の楽曲“Speed”を聴いた時、『カッコイイ曲だな』と思ったのを覚えている。
ただ、その頃はまだ本格的に洋楽を聴く前の話で、映画に使用された楽曲名と、歌っているのが“ビリー・アイドル”という名前なんだ、と思った程度だった。
『自分の名前に“アイドル”と付けるなんて、変な感じだな』と思ったものだ。
そして、洋楽を聴き初めてから高校の図書室に置いてあった森脇美貴夫さんの著書『イギリスのパンク/ニューウェイヴ史』を喰い入るように熟読し、そこでビリー・アイドルが“ジェネレーションX”というバンドでデビューしたことを知った。
(余談だが、よくこんなマニアックな本が学校の図書室に置いてあったものだ…笑)
それからの僕はビリー・アイドルにどハマリした……わけでは全くない。
寧ろ、当時はセックス・ピストルズ以外のロンドンパンクを殆ど敬遠していたため、ビリー・アイドルはおろかジェネレーションXも聴いていなかった。
その後、だいぶ年月が過ぎてから彼のソロアルバム『サイバーパンク』とバンド時代のベスト盤だけは購入したのだが、『とりあえず聴いとくか』程度でサラッと流した感じで終わったのだ。
ジェネレーションXにもビリー・アイドルにも特別な思い入れがなかったのだが、つい最近になり、ふと思い出したことがあった。
それは、大好きな漫画『ろくでなしBLUES』で、主人公の前田太尊のライバルである原田成吉の入場曲が『モニー・モニー』という曲で、『あれって誰の曲だったんだろう?』と気になって調べてみたら、ビリー・アイドルだったというわけだ。
(注:『モニー・モニー』はカバー曲とのこと)
……で、『ああ、ビリー・アイドルだったのか!そういやこの人、確か“スピード”の主題歌も歌ってたよな。ちゃんと聴いてみるか』となり、Spotifyで彼のベストアルバムを聴いてみると、気付いたらいつの間にかヘヴィロテしてしまっていたのである(笑)。
昔から写真を見ては『ルックスの良い人だな』と思ってはいたが、この人の立ち位置というか、ロックの世界においてどういうポジションにいるのかがよく分からない人という印象があったため、何となくちゃんと聴くキッカケを掴めなかったのかもしれない。
名前の通り、ロックミュージシャンの中でアイドル的な存在として世間に知られている程度にしか思っていなかったのだと思う。
(注:思い切り勝手な偏見です)
そんな風に彼のことを思っていた僕だが、声は良いし、どの楽曲も既存のパンクロックと比べるとまたひと味違う良さがあると感じた。
個人的には“近未来パンク”という表現の方がしっくりくる気がする。
といっても、彼が大ヒットを飛ばしていたのは80~90年代のようだが、当時の人達が想像していた近未来的な存在にも見える。
“近未来パンク”であり、アルバムタイトルにもなった“サイバーパンク”という表現がピッタリな、独自のポジションにいる人。
僕がビリー・アイドルを見て、彼の楽曲を聴いて感じるのは、そんなSF的な、不思議な感覚だ。
Mony Mony (LIVE)
https://youtu.be/sYYAv-QW38Q
Shock To The System
https://youtu.be/lx2fZU5USus
Eyes Without A Face
https://youtu.be/9OFpfTd0EIs
Speed
https://youtu.be/rd-0LtV5Axo
Rebel Yell
https://youtu.be/VdphvuyaV_I
Don't Go.
REVOLVER / Cold Water Flat (1993)
今回はリヴォルヴァー(REVOLVER)が1993年に発表した唯一のフルアルバム“Cold Water Flat”について書き綴る。
シューゲイザーという音楽が好きな人、または「シューゲイザーって何?けど、かっこいい音楽ないかな」と探している人、そういう人達は一度このアルバムを聴くべし。
今回ご紹介するリヴォルヴァーのアルバム“Cold Water Flat”は、間違いなく隠れた名盤だ。
ギター&ボーカルのマット・フリントを中心に結成したリヴォルヴァー。
……だが、当時はブリットポップ前夜だったというのもあり、この手の音楽は注目されなかったのか?
ヴァーヴと同じHutレーベルからデビューしたにも関わらず、自然消滅したのはあまりにも勿体ない。
先日、久々にこのアルバムを聴き返してからずっとリピートしっぱなしなのである。
このアルバムのような疾走感は一番好きなタイプの音楽だ。
とにかく、聴いていて飽きない。
飽きないどころか、聴き終えたらまた最初から聴いて、無限ループできてしまう。
永遠に聴き続けられる1枚だ。
個人的に、次に挙げる4枚のアルバムには共通点があると思っている。
↓
・RIDE “Nowhere”
・REVOLVER “Cold Water Flat”
・MY VITRIOL “Finelines”
・AMUSEMENT PARKS ON FIRE “Out Of The Angels”
この4枚に共通するのは“疾走感”や“蒼さ”といったもので、一時期、こういうタイプの音楽を他に探していたが、ありそうで、実は殆ど無いというのが分かった。
ライドの1st“Nowhere”はある意味、僕の音楽的価値観を決定付けた作品で、ロックを中心にいろんなジャンルの音楽を聴くようになった今でも、やはりこの手のサウンドに心惹かれてしまう。
攻撃的で激しいドラムとベースに、浮遊感のあるリヴァーヴがかったディストーションギターが乗っかりながら、美声と美メロが牽引(けんいん)する。
それらが一体となり絶妙なバランスを保ちながら醸し出すグルーヴ感は、“蒼き衝動”という表現がピッタリ当て嵌まる。
リヴォルヴァーの“Cold Water Flat”にも若さ特有の“蒼さ”や“勢い”、そして“透明感”があるから、このアルバムを聴く度に僕は十代のようなフレッシュな気持ちでいられるんだと思う。
このアルバムの特徴は、上記に挙げた他3枚のアルバムより若干ブルースや民族音楽っぽいエッセンスが時折入っているところで、ストラトキャスターのシャリシャリとしたシャープな音作りにもその音楽性が合っている。
たった数枚のシングル盤と1枚のオリジナルアルバムだけを残して解散したのはあまりにも勿体なさすぎるバンドだ。
“好きなアルバムベスト10”を選ぶとするなら、その時々によって変わるだろうが、お世辞抜きでこの“Cold Water Flat”は入ってしまう。
今回、このアルバムを聴き返してみて、『プロなら、売れなきゃ話にならない。だけど、本当に素晴らしい作品を残した人達が時代の闇に葬り去られるなんて、あまりにも惜しい』と感じていた。
そんな素晴らしい作品を残してくれたこのリヴォルヴァーのためにも、僕のブログが微力ながらも役立てられたらと思っている。
Bottled Out
https://youtu.be/BKvEbwa0Ask
Coming Back
https://youtu.be/4NM1hf3QwXo
Cool Blue
https://youtu.be/HT5jLQ3-yHw
I Wear You Chain
https://youtu.be/Y7zsu53lYdI
Shakesdown
https://youtu.be/Q3CJeQ69_wA
LOVE.
GUIDED BY VOICES (ガイデッド・バイ・ヴォイシズ)
ガイデッド・バイ・ヴォイシズ(GUIDED BY VOICES )を初めて知ったのは、確か2004年頃に発行されたクロスビート誌のインタビュー記事だった。
中心人物のロバート・ポラードという人が教師(高校で数学を教えていたと記憶しているが、記憶違いかも…)をしながらロックバンドをやり、レコードを作ってツアーにも出ていると書かれていたのが印象に残っていたのだ。
しかも、それはバンドが解散する時のインタビューでたった1ページだけの記事だったが、ロバートさんの発言は清々しくて知的さに溢れていたため、余計にインパクトがあったのだと思う。
(その後、再結成と解散を何度か繰り返しているようだ)
ガイデッド・バイ・ヴォイシズというバンド名を知ってからずっと聴く機会がなく(というか、聴きたいものが多過ぎたため)、最近になってやっとSpotifyで聴いた次第だ。
聴こうと思った直接のきっかけとなったのは、シューゲイザーバンドのマイ・ヴィトリオールが彼らの曲“Game Of Pricks”をカバーしていたからで、それが彼らの楽曲だと知ったのがつい最近のことだった。
マイ・ヴィトリオールのカバーを聴いていた時から『カッコイイ曲だな』と思っていたし、ガイデッド・バイ・ヴォイシズのオリジナルバージョンや他の楽曲を聴いてみると、非常に多作ではあるがポップ色のある耳馴染みの良いロックソングばかりだったため、一気に好きになっていった。
ザ・フーやビートルズなど60年代英国ロックを彷彿させる楽曲も多く、彼らなりにアメリカナイズした懐かしさを感じさせてくれる音楽性は、普段からUKロックを好んで聴いているリスナーも気に入るのではないかと思う。
殆どの曲が1〜3分で構成されており、1分以内の楽曲もかなりあるため、サクッと聴けるのも良い。……と思う反面、『良いメロディーなんだから、もうちょい引き延ばしても良いのでは?!』と感じたりもする。
ガイデッド・バイ・ヴォイシズを聴いていると、きっとロバート・ポラードという人は生粋のメロディーメイカーで、グッドメロディーがどんどん溢れ出すタイプなんだろう。
1曲1曲を短くシンプルにまとめ上げ、アルバムに詰め込めるだけ詰め込んでいたんじゃないのかな。
Game Of Pricks
https://youtu.be/HLINRoC4f1k
Glad Girls
https://youtu.be/XZsi9uEOJLg
The Best Of Jill Hives
https://youtu.be/pQwhSi-44gg
Twilight Campfighter
https://youtu.be/tOmSG0L3kbA
Back To The Lake
https://youtu.be/p0fbR-7Y6Xo
Drinker's Peace
https://youtu.be/tUtNneCzx14
MY BLOODY VALENTINE / tremolo e.p. (1991)
今回はマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(MY BLOODY VALENTINE)が1991年に発表した4曲入りep“tremolo e.p.”について書き綴る。
当ブログ内で以前書いた通り、このバンドが90年代初頭に活躍していた頃の僕はまだガキんちょだった。
そのため、当然のことながらこのレコードの存在なんて知る由もなく、実際に手にしたのは18歳頃だったと記憶している。
先にフルアルバムの“LOVELESS”を聴いてはいたが、アルバム未収録曲が3曲入っていたのと、あとジャケットが印象的だったため購入に踏み切ったのだ。
ピンクの炎(?)に包まれ、恍惚とした表情を浮かべるアートワーク。“普通じゃない雰囲気”に満ちていたし、ホント、そそられたな。
初めて“LOVELESS”を聴いた時は『よく分からない』と思いながらも、それまで聴いたことのない音楽性に惹かれ、気がつくと何度も何度もリピートしていた。
薄ぼやけた先に“別の何か”があるような気がして、そんな非現実的な空間へと連れて行ってくれる作品に、新たな芸術を発見した喜びを感じたものだ。
そんな、“シューゲイザーの金字塔”と謂われる“LOVELESS”でもお気に入りの1曲“To Here Knows When”が、フルアルバムと違う状態で収録されていたらどう感じるか?それも含めてこのepに興味があった。
ドリーミーなM1“To Here Knows When”後半に流れるインタールード(曲間)から“LOVELESS”とは別の方向へと向かい、M2“Swallow”では儚げで、尊く、エスニックな香りに包まれていく。
M3“Honey Power”ではポップ色全開で、アルバムには無い一面を魅せてくれる。
そして、ラストのM4“Moon Song”なんて、アニメ『ルパン三世 part2』のエンディングテーマのような哀愁を感じたものだ。
(……って、マイブラ聴いてこんな感想を抱くヤツは他におらんかもしれんが、事実そう感じていた)
正直に言うと、当時はアルバム“LOVELESS”よりも、この“tremolo e.p.”の方がよく聴いていた。
それは、アルバム“LOVELESS”と比べても“ポップさ”や“取っ付き易さ”があったからではないかと思う。
今では2枚組編集盤“ep's”でまとめて聴けるが、僕にとってこの“tremolo e.p.”は、ヘッドフォンを耳に当てトリップしていたあの頃の自分を思い出させてくれる、特別な1枚であり続けているのだ。
tremolo e.p.
(To Here Knows When 〜 Swallow 〜Honey Power 〜 Moon Song)
https://youtu.be/w7-llAFh7h0
I LOVE YOU.
THE VERVE / A STORM IN HEAVEN (1993)
年末年始からずっとサイケデリックロックを中心に聴いているので、今回はその中のひとつ、ヴァーヴ(THE VERVE)のデビューアルバム“A STORM IN HEAVEN”について書いていこうと思う。
当ブログ内で何度かヴァーヴについて書いているため、『またヴァーヴかよ!』と思われた方もいるかもしれないが、……そうです、またです。またヴァーヴやっちゃいます。
いや、昨年末のザ・ポリスの記事にも書いたかもしれんが、昔そこそこ好きだったバンドだったり、めっちゃ好きなバンドだったりしていたものが、今聴き返すともっともっと好きになってしまっているのだよ、うむ。
2020年の大晦日は執筆しながらひたすらグレイトフル・デッドとドアーズをBGMにしていたせいか、その流れで2021年初頭はヴァーヴやらマーキュリー・レヴやらアシッド・マザーズ・テンプルやらを聴きまくっているのである。
まあ、元々がサイケデリック大好き野郎なので、お許しを。
前置きが長くなったが、今回紹介するヴァーヴの1stフルアルバム、もしまだ聴いたことが無いなら是非ともご一聴願いたい。
ヴァーヴといえば97年発表の3rdフルアルバム“URBAN HYMNS”でやっと世界的大ヒットを記録して日の目を見たバンドだが、個人的には断然この1stアルバムをお勧めする。
もしも“サイケデリック診断テスト”なるものがあるとすれば、間違いなくこのアルバムは100点満点だろう。
CDを再生して、1曲目“Star Sail”の最初の1音が鳴り始めた瞬間から別世界へと引きずり込まれる。
妖艶で、神秘的で、官能的なメロディーラインと楽曲群。フリージャズの要素もあったりと、奔放にやっているようで、実は計算され尽くしているという。
楽曲そのものが良いのは勿論だが、アルバム用にホーンセクションを起用したりと、プロデューサーを務めたジョン・レッキーをはじめとする裏方の手腕も発揮されており、曲とバンドの魅力を100%以上に引き出している。
余談だが、僕がこのアルバムを初めて聴いた時はローリング・ストーンズが1969年に発表したアルバム“LET IT BLEED”と途中でシンクロした瞬間があったのを覚えている。
楽曲がどうとかそんなんじゃなく、このアルバム全体に漂うダークな雰囲気や匂いに似通ったものがあると感じたのだ。
初めてこの1stを聴いた時はヴァーヴが何者かなんて全く知らなかったが、そんな自分でも60年代後期の血生臭い魅力を放っていたストーンズの影響が伺えたし、実際、当時のリチャード・アシュクロフト(ボーカル)は“ミック・ジャガーの唇を持つ男”と呼ばれていたのを後で知ることになり、『なるほどな』と思ったものだ。
メンバー全員のポテンシャルも物凄く高く、ギタリストのニック・マッケイブのリバーブがかった独創的なソロをはじめ(こんな演奏、他で聴いたことがない)、ベーシストのサイモン・ジョーンズはリズムを刻みながらももう一つのメロディーラインを奏で、ピーター・サルスベリーのドラムは複雑怪奇なサウンドを支えている。
そして、大ヒットした3rdやソロアルバムでは聴けないリチャードのやり過ぎなほどの狂ったボーカルは、地の底から這い上がろうともがいているようにも聴こえ、時には天から光が射し込む優しさに包まれる。
大衆受けはしないが、間違いなく完璧なデビューアルバム。
サイケデリックが好きな僕が言うのだから、興味を持った人はできればアルバムを購入して、1曲目から再生して聴いてみてほしい。
きっと、全く別の世界を魅せてくれるはずだから。
Butterfly
https://youtu.be/VwyncyoeWSQ
The Sun, The Sea
https://youtu.be/xLqh7RJIKmE
Blue
https://youtu.be/NiMbqZqjZFI
Slide Away
https://youtu.be/X45hWP_QKt0
LIVE 1993
https://youtu.be/B6pWjQB3Zas
“コロナ収束後に観たいバンド&ミュージシャンTOP10”の巻
皆さん、あけましておめでとうございます。
2020年内にやるべきことを何とか無事終わらせてホッとしているシューゲさんです。
……というわけで、新年一発目は“コロナ収束後に観たいバンド&ミュージシャンTOP10”を書いていこうと思う。
現在は解散しているバンドでも、主要メンバーが生存している場合は期待も込めてランキングに入れているので、そこんとこヨロシク。
では、ランキングスタート!
10位 NEW ORDER
2020年3月に予定されていた来日公演は2年後に延期となってしまったニュー・オーダー。既に購入していたチケットは返金してしまったが、開催されたら是非とも行きたいと思っている。前身バンドのジョイ・ディヴィジョン時代からの楽曲も演奏するライヴを楽しみにしている。
Crystal
https://youtu.be/KVMyXDsadLQ
日本が世界に誇る最強のサイケデリックバンド。何度かライヴを観たが、そんじょそこらの海外バンドよりもこのバンドを観るのをお勧めする。サイケデリックというのがどんなのかがきっと分かるはず!
Disco Pink Lade Lemonade (LIVE)
https://youtu.be/xQDqmdCssyY
8位 Snail Mail
2010年以降にデビューしたミュージシャンもチェックしたいので、彼女もまた日本に来てほしい。デビューアルバムはここ数年で聴いた新人の中でも群を抜いている。
Pristine
https://youtu.be/s7tnTucP1UM
7位 Beabadoobee
こちらもスネイル・メイルと同じく“Z世代”と呼ばれる中で、お気に入りの女性シンガーソングライター。ラッシュ(LUSH)っぽさもあり、ドリームポップや90年代オルタナティブからの流れを汲んだ哀愁漂う楽曲と歌声をもつ彼女を応援したい。
Horen Sarrison
https://youtu.be/p9somzQe4ik
6位 SONIC YOUTH
サーストン・ムーアとキム・ゴードンという元夫婦が中心のため、再結成は厳しいだろうな……。とは思いながらも、あの前衛ポップミュージック(注:全然ポップではない)は一度ハマるとクセになるので、また活動してほしい!
Schizophrenia
https://youtu.be/fWzFkVy3s14
85年の来日以来、一度もバンドで日本に来ていないというブルース・スプリングスティーン。歳はとってもこれだけの大物は死ぬまでに観ておかなければと思っている。
Born To Run
https://youtu.be/IxuThNgl3YA
4位 MERCURY REV
ある意味、ドリームポップの究極系だと思っているバンド。生で観た人に聞いたら「良くなかった」と言われたのだが、ライヴ音源を聴くとどれも素晴らしいので、自分の目で、自分の耳で聴いて確認したい。
Holes
https://youtu.be/Y_2c_E_c-U0
シューゲイザーを代表するバンドなのに僕は一度も観ていない。次こそは!
Soon
https://youtu.be/586-G4TcUxQ
2位 THE POLICE
前回の記事にも書いたポリスが2位。超絶技巧のメンバー3人が生み出すグルーヴと名曲を堪能したいと思う。
Every Breath You Take (LIVE)
https://youtu.be/wdS-jpFgRo4
1位 U2
2019年12月に来日したばかりのU2が堂々の1位。あの時のライヴは多くの友人、知人が行っており、映像を観ただけでも圧倒されてしまった。しかもアルバム『ヨシュア・トゥリー』の完全再現ライヴなんて、もう二度と生でやらないだろうな……。
Where The Streets Have No Name (LIVE)
https://youtu.be/1iFwg-VXTxQ
……と、こんな感じで10組まとめてみた。観たいミュージシャンを紙にまとめてみたら5分間で30組は出てきてしまった。彼らを観られる日を楽しみにしている。
Thanks. Sweet Dreams.
THE POLICE (ザ・ポリス)
今回はザ・ポリス(THE POLICE)について個人的な思い出と感想を書き綴る。
僕がポリスを知ったのは高校生の頃に放送していた『20世紀ロック&ポップ大全集』(英BBC放送)という番組で、そこで70年代パンクロック特集をやっていて、彼らの映像が一瞬だけ流れていたのがきっかけだった。
しかし、その番組での彼らの扱いは代表的である“Roxanne”の歌い出しのみで、セックス・ピストルズのジョニー・ロットンが
「どいつもこいつもレゲエに浸透しやがる。特にポリスの『ロクサーヌ』なんて聴くと反吐が出る」
という発言をしていたため、真に受けた僕はポリスのことを『レゲエ被れのバンド』と見なすようになり、まともに聴こうともしなかった。
高校生の頃にちゃんと聴いていた70年代ロンドンパンクはセックス・ピストルズのみで、クラッシュやダムドなども僕は聴こうとしなかった。それも、あの番組や音楽記事でジョニー・ロットンが他のバンド勢をこき下ろしていたためだ。
思春期ってのは良くも悪くも好きになったバンドやミュージシャンの言うことは絶対だと思ってしまうせいか、僕がポリスの音楽と向き合ったのも20歳頃だったと記憶している。
彼らのオリジナルスタジオアルバムを初めて聴いた時はまだ『ロクサーヌ』の映像のイメージが残っていたためか、どこか冷めた気持ちで聴いていた。
しかし、ポリス活動初期と後期のライヴ音源がセットになった2枚組ライヴアルバムを聴いた時、彼らの印象がガラリと変わってしまった。
決め手になったのはドラマーのスチュワート・コープランドが撮った『インサイド・アウト』というドキュメンタリーDVDを観てからだ。
バンドデビューした頃にスチュワートは当時発売されたばかりの8ミリビデオカメラを購入していた。
そのカメラでキャリアの始まりから終焉までを完全にバンド側の視点で撮った映像は刺激的で、ステージ上でスチュワートのドラムセットの位置から客席に向かって歌うスティングの背中を映していたり、ツアーの移動中にいきなりメンバーが本気で殴り合いの喧嘩を始めたりと、生々しい熱気がダイレクトに伝わってきたのだ。
スチュワート・コープランドのドラムプレイにも魅了された。涼しい顔で「今、〇〇(演奏場所)にいるんだ」と自分がセッティングしたカメラに向かって爽やかに説明しながらドラムを叩きまくる。それがもう、バリテク(笑)。ドラムの細かな技術って僕は分からないが、そんな僕でもこの時のスチュワート・コープランドの超絶技巧ぶりに口をあんぐり開けたまま魅入ってしまった。
2008年にポリスは再結成して来日も果たしたが、僕はその時のライヴに行かなかった。
しかし、アルゼンチン公演だと思うが、後日、衛生放送でやっていた映像を観て、今度はギタリストのアンディ・サマーズの超絶変態ギターソロに魅了されてしまったのである(笑)。
『何で行かんかったんや!!』と本気で後悔した。
そして、スティングの歌も聴けば聴くほど味があるし、彼らの最大のヒット曲である“Every Breath You Take”を聴くと、ロックとかポップスとか関係なく、ジャンルを超越した普遍的な魅力をもっているのが分かる。
スティングのベースプレイもソロに入った瞬間から爆発し、ギター、ベース、ドラムが火花を散らしてぶつかり合っているかのようだ。
スタジオ盤も良いが、僕は断然ライヴ盤の方が彼らのダイナミックな演奏を堪能できると感じている。
あれだけの熱量をもった演奏はスタジオで収めきれないだろうし、もう無いかもしれないが、コロナ収束後にぜひともまた再結成してほしいと切に願う。
Every Breath You Take
https://youtu.be/OMOGaugKpzs
Voices Inside My Head / When The World Is Running Down You Make The Best Of What's Still Around (LIVE2008)
https://youtu.be/9Mr_vdG1clE
Synchronicity Ⅱ (LIVE1983)
https://youtu.be/QZAPm1NKgKE
Driven To Tears (LIVE1980)
https://youtu.be/2c01jjSwX7s
De Do Do Do, De Da Da Da (LIVE2008)
https://youtu.be/gd04nzSfmms